銀行融資の審査に通らない理由とは?対応策とともに解説

カテゴリー 資金調達

銀行融資の審査では、一定の基準を満たす必要があり、事業者の信用力や財務状況がチェックされます。審査基準を理解していないまま融資申請を行うと審査落ちする可能性が高まり、再申請しても同じ結果になりかねません。

当記事では、銀行融資の審査に通らない理由と対応策を解説します。審査に通らない原因や改善するためのポイントをセットで押さえ、資金調達の成功を目指しましょう。また、文末には銀行融資に通らなかった場合の借入の選択肢も紹介しているので、併せて参考にしてみてください。

銀行融資の審査に通らない理由と対応策を押さえる

銀行融資の審査では、事業の財務状況や信用力などがチェックされます。審査に通過するためには、審査の観点を確認し、通らない理由とその対応策を事前に押さえておきましょう。

<審査に通らない理由と対応策>

審査に通らない理由 対応策
信用情報に問題がある 信用情報を確認し、2年以上支払いの遅延をしないようにする
財務状況が悪い 直近2期以上の黒字を目指し自己資本比率を改善する
事業計画が不十分である 売上計画や市場調査を詳細に記載し、返済計画を明確にする
税金や社会保険の未納がある 早めに納税し、納税証明書を取得する
無担保や無保証での申請している 不動産や信用保証協会を活用して担保を準備する

銀行融資の審査では、信用情報や財務状況などが評価されます。過去に支払いの延滞がある場合や普段から税金、保険料の未納が続いていている場合は、審査通過が難しくなります。

また、銀行は事業の売上や利益の見込み、資金使途の明確さも重視します。事業計画や返済計画が不十分な場合は審査に通過しにくくなるため、売上計画や市場調査を論理的に説明できることが求められます。

融資を成功させるためには、審査に落ちる理由とその対策をセットで理解し、事前に準備しておくことが重要です。具体的な審査基準と、審査落ちを防ぐための対応策をそれぞれ確認してみましょう。

信用情報に問題がある

信用情報に問題がある場合、銀行融資の審査に通らない可能性があります。銀行は融資の審査時に、信用情報機関を通じて申請者の過去の借入履歴や支払い状況を確認し、返済能力を評価します。

代表的な信用情報機関には、クレジットカード会社が加盟する「CIC」、消費者金融や信販会社が加盟する「JICC」、全国の銀行が加盟する「KSC」の3つがあります。これらの機関が管理する情報をもとに、支払いの遅延履歴や多重債務の有無などが審査でチェックされます。

<信用情報の審査基準と審査落ちの要因>

審査基準 審査落ちする要因
支払いの延滞履歴 過去に支払いの遅延や滞納がある
債務整理や自己破産歴 過去に債務整理や自己破産をした記録がある
クレジット利用状況 リボ払いの利用が多く、残高が高額
多重債務 複数の金融機関から借入がある

銀行は信用情報機関から提供されるデータを基に、申請者が過去に支払いを延滞したり、債務整理を行ったりしていないかをチェックします。過去に支払いの遅延や債務整理、自己破産の記録がある場合は「返済リスクが高い」と判断され、審査落ちの原因となる可能性があります。

また、クレジットカードの利用残高が多く、リボ払いの利用が常態化している場合や、複数の金融機関から借入がある場合も「資金管理が甘い」とみなされ、審査に影響を与えることがあります。

信用情報に問題がある場合は、適切な対策を講じることで信頼を回復することが可能です。信用情報を改善するための具体的な方法を確認しましょう。

直近2年間で支払いの遅延がない状態を維持する

銀行融資の審査に通過するためには、信用情報を適切に管理し、直近2年間で支払いの遅延がない状態を維持することが重要です。銀行は融資審査の際に申請者の信用情報を確認し、支払い履歴や信用力を評価するため、支払い遅延があると審査に悪影響を及ぼします。

信用情報機関(CIC、JICC、KSC)では、延滞情報が完済後も最長5年間記録されるため、一度でも遅延があると一定期間は審査に影響します。しかし、直近2年以上遅延がなければ「信用回復の兆しがある」と判断される傾向もあり、審査に通過できる可能性が高まります。

たとえば、過去にクレジットカードやローンの支払い遅延があった場合でも、2年以上期日通りに返済を続ければ信用情報の改善につながります。また、口座引き落とし設定を確認し、引き落とし日と売上の入金サイクルを調整して資金繰りを管理することで、残高不足による遅延を防ぐことができます。

銀行融資の審査を受ける前に、信用情報機関に情報を開示請求し、自分の信用情報を確認しましょう。もし過去に支払い遅延があった場合は、支払いの遅延があった時点から2年以上遅延を発生させないよう、資金管理を徹底することが大切です。

財務状況が悪い

財務状況に問題がある場合、銀行融資の審査に通らない可能性があります。銀行は融資審査の際、企業の決算書や財務諸表をもとに経営の安定性と返済能力を評価します。

<財務状況の審査基準と審査落ちの要因>

審査基準 審査落ちする要因
売上や利益の推移 連続赤字や売上減少が続いている
自己資本比率 自己資本よりも負債が多い
キャッシュフロー 手元資金が不足し資金繰りが不安定
利益率 営業利益が出ておらず利益率が低い

銀行は、財務諸表に基づいて申請者の収益状況を確認し、安定した返済能力があるかを判断します。特に、赤字決算が続いている場合や売上が大幅に減少している場合は「将来的に返済が困難になる可能性がある」とみなされ、融資審査で不利になります。

また、負債の割合が高く、自己資本比率が低い企業は「借入に依存しすぎている」と判断され、審査に影響を及ぼすことがあります。新規の借入が事業投資ではなく既存の債務返済に充てられると見なされた場合には、融資の承認がさらに厳しくなる可能性があります。

財務状況に問題がある場合でも、適切な対策を講じることで信頼を回復し、融資を受けられる可能性を高めることができます。財務状況を改善するための具体的な方法を確認してみましょう。

直近2期以上の黒字を目指し自己資本比率を改善する

銀行融資の審査に通過するためには、直近2期以上の黒字決算を維持し、自己資本比率を改善することが重要です。銀行は融資審査の際に企業の財務状況を確認し、収益の安定性や返済能力を評価するため、赤字が続いている場合や自己資本比率が低い場合は審査に悪影響を及ぼします。

銀行は企業の利益の安定性や財務の健全性を重視し、赤字の企業や自己資本比率の低い企業は「返済リスクが高い」と判断されやすくなります。そのため、黒字を継続し、財務の安定性を高めることが融資審査を有利に進めるためのポイントとなります。

たとえば、販路の拡大や価格戦略の見直しによって売上を増やせれば、利益の向上につながります。また、人件費や固定費の見直しを行い、不要な経費を削減することで利益を確保しやすくなり、結果として自己資本比率の向上が期待できます。

融資審査を有利に進めるためには、自社の財務状況を定期的に見直し、資金繰りや利益確保の対策を講じることが大切です。また、必要に応じて税理士や公認会計士などの専門家に相談することで、黒字経営の継続と財務基盤の強化を実現しやすくなります。

事業計画が不十分である

事業計画が不十分な場合、銀行融資の審査に通らない可能性があります。銀行は融資審査の際に事業の将来性や収益の見込みを評価し、返済能力を判断します。

<事業計画の審査基準と審査落ちの要因>

審査基準 審査落ちする要因
売上計画 収益予測が鵜明確で根拠が示されていない
市場調査 競合分析やターゲット市場のデータが不足している
返済計画 収益からの返済計画が対的に示されていない
資金計画 資金使途の内訳が不明確で運転資金の見通しが甘い

銀行は、事業計画に基づいて申請者の売上見込みや収益の安定性を確認し、融資の可否を判断します。そのため、売上計画や市場調査が不十分な場合は「事業の成長性が不透明で返済リスクが高い」と判断され、審査に通過するのが難しくなります。

また、資金の使途が明確でないものや、返済計画が具体性に欠ける事業計画は「計画性が低い」と見なされ、融資審査で不利になることがあります。融資の活用方法や収益を生み出す時期が示されていない場合、事業の実現可能性に疑念を持たれ、審査がより厳しくなることも考えられます。

事業計画に不備がある場合でも、適切な対策を講じることで信頼を回復し、融資を受けられる可能性を高めることができます。事業計画の精度を高めるための具体的な方法を確認しましょう。

売上計画や市場調査を詳細に記載し返済計画を明確にする

銀行融資の審査に通過するためには、売上計画や市場調査を詳細に記載し、返済計画を明確にすることが重要です。銀行は融資審査の際に事業の収益性や成長の見込みを確認し、事業計画の信頼性を評価するため、売上や市場の根拠が不明確な場合は審査に悪影響を及ぼします。

銀行は、事業の実現可能性を重視し、売上計画や市場調査が不十分な事業計画は「返済リスクが高い」と判断することがあります。そのため、売上予測や市場データを明確に示し、返済計画を具体化することが融資審査を有利に進めるためのポイントとなります。

たとえば、過去の売上データを活用し、成長見込みを根拠とともに示すことで、事業計画の信ぴょう性が高まります。また、競合分析やターゲット市場の詳細な調査を計画に反映し、売上計画に基づいた具体的な返済シミュレーションを作成することで、資金の使途と返済の流れを明確にできます。

事業計画の精度を高めるためには、売上や市場動向を定期的に見直し、計画の現実性を検証することが必要です。銀行に提出する前に自社内でシミュレーションを行い、収益性や返済計画に無理がないかを確認しましょう。

税金や社会保険料の未納がある

税金や社会保険料の未納がある場合、銀行融資の審査に通らない可能性があります。銀行は、融資審査の際に事業者の財務状況だけでなく納税状況も確認し、利用者の信用力を評価します。

<納税状況の審査基準と審査落ちの要因>

審査基準 審査落ちする要因
税金の納付状況 直近の税金(法人税・消費税・住民税など)が未納または滞納している
社会保険料の支払い状況 健康保険や厚生年金の支払いが滞っている
納税証明書の取得状況 納税証明書(その1、その3)が発行できていない
税務申告の適正性 申告漏れや税務調査での指摘がある

銀行は、事業者の納税状況を確認し、未納がある場合は「資金繰りが厳しく、返済が難しい」と判断することがあります。未納期間が長い場合や税務署から督促を受けている場合は、審査通過が難しくなる傾向にあります。

また、納税証明書の取得状況も審査のポイントとなります。「納税証明書(その1)」は納税額の履歴を確認するために使用され「納税証明書(その3)」は未納税額の有無を示すため、提出できない場合は銀行から「財務状況の透明性に問題がある」と見なされ、審査が厳しくなる可能性があります。

税金や社会保険料の未納がある場合でも、適切な対策を講じることで信頼を回復し、融資を受ける可能性を高めることができます。税金や社会保険料の適正な管理と納付のための具体的な方法を確認しましょう。

早めに納税し納税証明書を取得する

銀行融資の審査に通過するためには、税金や社会保険料を適切に納め、納税証明書を取得しておくことが重要です。銀行は融資審査の際に財務状況の健全性を確認するため、税金の未納があると「資金管理が甘い」と判断され、審査に悪影響を及ぼします。

税金や社会保険料の未納があると、事業の資金繰りに問題があるとみなされることがあり、審査のハードルが上がる可能性があります。そのため、未納分を早めに納付し、必要な納税証明書を取得することが融資審査を有利に進めるためのポイントとなります。

たとえば、未納がある場合は、税務署や年金事務所に相談して分割納付することで信用回復につなげることができます。また、未納がないことを示す「納税証明書(その3)」を事前に取得し銀行に提出することで、納税状況の健全性を示すことが可能です。

融資審査をスムーズに進めるためには、納税状況を定期的に確認し、滞納が発生しないよう管理を徹底することが重要です。また、税理士に相談し納税計画を立てることで、事業の資金繰りを安定させながら信用力を向上させることができます。

無担保や無保証での申請している

無担保や無保証で融資を申請した場合、銀行の審査に通らない可能性があります。銀行は融資審査の際に返済リスクを確認し、貸し倒れの可能性を慎重に検討するため、担保や保証がない場合は審査が厳しくなる傾向にあります。

<担保や保証の審査基準と審査落ちの要因>

審査基準 審査落ちする要因
担保の有無 不動産や預貯金などの担保が用意できない
信用保証の活用 信用保証協会の保証を受けずに申請している
企業の財務状況 自己資本が基準より少なく財務の安定性に欠ける
返済能力 売上や利益が安定せず、返済計画の信頼性が低い

銀行は、融資の回収可能性を確認するために、担保や保証の有無を審査します。財務状況が不安定な企業や創業間もない事業者が無担保、無保証で申請すると「返済リスクが高い」と判断され、審査に通過しづらくなります。

また、信用保証協会の保証がない場合、銀行は貸し倒れリスクを直接負うことになるため、審査が厳しくなります。そのため、企業の財務状況や収益の安定性がより詳細にチェックされ、返済能力を十分に示すことが求められます。

無担保や無保証での申請は審査で不利になりやすいため、適切な対策を講じることが重要です。融資を受けやすくするために、担保や保証の準備方法を確認しましょう。

資産や信用保証協会を活用して担保を準備する

銀行融資の審査に通過するためには、不動産や信用保証協会を活用し、担保を準備することが重要です。銀行は貸し倒れリスクを抑えるために融資審査で担保の有無を重視し、担保がない場合は審査が厳しくなる傾向にあります。

担保を用意する方法として、不動産や車両、機械設備などの資産を活用することが考えられます。 たとえば、自社所有の不動産や代表者個人の資産を担保として提供するほか、経営者本人や家族を連帯保証人とする「第三者補償」という方法もあります。

また、担保や保証人を用意することが難しい場合は、銀行の融資商品の中から信用保証付きの融資サービスを選ぶのもひとつの方法です。信用保証付き融資では、保証を受けるための「補償料」を別途支払うことになりますが、銀行側のリスクが軽減されることで融資を受けやすくなります。

融資審査を円滑に進めるためには、担保として活用できる資産の状況を確認し、必要に応じて信用保証協会の保証制度を利用することが大切です。また、事前に金融機関と相談し、適切な担保や保証の準備を進めることで融資の承認を得やすくなります。

銀行融資の審査に通らなかった場合の借入の選択肢  

銀行融資の審査に通らなかった人でも利用可能な借入の選択肢は複数あります。銀行は、大企業や安定した事業者に融資する方がリスクが低く利益を確保しやすいため、個人事業主やまだ実績の少ない創業者への融資には慎重な姿勢をとる傾向にあります。

しかし、公的機関やノンバンクでは、銀行に比べて柔軟な審査基準の融資を用意しています。個人事業主や創業したばかりの事業者でも資金調達しやすい仕組みが整っているため、それぞれの特徴を確認してみましょう。

<銀行以外の借入の手段と特徴>

資金調達方法 特徴
日本政策金融公庫の創業融資
  • 国が100%出資する金融機関「日本政策金融公庫」が提供する創業者向けの融資制度
  • 無担保、無保証での融資が可能な場合もある
  • 銀行に比べて審査が柔軟

自治体の制度融資

  • 地方自治体が運営し、信用保証協会の保証を受けられる
  • 銀行よりも低金利で借りられる可能性がある
  • 商工会議所や中小企業支援センターなどが窓口

ノンバンクのビジネスローン

  • 消費者金融系の事業者向け融資
  • 無担保でも利用でき、最短即日で利用可能
  • 高金利のため、長期借入には不向き

日本政策金融公庫は国が100%出資する金融機関で、まだ事業実績の少ない創業者や個人事業主向けの融資サービスを複数提供しています。銀行融資に比べ審査のハードルが低く、無担保、無保証で借りられる場合もあるため、初めての資金調達として検討しやすい方法です。

自治体の制度融資は、主に中小企業や個人事業主の資金調達を支援する目的で設けられた制度であり、地方自治体、信用保証協会、金融機関が連携して資金提供を行います。低金利で利用できる一方、関わる組織が多いため、手続きには3か月程度かかる傾向にあります。

ノンバンクのビジネスローンは、迅速な資金調達が可能な融資制度であり、審査を簡便にして融資スピードを重視している点が特徴の制度です。ただし、無担保で利用できる分、銀行に比べ高めの金利が設定されている傾向にあるため、長期の借入には向いていません。

銀行融資が難しい場合でも、他の金融機関からの借入を受けることが可能です。特に日本政策金融公庫では、幅広い事業者を対象に柔軟な融資サービスを用意しているため、銀行融資の審査に通らなかった人も諦めずに利用を検討してみましょう。

なお、日本政策金融公庫の融資を詳しく知りたい人は「日本政策金融公庫とは?特徴や銀行との違いを分かりやすく解説」の記事も参考にしてみてください。

まとめ

銀行融資の審査に通らない主な理由として、信用情報や財務状況、税金の支払い状況の問題が挙げられます。さらに、事業計画の不備や無担保、無保証での申請も審査落ちの要因となるため、事前の準備が重要です。

対策としては、直近2年間の支払い遅延を避けることや、直近2期以上の黒字決算を維持することが求められます。 また、税金や社会保険料を適切に納め、納税証明書を取得しておくことで、資金管理の健全性を示すことができます。

また、融資審査に通過するには、説得力のある事業計画が不可欠です。 売上計画や市場調査を具体的に示し、返済計画を明確にすることで、銀行に事業の将来性を伝えやすくなります。

銀行は融資の回収可能性を評価するため、担保や保証の有無を重視します。自社所有の不動産や代表者個人の資産を担保として提供することや信用保証協会の保証付き融資を検討しつつ、必要な準備をしておきましょう。

この記事を書いたライター

ソラボ編集部

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