創業したばかりの企業の多くは、創業時やその先の経営に向けて資金調達を行いますが、金融機関から高額の融資を受けるのはなかなか難しく、資金調達に困った企業が利用するのがエンジェル投資家です。
ですが、エンジェル投資家を利用するのも簡単なことではありません。
今回お話しするのは、エンジェル投資家からの出資を受ける方法と、利用する際の注意点などについてです。
1.エンジェル投資家ってどういうもの?
この言葉を初めて耳にする方にとっては、よく分からないかもしれません。エンジェル投資家がどのようなもので何をするのか、初めにご紹介していきます。
エンジェル投資家を簡単な言葉でご説明すると、「創業歴がまだ浅い企業に対して資金を出してくれる個人投資家」の事を指します。
他にも、エンジェル投資家の特徴として以下の事が挙げられます。
金融機関の融資と違い、エンジェル投資家が出資を行う企業は、その企業の将来を期待して出資を行ったり、エンジェル投資家の人柄によって決まります。
エンジェル投資家の歴史とは・・・?
エンジェル投資家は昔に比べて増加しつつありますが、この増加の背景に関係しているのが、経済産業省が提示した「起業応援税制」にあります。その内容というのは、「起業応援税制」の中の条件を満たしているエンジェル投資家・ベンチャー企業に対して減税を行うというものです。
ただでさえ税金の高騰に頭を抱えている方が多い為、減税となれば誰しもが望みます。
エンジェル投資家は、減税の為にベンチャー企業に投資を行い、創業歴の浅い企業は、減税対象の条件を満たすためにベンチャー企業になるのです。
このようなことも関係し、エンジェル投資家が増加していったとも言えます。
ベンチャーキャピタルと何が違う・・・?
エンジェル投資家の立場を聞いていて、ベンチャーキャピタルと似ている、と感じた方も多いのではないでしょうか?
ベンチャーキャピタルというのは、将来が期待される企業に対して出資を行う投資組織のことを指しますが、確かにそっくりです。具体的な違いは何か、知っておきましょう。
エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの違いとして挙げられることが2つ、「審査」と「資金額」の違いです。
まずは「審査」の違いです。エンジェル投資家は、個人投資家の為、投資家本人に出資の意思があれば出資を受けられますが、ベンチャーキャピタルは金融機関と同じような審査基準があります。
次に「資金額」の違いです。エンジェル投資家による出資額は大抵1000万円程ですが、ベンチャーキャピタルの出資額のほとんどは最低1億円から、ということもあり、1億円未満の出資を希望している企業が、金融機関からの融資以外に選択枠の1つとして考えるのはエンジェル投資家、ということになります。
2.有名人のエンジェル投資家
実は日本国内でも有名な方たちがエンジェル投資家となっているのです。その方たちを少しご紹介します。
3.エンジェル投資家から出資を受ける方法は?
ここまで、エンジェル投資家がどういうものか、有名なエンジェル投資家についてご紹介してきましたが、実際に、エンジェル投資家から出資を受けるためにはどうしたらいいのかご紹介していきます。
(1)マッチングサイトを利用する
まず基本的な、起業家・投資家のマッチングサイトから探すという方法です。
出資を受けたい企業と、将来が期待される企業へ出資をしたい投資家が、Webを通して簡単に繋がることができるサイトが、このマッチングサイトです。出資を受けたい企業は無料会員登録をするだけで投稿が可能です。
投稿の際に気を付けることが、投資家に「出資をしたい」と思わせるような投稿をすることです。中身のない投稿をしても誰も出資をしてくれません。
きちんとした事業内容、収益予想、投資家に対しての還元方法、株式の所有などを明確に示すことが、出資への第一歩と言えます。
(2)クラウドファンディングを利用する
クラウドファンディングも、実はエンジェル投資家の1つと言えます。
自身が行いたい事業をWeb上に掲載し、その事業に賛同し、支援をしたいという支援者が資金を出し合い、事業達成を目指すというのがクラウドファンディングです。クラウドファンディングを利用する人の中には、資金に裕福なエンジェル投資家もいれば、学生や主婦などで少しの資金を投資するエンジェル投資家も沢山います。
一人のエンジェル投資家から出資を受けるのではなく、沢山の方にアピールをして、沢山のエンジェル投資家から出資を受けるという方法も1つの方法です。
(3) イベント・セミナー・大会に参加する
起業を題材としたイベントやセミナーは想像以上に多く、それらに参加する人の中にはエンジェル投資家も多く参加しているため、積極的に足を運び、接触をするという方法もあります。
自身が思い描く事業内容を、エンジェル投資家が聞いて評価し、出資を行ってくれるという可能性もゼロではありません。
イベントやセミナー以外にも、事業内容を発表するプレゼンテーション大会というものもあります。仮に大会での優勝を逃しても、発表を聞いていた投資家から声を掛けられる可能性もあるので、起業イベント等の最新情報も常にチェックしておくと良いでしょう。
4.マッチングサイト利用時の注意点
エンジェル投資家を探すのに一般的な方法が、マッチングサイトの利用ですが、利用時の注意点として以下の事が挙げられます。
エンジェル投資家というものが多くの方に知られるようになったのは、最近の話です。それに伴い作られたマッチングサイトも多く、サイトによっては何も反応がないものも存在します。
エンジェル投資家を利用して資金調達をする際の投資資金は、安いものではありません。もちろん、簡単な投稿だけで資金を投資してくれる方は一人もいません。
このことを頭に入れ、利用サイトの信用性・投資家の経歴にも気を付けながら利用するようにしましょう。
5.エンジェル投資家と銀行ではどちらが資金調達しやすい?
どちらの場合でも言えることが、「資金調達に向けての準備」「どんなことをやっていきたいかの事業内容」等が明確であること。これらが曖昧での資金調達は難しいものです。
資金調達に必要な基礎はあったうえで、エンジェル投資家の場合に重視されるポイントが主に「ビジネスプラン」、銀行の場合では主に「会計書類」です。
銀行は、資金を返せない人への融資は行いません。その為、「財務内容」「損益計算書」「賃借対照表」のチェックは厳しくなります。
また、返済の期間も短いため、返済に追われて経営が困難になるという可能性もゼロとは言えません。
これらの事から考えると「書類関係は苦手だがビジネスプランには自信がある」「銀行での融資を受けられない」という方は、エンジェル投資家から出資を受けるという方法が向いているのかもしれません。
まとめ
今回は、エンジェル投資家についてご紹介しました。近年広まりつつあるエンジェル投資家だからこそ、新たな資金調達方法の一つとして発展していく可能性も大いにあります。
エンジェル投資家の多くは元起業家の為、ビジネスを見る目も優れています。その為、事業内容に自信をお持ちの方は、エンジェル投資家からの出資を受け、資金調達を行うという方法も考えてみると良いかもしれません。