法人の代表者であれば、代表者印を用意するのはもちろんですが他に法人銀行印も必要です。
しかし、その両方の印鑑を用意するには費用も手間もかかりますので、2つとも同じ印鑑にしてしまおうかと思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、法人銀行印と代表者印の区別について説明いたします。
1.企業経営に必要は印鑑の種類
法人銀行印と代表者印はシーンによって役割が違いますが、企業経営に必要な印鑑は法人銀行印と代表者印以外にも様々な種類の印鑑があります。
以下にその一覧を示します。
代表者印 | 契約を結ぶ際に使用します。会社設立時、法務局にて印鑑登録します。会社名と役職者名が書かれた丸形の印です。 |
法人銀行印 | 銀行で法人口座の開設や小切手・手形を発行する際に使用します。社名と銀行印であることが書かれており、丸形です。 |
社印 | 社内文書などに押す会社の認印です。社名のみが書かれた角形です。 |
住所印 | 住所などの定型文を写す際に使います。ゴム製でてきているのが特徴です。 |
これらの印鑑を合わせて法人印鑑と言います。
ただし、住所印に関しては作業の効率化の為ですので、主なものは他の3種類です。
法人銀行印と代表者印に関しては使用用途が違うため、違う印鑑が必要と考えている方が多いですが、実際はこの2つは併用することができます。
会社を設立する際には、代表者印によって手続きが終わりますので、代表者印は必須のものとなります。
そして、その代表者印をそのまま銀行で口座開設する際の届出印として使用することもできます。
そのため、他人によっては経費を削減するために、代表者印を銀行印としてそのまま使う人もいます。
しかし、この2つを併用できるからと言って、併用する方が今後も見据えて良いと言えるのでしょうか。
2.代表者印と法人銀行印は分けた方が良い
代表者印と法人銀行印は併用することができるものの、別のものを用意した方が良いと言えます。
(1)代表者印と法人銀行印は使う人が違う
代表者印と法人銀行印は使う人が違います。
代表者印を使うのは基本的に会社の代表者です。
代表者印は契約書への捺印など、会社の将来を左右する際に使用する印鑑ですので、経営に関して決定権を持っていない人が使用することはありません。
例えば、代表者ではない従業員が営業先で契約を交わしたとしても、その契約書に印鑑を押すのは代表印を持つ代表者です。
そのため、契約のためであったとしても、代表者以外が代表社印を持ち出して契約書に押してしまうということはありません。
一方、法人銀行印は代表者印とは異なり、会社の経理担当者など代表者以外の人が使用するケースもあります。
つまり、代表者印と法人銀行印は使用用途の他に、使用者の違いがあるということです。
使用者に違いがある印鑑が同一のものであれば、印鑑の行き来が頻繁になってしまうため非常に面倒になってしまう可能性があります。
そのため、代表者印と法人銀行印は別にした方が良いと言えます。
(2)紛失のリスクや手間の軽減になる
代表者印と法人銀行印を分けることで、紛失した際のリスクと手間の軽減につながります。
代表者印と法人銀行印が同一の場合、契約書の取り交わしから金銭のやり取りまで1つの印鑑で完結するという事です。
もしそのことを第三者が知っていて、印鑑を紛失してしまった場合、悪用されるなど大変なことになるかもしれません。
また、代表者印と法人銀行印が同じである印鑑を紛失した際には手続きも面倒になります。というのも、法務局と金融機関の両方での手続きを済ませなければならないからです。
しかし、代表者印と法人銀行印が別であれば、万が一紛失した場合でもいずれが一方の手続きだけで済みます。
そのため、もしものことを考えて代表者印と法人銀行印は別にしておくことをおススメします。
まとめ
代表者印と法人銀行印は併用することができるものの、今後のことを考えると別にした方が良いと言えます。
たしかに印鑑を2つ用意するとなると、余計に費用が掛かってしまいますが、その分業務内での便宜や紛失のリスク軽減に役立ちます。
代表者印と法人銀行印を別にするべきかどうか悩んでいるという方がおりましたら、上記の理由からも別に代表者印と法人銀行印を用意することをおススメします。