会社設立時、必ず決めなくてはならない項目のひとつに「資本金」があります。
1円から起業が可能になりましたが、これから事業を行っていく上で、一体いくらに設定するのが良いのでしょうか。
1.そもそも「資本金」ってなに?
会社を設立するときに準備した運転資金のことを「資本金」といいます。
開業する際に必要となる印紙代や登録免許税、事務用品や仕入金など、最初にかかる経費にあてますので、利益が出るまでの経費等をまかなえるくらいの額に設定しておくのがベストです。
業種によって異なりますが、半年間は仮に全く利益が出なかったとしても会社を運営していける金額を目安にしましょう。
平成18年(2006年)に施行された会社法により、資本金1円でも起業できるようになりましたが、さまざまなデメリットがありますのでオススメできません。
2.資本金設定の5つのポイント
では、実際資本金を決める際、押さえておくべきポイントは何でしょうか。詳しく見ていきましょう。
(1)Point1 債務超過になる可能性
作業場は自分の自宅で軌道に乗るまでは誰も人を雇わず、パソコン1台さえあれば仕事ができるような業種であれば初期費用は抑えられますが、会社を設立し、事業をスタートするには何かとお金がかかります。
例えば、
・登記にかかる費用
・店舗や事務所の保証金や賃貸料
・電話やインターネット等の通信設備費用
・テーブルや机、椅子等の備品
・パソコンやプリンター等のOA機器
・従業員への給与
これらを資本金として設定した額でまかなうことができるでしょうか。
仮に資本金1円としていた場合、備品を1つ買っただけで債務超過となってしまいます。
(2)Point2 融資を受けるときの基準になる
金融機関から融資を受ける際、資本金も審査において重要な項目です。
だだし、資本金が低かったとしても自己資金があれば融資は受けられます。
日本政策金融公庫での融資を考えているのであれば、借入希望額の1/3程度の自己資金を用意しておくと融資が受けやすいと言われていますので、計画的に貯めておきましょう。
(3)Point3 取引先からの信頼度
ご覧になったことのある方も多いかと思いますが、資本金は企業ホームページの会社概要に記載されているケースがほとんどです。
あまりに低い資本金を設定してしまうと、取引先が不安に感じて敬遠される可能性もゼロではありません。
ただし、飲食店など個人のお客様を対象としたサービスを提供する会社であれば、資本金を無理して高く設定する必要はないでしょう。
飲み会の場所を探すときに資本金が低いから別のお店にしよう、と考える方はいないですからね。
また、金融機関で法人口座を開設しようする際、資本金1円など金額が低いことが原因で取引を断られてしまうケースもあります。
もちろんあとから増資することもできますが、手続きに費用がかかってしまいますので、一定の信用は確保できる額に最初から設定しておきましょう。
(4)Point4 負担する税金
低すぎる資本金はオススメできないとお話しましたが、1,000万円を超える高額な資本金も創業時は避けた方が良いです。
なぜなら、消費税の免税措置を受けることができず、納税義務が出てきてしまうからです。
資本金が1,000万円未満の会社の場合、原則として2期目までは消費税が免除されますので、税金面から考えるとお得になります。
また、法人税も1,000万円以下であれば7万円なのに対し、1,000万円を超えると18万円と11万円も多く支払わなければなりません。
(5)業種によって許認可の条件になる
起業しようとしている業種によっては、許認可をとるために資本金額の要件が定められている場合もあります。
例えば、一般建設業は500万円以上の資本金が必要です。
他にも次のような業種が挙げられます。
まとめ
資本金はこの額にしなければいけない!という決まりはありません。
ご自身で設定できるからこそ、前述したポイントを踏まえていくらに設定するのか検討すると良いでしょう。