起業をするにあたり、業種選びはとても重要です。業種によって融資を受けやすい事業とそうでない事業があるからです。また、それだけでなく業種により許認可や資格がたくさん必要になる事業もあります。
今回の記事では、起業をお考えの皆様へ起業の業種の種類とおすすめの業種についてお話させて頂きます。
1.今、日本で最も起業が多い業種を統計の割合から見てみると
起業の業種を調べた統計があります。おそらく、日本国内ではかなり信頼できるデータなのではないかと思います。なぜかというと、日本政策金融公庫という政府系の金融機関が調査したデータだからです。
上記のグラフは、「起業と起業意識に関する調査」という2019年1月17日に日本政策金融公庫が発表した数値を元に筆者がグラフ化したものです。
このグラフを見ると、最も多い業種は「個人向けサービス」(19.0%)であることが分かります。次いで多いのは、事業所向けサービス業で12.7%です。このグラフを起業の多い業種順に業種を並べますと、以下のような結果となります。
1位:個人向けサービス業(19.0%) 2位:事業所向けサービス業(12.7%) 3位:小売業(9.7%) 4位:不動産業、物品賃貸業(8.8%) 5位:情報通信業(8.6%) 6位:教育・学習支援業(8.0%) 7位:医療・福祉(7.1%) 8位:建設業(6.9%) 9位:飲食店・宿泊業(5.8%) 10位:製造業(5.6%) 11位:卸売業(3.7%) 12位:運輸業(2.6%) 13位:その他(1.5%)
この結果を見ると、「1位の個人向けサービス業って何?」「2位の事業所向けサービス業って?!」などと少し気になりませんか?ネット検索で調べてみたところ、最近は元々法人向けだったカーリース(月額で新車を借りるサービス)が個人向けでも人気ですし、個人向け金融商品が景気の長期低迷で人気だそうです。
【個人向けサービス(一例)】 =カーリース、金融商品、研修システム、クラウドストレージ、ゲームソフト、写真業
これに対し、2位の事業所向けサービス業で最近人気のものには以下があります。
【事業所向けサービス(一例)】 =介護ソフト、システム・ソフトウエェア受注、医薬品・化粧品等卸売業
【参照】サービス産業活動図表集2019年8月13日|経済産業省
時代を反映してか、車を持たずにリースで済ませ、将来の年金が心配で資産運用に積極的になるなど、一般の消費者の行動が如実に影響しているようですね。個人向けサービスは法人向けに比べて利益や市場が小さいとみられがちですが、「個人向けサービス産業が拡大すれば、日本経済も成長するだろう」と平成26年度の年次経済財政報告(内閣府)では指摘しています。
2.融資を受けやすい業種
次に、起業で融資を受けやすい業種について考えていきたいと思います。起業には多かれ少なかれ「資金」が必要ですが、その資金を全て起業する方の預貯金で賄うのはなかなか難しいものです。
融資を受けやすい業種を判断するポイントは、ズバリ「建設業のように設備資金がかかる事業」「時代のニーズを反映している事業」「相互扶助の精神に則った事業」の3つです。
【融資を受けやすい業種3つ】
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建設業のように設備資金がかかる事業
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時代のニーズを反映している事業
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相互扶助の精神に則った事業
事業で融資を受ける場合、「運転資金」と「設備資金」という枠でお金を借りることができます。運転資金とは、毎月かかる店舗の家賃や商品の仕入れ資金や人件費などを指します。これに対し、設備資金は不動産取得費用や大型機械の導入費用などになるため、運転資金と比べて融資額は高くなるのです。
また、保育園や介護施設など時代のニーズに合った事業であれば、多くの場合は自治体で補助金を出しています。他の事業よりは優先的に融資を受けやすいと言えるでしょう。但し、保育園や介護施設事業を始めるには、あなた自身の経歴が十分にあり、大量の書類審査や許認可をクリアしなければいけません。
3.資金があまりかからない業種
ネットを使えば、自宅のパソコンで資金がほぼゼロ円で起業できる業種がたくさんあります。これまで以上に日本国内で起業する方が本格的に増えている背景の一因は間違いなくネットの普及です。
【資金があまりかからない職種(ネット利用)】
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アフェリエイト(ライター、Web制作etc)
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ブログ収入
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YouTube
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せどり
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ネット通販 など
これらの業種は、ネット環境とPCやスマホがあればすぐにでも始められる仕事です。業種で言うと、IT利用のサービス業といったところでしょうか。但し、お金はかからずとも時間は莫大にかかります。時間が取られるということは、本業がある方は本業をする時間も場合によっては削られてしまいます。
また、気軽に資金不要で始められる事業のため、競争が激化していることは覚悟しておきましょう。ネット利用の職種は時間が湯水のように必要で、まとまった利益を出せる方は限られた一部です。
4.女性に向いている起業の業種
最近では電車の車掌さんを助成が務めていても、何ら珍しくはない時代になりました。けれども、やはり女性ならではの視点や細やかさやセンスはぜひとも起業する際には活かしてほしいものです。
【女性に向いている起業の業種】
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1.手芸や洋服などハンドメイド品の販売業
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2.スイーツやドリンクなどを売るカフェ事業
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3.子供にピアノや体操などを教える教育事業
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4.センスを活かしたWebデザインやライター業
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5.子供が放課後に安心して過ごせる場所を提供するアフタースクール業
女性ならではの特性はたくさんありますが、子育て経験がある方であればやはり子供に関わる業種が最も適性が高いのではないでしょうか。また、この他には着物の着付けやヨガなど女性ならではのインストラクター業も女性に向いている事業と言えます。
5.失敗しない起業の業種
失敗しにくい業種と言えば、やはり①在庫を持たず②低予算で起業でき③体力的にもラクな事業が必須ポイントとなります。在庫が多く、初期費用が高く、体力的にキツイ事業というのは失敗すると起業者の負担が大きくなるからです。
上記3つのポイントを押さえた事業と言えば、やはりネットを使った事業と言えます。ただネットを使ってブログなどを書くのは多くの人がやっていますので、あなた自身でなければ成り立たないような独自性のあるアイデアを元にした新サービスを考えていきましょう。
例えば、当サイトを立ち上げた株式会社SoLaboの創業のきっかけは、創業者が元々専門学校で財務論を教えていた税理士で「Webでわかりやすい相続のサイトを作ってみよう」というアイデアからスタートしたのです。独自性があれば、競合他社が少なく廃業する可能性も低くなります。(但し、同時に利益も出せるビジネスモデルでなければいけません)
6.【結論】起業でおすすめの業種と分野とは?
起業でおすすめの業種は各個人の特性や資金などによって異なるため、一概に「〇〇業がおすすめです!」とは言い切れません。しかし、あなたの人生で経験がある事業はうまくいく確率が高いことは間違いありません。未経験の事業よりは経験がある事業の方が資金調達しやすいため、起業にオススメします。
【許認可が必要な事業と届出先(一例)】 ・飲食店業・・・保健所 ・美容業・・・保健所 ・クリーニング業・・・保健所 ・建設業・・・都道府県 ・宅地建物取引業・・・都道府県 ・中古品販売業・・・警察署 ・酒類販売業・・・税務署
また、起業するのがラクな事業というのはその反面、直ぐに廃業しがちな事業でもあります。保健所や都道府県などへの届出(※許認可)が必要な事業ほど、起業時のオーナーの苦労は大変名ものですが、その分事業も簡単にはつぶれない(ネット起業よりは)ものです。また、許認可が下りていれば金融機関からの融資も受けやすくなります。
まとめ
最近では日本政府が起業を積極的に推進していることもあり、日本国内での起業への心理的ハードルは低くなりました。
起業しやすい業種としにきい業種というのは確かに存在します。起業する前には、あなたの環境にあったものを十分に吟味してからスタートしてください。