ファクタリングによる資金調達を検討した際に「3社間ファクタリング」という契約方法を知り、理解を深めたいと思った人もいますよね。また、他の契約方法と検討するために利点や注意点を把握しておきたいという人もいるでしょう。
3社間ファクタリングとは「売掛先企業の関わりが必要な契約方法」のことです。ファクタリングを利用する際に、売掛先の同意を得なければ利用できない契約方法ではありますが、同意を得ることで「契約時の費用を抑えられる」という利点があります。
当記事では、「3社間ファクタリングとは何か?」について解説します。3社間ファクタリングの流れや、利点と注意点についても説明しているので、3社間ファクタリングによる資金調達を検討している人は参考にしてみてください。
3社間ファクタリングとは売掛先企業の関わりが必要な契約方法のこと
3社間ファクタリングとは、売掛先企業の関わりが必要な契約方法のことを指します。3社間ファクタリングでは「ファクタリング業者」と「ファクタリングを利用する企業」、「売掛先企業」の3社間で債権譲渡契約を行います。
3社間ファクタリングは「買取型ファクタリング」という、売掛債権を売却して資金調達を行う契約方法の1つです。取引先に商品などを提供した際に発生した「代金を受け取れる権利」である「売掛債権」を、期日前にファクタリング業者へ売って現金化する方法のことを言います。
3社間ファクタリングで債権譲渡契約を行う際には、売掛債権の債務者である「売掛先企業」に対し「ファクタリング利用の通知」を行う必要があります。加えて、ファクタリングを利用することへの同意を得られなければ、3社間ファクタリングを利用することができません。
3社間ファクタリングにおいて、売掛先企業の役割を押さえておかないと、売掛先企業との関係が悪化してしまうおそれがあります。3社間ファクタリングの利用を検討している人は、3社間ファクタリングを利用する流れを把握しておきましょう。
3社間ファクタリングを利用する流れ
3社間ファクタリングの利用にあたって、どのように売掛先企業が関わっていくのか流れを把握しましょう。3社間ファクタリングは、一般的に以下のような流れで行われます。
【3社間ファクタリングの流れ】
3社間ファクタリングの流れで売掛先企業が関わるのは「ファクタリング利用の通知」が行われる場面です。「売掛債権を譲渡して資金化すること」への同意を得るため、ファクタリング業者から売掛先企業に「債権譲渡通知書」が送られます。
また、売掛債権が売却された後は債権の権利がファクタリング業者へ移るため、売掛金の支払先もファクタリング業者とする必要があります。したがって、売掛先企業には「売掛金の支払先を変更すること」への同意もしてもらう必要があります。
売掛先企業に「売掛債権を譲渡すること」と「支払先の変更」に対し同意が得られ、債権譲渡通知書の返送が行われると、3社間ファクタリングが利用可能となります。売掛先企業にとって、債権譲渡通知書の返送や支払先の変更手続きなどの手間が増えてしまうという点に留意して利用しましょう。
3社間ファクタリングは契約時の費用を抑えられるという利点がある
3社間ファクタリングは契約時の費用を抑えられるという利点があります。その理由に、売掛先企業への通知が行われ同意を得ていることが関係しています。
3社間ファクタリングは、売掛先企業への通知や同意によってその「存在」が明確化されるため「二重譲渡」などの売掛金が未回収となるリスクが低減します。未回収リスクの増減は買取り手数料に反映されるため、リスクの低い3社間ファクタリングは手数料が低くなる傾向にあります。
また、3社間ファクタリングは売掛先企業に債権譲渡の通知が行われ同意を得ているため、契約時に「債権譲渡登記」をする必要がありません。民法の定めにより、2社間ファクタリングの場合は原則「債権譲渡登記」が必要となり登記費用が掛かりますが、3社間ファクタリングには登記費用が発生しません。
なお、3社間ファクタリングで売掛金の支払いが遅延した場合には、売掛先企業に対して催促の連絡が行われるため「遅延損害金」などが発生することもありません。売掛先企業に同意を得ることによってファクタリング利用時の費用を抑えることが可能となるため、検討する際の参考にしてみてください。
3社間ファクタリングの利用は2つの注意点を考慮して検討する
3社間ファクタリングの利用は2つの注意点を考慮して検討します。売掛先企業の関わりが必要な契約方法のため、注意点を理解したうえで利用しなければ、資金調達や今後の取引に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
1つ目は、資金化を急いでいないかということです。3社間ファクタリングでは売掛先企業から同意を得られるまでに期間を要する場合があるため、資金化にスピードを要求することは難しいと言えるでしょう。
2つ目は、理解を得られそうな売掛先企業であるかということです。3社間ファクタリングの利用には売掛先企業の同意が必要不可欠であり、同意を得られないと利用自体が出来なくなるため、理解を得られそうな売掛先企業であることが必要です。
そのため、3社間ファクタリングの利用は普段より経営の相談を行えるような関係性の売掛先企業があり、資金化を急いでいない場合に検討すると良いでしょう。理解と同意が得られやすくなり、トラブルを防ぎながら資金調達をすることが可能になります。
まとめ
3社間ファクタリングとは「ファクタリング業者」と「ファクタリングを利用する企業」、「売掛先企業」の3社間で債権譲渡を行う契約方法です。売掛先企業へ「ファクタリング利用の通知」を行い「債権譲渡」と「売掛金の支払い先変更」の同意を得られることで利用することが可能になります。
3社間ファクタリングには「契約時の費用を抑えられる」という利点があります。売掛先企業から「ファクタリング業者に売掛金を直接入金すること」への同意や「債権譲渡の通知が行われている」ことから、買取り手数料や登記費用を抑えることが可能になるからです。
なお、3社間ファクタリングは「資金化を急いでいないか」「理解を得られそうな売掛先企業であるか」の2つの注意点を考慮して利用します。注意点を理解した上で利用することで、資金調達や今後の取引に悪影響を及ぼす可能性を低くすることが可能になるでしょう。