事業融資とは利子付きでお金を金融機関などから借りることです。借りたお金はお店の工事費や仕入れ費などに利用できます。
この融資は「事業に対する経験がどれぐらいあるか」や、「自己資金がどれぐらいあるか」が審査の基本となります。
今回の記事では、融資を受けたいけど自己資金がなく、家族に借金をする予定の方へ注意点を伝授します。
1. 自己資金の基準をおさらいしよう
①自己資金とは?
自己資金とは、すぐに使う予定のない、すぐに引き出すことのできる預貯金のことです。銀行に預けている貯金と考えればよいでしょう。
あなたが日本政策金融公庫から融資を受けたいのであれば、この「自己資金」がいくらあるかで融資の合否の3割は確定します。
②自己資金50万円でOK?
「自己資金?あるよ。50万円」という方もいるのですが、50万円では自己資金として認められないことでしょう。なぜかと言うと、自己資金はあなたの以下の要素を判定するために必要なお金だからです。
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【自己資金が融資で必要な理由】
・あなたが計画的に事業を行う人なのか確認したい
・事業がうまくいかない時に返済できる能力があるのか知りたい
上記の理由で自己資金が融資の際の審査基準の一つになっています。50万円は、割とすぐに貯められるお金として見られます。人によっては、数か月で貯められます。また、50万円程度であればキャッシングなどでお金を借りることも可能です。そのため、計画的にコツコツお金を貯められる人、事業がコケた時に返済できる人とはみられないのです。
③自己資金として認められるお金のポイントは?
これでは審査の意味がないので、自己資金の基準は「あなたが」「コツコツと」「最低半年~2年以上積み立て」貯めた、「通帳で確認できる」というポイントをクリアしているお金でなくてはいけません。
2.家族の預貯金も自己資金として認められます
事業は一人でやる方もいれば、夫婦共同や家族経営で行う方もたくさんいらっしゃいます。
自己資金で最も評価の高いものはあなたが数年かけてコツコツ貯めた預貯金ですが、それ以外にあなたの配偶者やご家族が貯めたお金も自己資金として認められます。
家族の貯金は2番目に評価されます。けれども、いきなり通帳に何百万円と突然振り込まれるお金はクレジットカードローンやキャッシングで借りたと判断され、「見せ金」として低い評価をされてしまいます。
3.家族からお金を借りた場合の2つの注意点
①借用書を書こう
家族間での借り入れでも、きちんと書面にする必要があります。これをしないと、「いつになったら返してくれるの?」と、後々トラブルになることもあります。お金が原因で家族間がギスギスするのは嫌ですよね。
借用書は、お金を借りる側(借主)とお金を貸す側(賃主)との間で交わされる書類で、その内容には以下の項目を含むように作成します。
【借用書で必要な項目リスト】
借用書の作成日 | 賃主の氏名 | タイトル |
借主が金銭を受領した内容 | 貸し借りした金額 | 貸し借りした日付 |
返済期日 | 返済方法 | 借主の住所・氏名・押印・ 収入印紙 |
借用書は正確に作成すれば、法的な効力を持つ文書となります。作成の際には、以下の注意点も気を付けましょう。
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【借用書作成で注意すべき点】
・借用書自体はテンプレートを使ってパソコンでの作成も可能ですが、署名は自筆ボールペンで行います。
・お金の金額を改ざんされないよう、漢数字(壱、弐など)を使って表記します。
・遅延損害金について明記し、遅れた場合の金利を記入します。金利を発生しなくてよい場合は未記入とします。
②年に110万円を超えるお金を借りる場合は贈与税の対象になる
(1)贈与税はどうやって計算する?
親や配偶者から年に110万円を超えるお金を借りる場合は、贈与税の対象となります。
【贈与を受けた財産の合計額】-110万円(贈与税の基礎控除)=贈与税の課税対象額
贈与税の計算は上記の計算式で求めます。例えば、親から300万円を融資の自己資金として借りた場合は、贈与税の課税対象額は 円となります。
300万円-110万円=190万円
贈与税の金額は、上記で求められた190万円に贈与税の税率をかけ控除額を差し引いたものとなります。300万円の場合の贈与税は15%で控除額は10万円ですので、以下の計算式で求められます。
190万円×0.15%-10万円=18.5万円
親などの家族から300万円を借りた場合の贈与税は18.5万円です。
(2)借用書があれば贈与税を支払わなくていい
「贈与税って高いなあ!」という感想をお持ちになる方もいらっしゃることでしょう。しかし、ご安心ください。家族からお金を借りても、きちんと借用書を作成しておけば贈与税の対象とはなりません。借用書があるということは、贈与ではなく貸している状態と公的に認められるからです。
お金のやりとりは手渡しではなく通帳で確認できるようにすることが重要です。融資の自己資金として認められるには通帳で確認できなくてはいけません。
「手元に親から借りた〇〇万円があります」と融資担当者に伝えても、融資担当者は警官のようにあなたの家までそれを確認しに行くことはできません。
まとめ
日本政策金融公庫から融資を受ける際に自己資金が足りない方は、家族からのご協力で自己資金の審査をパスされている方がいらっしゃいます。
その際は、現金手渡しではなく通帳に記載することと、借用書を取り交わすことが大切です。