飲食店の経営に必要な資金は不動産取得資金、内外装のための工事費や備品・仕入れ代金など多岐にわたります。自分の預貯金や店の利益だけで一括払いできる人はかなりレアでしょう。
この記事では、金融機関から受ける際に必ず提出することになる事業計画書の書き方の飲食店バージョンについてお伝えします。
1.飲食店の事業計画書の書き方
①まずは署名をする
他の事業でも同じですが、日本政策金融公庫の事業計画書の場合は最初の部分が署名です。日付は提出日の日付にし、住所は事業所の住所を記入します。
そして、事業者名の横には個人の認印(例、佐藤)を押します。
②現況・新商品の開発または新役務の内容・課題・重点取組項目、具体策
この部分になぜあなたが飲食店を開きたいと思ったのか、他社と比べて工夫している点や努力している点などをわかりやすく簡潔に記入します。
日本政策金融公庫の融資に飲食業で成功したい場合、社員経験はもちろんですが店長経験と開業に携わった経験は大きく評価されます。あなたがもし大手飲食チェーン店の勤務経験をお持ちで、さらに新規店舗のオープニングに関わった経験があれば、ぜひこの部分で書いてアピールしましょう。
③新商品の開発または新役務の内容
この部分は、日本政策金融公庫で中小企業経営力強化資金という制度を使う場合にのみ記入します。日本政策金融公庫での融資はさまざまな制度(プランみたいなもの)があるのですが、中小企業力経営力強化資金は金利が約1%下がる点がメリットです。詳細は、当サイトの以下既存記事も是非ご覧ください。
事業計画書の作成方法を知って、「中小企業経営力強化資金制度」を受けよう!!
日本政策金融公庫の融資や各自治体の助成金では新規事業にとても力を入れているため、新規性のある事業で収益性も見込める場合(ここが難しいのですが)は優遇される可能性があります。
④経営上の課題項目
ここは事業者の経営者目線をチェックする項目です。経営全般、売上・収益などの各ジャンルであなたの店が抱えていると考える課題に〇をつけましょう。
意地を張らずに素直に課題を認めることが大切です。弱点を分かっているということは、それだけ伸び代があるということですからね。この例の場合は、以下に〇をつけています。
- 事業の「選択と集中」
- 営業力の強化
- 原価・経費の削減
- 店舗マネジメントの向上
- 在庫の削減
- その他(地域分析)
あなたの店の課題は何ですか?
⑤課題項目または重点取組項目を踏まえた具体策
④で〇を付けた項目についての具体策を記入します。ここが結構難しいところですよね。弱点の洗い出しまでは自分でできても、具体策まではなかなか金融担当者を納得できる案が思いつかないかもしれません。
例えば、書きやすいのは上記の「事業の選択と集中」です。事業を幅広くすればそれだけお金は余計にかかりますが、一点集中型の場合はそれだけコストを抑えられます。
他に飲食店でよくあるお困りごとは、レジの打ちミスです。夜中にレジ金が合わないと泣きたくなるオーナーもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?最近では電子マネーなどの現金以外のお金を飲食店は導入しています。あなたの店でも、上記の例のように食券機を導入するというのは一つの選択肢としてアリだと思います。
⑥業績推移と今後の計画
この部分では、実際の事業成績と自己資本の数字を入れていきます。元々このような業績推移表を作っている事業者さんであれば、特に難しくはないでしょう。
この表のポイントは、総資産と自己資本は少しずつ増えて総負債は少しずつ減る計画にすることが大切です。しかし、数字だけ出すのでは金融機関も納得しませんので、それを裏付ける実際の売上明細などの根拠は必須です。
「お店の経営は得意だけど、こういう書類作成はちょっと、、」と苦手な方は当サイトのような認定支援機関(経済産業省財務局認定の税理士など)に書類作成をお任せいただくという方法もあります。
⑦借入金・社債の期末残高推移
借入金が上記の自己資本に対して極端に高いと、融資の点ではマイナス評価になります。この部分でも目安がわからなければ、事業融資の手伝いを得意とする税理士などに相談してみましょう。
2.事業計画書はいつ書き始めたらいい?
日本政策金融公庫の場合、事業計画書を提出する際に既にお店の物件を押さえておかないと審査まで進みません。また、事業計画書を金融機関に提出し、実際にお金があなたの口座に振り込まれるまで1か月近くかかります。
このことを念頭に置き、事業計画書を書くべき時期を逆算して計算していきます。例えば、あなたが開きたいカレー店のオープン日を8月1日にしたいと仮定します。
【カレー店を8月1日に開きたい場合の事業計画書の作成時期】
- カレー店オープン日=8月1日
↓
- カレー店の備品準備や従業員の研修などにかかる期間(例、1週間)=7月23日
↓
- カレー店の内外装工事にかかる期間(例、2週間)=7月9日
↓
- 日本政策金融公庫からの着金=7月5日
↓
- 日本政策金融公庫への申し込み=6月5日
↓
- 事業計画書の作成にかかる期間(1か月程度)=5月5日
「事業計画書はお店のオープン予定日の3か月前には書いておきましょうね」、とアドバイスしているサイトがあります。その理由ですが、上記のようにオープン日から逆算するとよくお分かり頂けると思います。
3.事業計画書のフォーマットはここからダウンロードできます
①【おすすめ度★★★】日本政策金融公庫からひな形をダウンロードする
日本政策金融公庫は日本政府が100%出資した金融機関です。株式会社ではありますが、日本の公的機関という立ち位置にある安心安全な金融機関です。
日本政策金融公庫は一般の銀行とは違い、「お金を貸してくれる」金融機関です。支店はメガバンクのように日本全国にあります。主に中小企業や農業・漁業などの事業に向けた事業融資や一般の方向けの教育ローンなどを行っており、日本政策金融公庫で口座を作りお金を預けることはできません。
※上記URLをクリックすると、外部サイトへリンクします
上記のURLをクリックいただくと融資に必要な各種書類がダウンロードできます。ここからダウンロードできる事業計画書の内容は非常に標準的です。日本政策金融公庫で融資を受ける際はもちろん、他銀行などから融資を受ける際もこの事業計画書を利用できます。
②【おすすめ度★】Google検索で上位に来るテンプレートをダウンロードする
「事業計画書 飲食店 テンプレート」などのキーワードでGoogle検索すると、biz oceanなどのテンプレートサイトから事業計画書のフォーマットを無料ダウンロードできます。
※上記URLをクリックすると、外部サイトへリンクします
一般のテンプレートサイトを利用するメリットは、ひな形がたくさんあるので融資用だけでなく事業経営に使える他のひな形(商品原価一覧表など)もあわせてダウンロードできる点です。デメリットは、日本政策金融公庫の書式と比べると少し項目が少ないので自分で項目を足す必要がある点です。
③【おすすめ度★★】エクセルで自作する
Excelでの作業が得意な方は、ご自身で事業計画書のフォーマットを作成しても良いでしょう。内容さえ公庫の書式と同じであれば、項目の順番やお気に入りのフォント(文字)にするなどあなたの自由にできるというメリットがあります。
まとめ
飲食店の事業計画書の書き方を簡単にご説明しました。どうしても飲食店が開きたい。この場所で開けば絶対うまく行く気がする。
そんな方は是非、当サイトの無料相談をご利用ください。事業融資が可能かどうか、メールやお電話での必要な情報をヒアリング後に回答しています。