知らず知らずに使っている、似たような意味の言葉ってたくさんありますよね。例えば、開業と創業。創業は今からみて過去に開業した時期を指すそうです。
では、創業と設立って具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?
1.創業とは
創業という言葉は「〇〇年に事業を開始しました」という意味のある言葉です。そのため、会社をつくるという意味とはイコールではありません。事業(ビジネス)は会社設立せずに個人事業主でもできますし、会社設立をしてから事業を開始することもできますからね。
ですから、「5年後に創業したいんです!」という言い方は、言いたいことの意味は十分わかりますが、語法としては誤りなのです。
2.設立とは
設立とは会社や学校などの公共的な機関を新規に作ることを言います。超個人的な場所(例、俺の書斎)などのことは「設立する」と言いません。
会社や学校などを設立する場合、単に建物を契約したり作ったりするだけでは社会には認められません。必ず「登記」といって住所や代表者などの書かれた書類(登記書類)を作成し法務局の帳簿に登録する必要があります。登記をすることで、会社や学校は誰のものかという権利や支払わなくてはいけない義務も明確化されます。そのため、設立という言葉はよく登記の場面でも登場します。
ちなみに、この制度はインターネットの中のドメイン(領域)と似たような仕組みです。あなたが今見ているサイト(経営支援ガイド(旧 inQup))のURLはinqup.comですが、.comの前の部分のinqupというドメインは、現在本サイトの運営会社が所有しています。そのことはDNSサーバー(ドメインネームシステム)に登録されているのです。少し登記と似ていますよね。
3.創業はこんな時に使う言葉
創業は「創業〇〇年」というように年数と共に使われることの多い言葉で、「かなり昔からやってます」アピールに効果的です。
創業アピールは和菓子や呉服など和風のものに多い気がするのですが、例えばサントリーで販売されている京都のお茶・伊右衛門は京都・福寿園の製品ですが、福寿園は創業1790年です。スゴイですね。
4.設立はこんな時に使う言葉
設立は「かなり前からやってます」アピールに使われてはおらず、会社登記や設立趣意書など会社をつくる際に手続きなどでよく出てくる言葉です。
よく世間で知られているブランドでも、創業を先にして、あとから会社設立するというパターンは非常に多いです。またまたサントリーを例に出しますが、創業は1899年で初めてウイスキーを販売した鳥井信治郎氏がサントリーと名付けたそうです。会社設立をしたのはその32年後の1921年です。
5.会社設立がしたいのか、創業がしたいのかという話
会社設立して社長になりたいからまず会社を作るという方がいらっしゃいますが、会社はあくまで事業をするステージであり箱のようなものです。勝負する中身がともなわないと、単にお金がかかって手続きが面倒で、とメリットがあまりありません。
融資の話で言うと、事業がしっかり軌道にのってさえいれば、個人事業主か会社なのかという判断で融資が不利になることはありません。「自分は何がしたいのか」をよく考え、その上で会社設立した方が社会的信頼などのメリットがあるようであれば、会社設立すればいいのです。
まとめ
設立は会社や学校など社会の中で公共性のある施設を作ることを指します。創業は今からみて過去に事業をスタートした時期を差し、創業〇〇年という言葉で使われることの多い言葉です。
単にこれから事業をスタートする時は、「開業」という言葉を使うとよいでしょう。