3月も中旬を過ぎましたが、個人事業主の皆さんは、既に確定申告を済ませているでしょうか?
先月2月27日、国税庁は昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する観点から、令和元年(2019年)分の確定申告の申告・納付期限を令和2年(2020年)4月16日(木)に延長するという発表をしました。
さらに4月6日の発表で、4月17日(金)以降も柔軟に申告を受け付けると発表しています。
例年の申告・納付期限よりも延長されたことで、手続きを先延ばしにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、確定申告の延長に関して改めて確認し、本年度の確定申告延長の影響で変わると思われる点や確定申告時の注意点を解説していきます。
確定申告の準備をまだ済ませていないという方は、ぜひご一読ください。
1.平成31年/令和元年(2019年)分の確定申告期限は?
(※4月7日追記)
国税庁は4月6日の発表で、4月17日(金)以降も柔軟に申告を受け付けると発表しました。
申告書の作成又は来署することが可能になった時点で税務署へ申し出れば、申告期限延長の取扱いをする、としています。
なお、4 月 17 日(金)以降の申告相談については、確定申告会場のように先着順に申告相談を受ける方法ではなく、原則として、事前予約制とすることで、感染リスク防止に配慮すると発表しています。
【参照:確定申告期限の柔軟な取扱いについて― 4 月 17 日(金)以降も申告が可能です ―(国税庁)】
政府が新型コロナウイルス感染拡大防止の方針を打ち出したことを受けて、国税庁が延長した令和元年(2019年)分の確定申告受付期限は、それぞれ下記表の通りです。
申告する税金の種類 | 申告/納付の期限 |
申告所得税 |
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個人事業主の消費税 |
|
贈与税 |
|
あわせて、申告所得税および個人で消費税の振替納税(銀行口座等からの自動引き落とし)を利用している方の振替日も下記表の通り延長されています。
税金の種類 | 振替日 |
申告所得税 | 2020年5月15日(金) |
個人事業主の消費税 | 2020年5月19日(火) |
【参照:(振替納税をご利用の方へ)口座からの振替日が、申告所得税は5月15日(金)、個人事業者の消費税は5月19日(火)になります(国税庁)】
例年より、期限が延長されたので、まだ準備が終わっていないという方もあわてず落ち着いて書類作成を進めていきましょう。
それでは、これら申告期限の延長の影響により、今後どのような影響がおよぶことが考えられるか、次項で確認していきましょう。
2.申告期間延長の影響はどこにおよぶ?
確定申告の期間延長は、今後の税金関連の手続き期限にも影響が及ぶものと考えられます。
総務省は、地方税(住民税、固定資産税など)に関して、各自治体へ「災害その他やむを得ない理由」で書類の提出期限および納付納入期限に間に合わない場合、期限の延長を行うなど適切に運用するよう呼びかけています。
【参照:新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からの申告期限の延長について(総務省)】
例えば、住民税の場合。その年に収める住民税は前年の確定申告のデータから算出されます。
通常であれば、令和2年(2020年)分の住民税は令和1年(2019年)分の確定申告のデータから算出し確定しますが、今回確定申告の申告期間が一ヵ月延長されたため、住民税の納付期限も変更されることが予想されます。
但し、住民税含め地方税に関しては、自治体ごとに対応が異なりますので、詳細は各地方自治体へお問い合わせください。
住民税の詳しい計算方法については下記記事で解説しています。個人事業主であればおさえておきたい項目ですので、ぜひこの機会にチェックしておきましょう。
3.確定申告書類の提出方法は大きく分けて3パターン
確定申告書類の提出方法は下記3パターンがあります。
それぞれについて見ていきましょう。
【確定申告書類の提出方法】
(1)管轄の税務署で直接提出する |
(2)管轄の税務署へ郵送で提出する |
(3)インターネットを通じてe-TAXで申告する |
(1)管轄の税務署で直接提出する
管轄の税務署に行き、直接提出する方法があります。
確定申告のために作成した書類は、法律により、各人が「所属する納税地を管轄する税務署」に提出することが定められています。
管轄の税務署が分からない場合は、国税庁の下記サイトから郵便番号または住所等から調べられます。
書類作成で不明点があった場合、直接係員に相談できるのが直接提出のメリットです。また、確定申告の期間中は、税務署内外で申告方法に関して税理士に相談できる会場を設けている署もありますので、書類に不安がある際はプロに相談することも可能です。
一方で、確定申告期間は窓口が混雑していて待ち時間が長くなったり、税務署の開庁時間に来訪することが困難であったりと、時間の制約があるのがデメリットです。
その場合は、次項でご説明する「(2)管轄の税務署へ郵送で提出する」方法や、「(3)インターネットを通じてe-TAXで提出する」方法もおすすめです。
★国税庁は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、会場来場者へ下記の呼びかけを行っています
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、国税庁は確定申告会場への来場を予定している方に対して、「熱・発熱等の症状がある方や、体調のすぐれない方」は入場を控えるよう、呼びかけを行っています。
【※参照:新型コロナウイルス感染症に関する対応等について】
税務署に行く際には、手洗い、マスクの着用、アルコール消毒液を使用するなど、感染予防に心がけましょう。
外出を極力控えたいという方は、(3)でご説明する「インターネットを通じてe-TAXで提出する」方法を選択しましょう。
(2)管轄の税務署へ郵送で提出する
確定申告書類を管轄の税務署へ郵送して提出する方法もあります。
書類が受理されたことの証明を残しておきたいという方は、受理印の押された控えを返送してもらうことも可能です。その場合、住所を記載して切手を貼った返信用の封筒もあわせて同封しておきましょう。
(3)インターネットを通じてe-TAXで申告する
インターネット経由で、e-TAXを使用して確定申告を完了させることも可能です。
「e-TAX」は、インターネットを利用して確定申告の手続きができる電子申告・納税システムです。
インターネット環境が整っていれば、税務署に出向く必要もなく、自宅から申告ができるので、今回のように不要の外出を避けたい状況におすすめです。
国税庁も、積極的に「e-TAX」を利用するよう、呼びかけています。
詳しい利用方法は下記記事で解説していますので、電子申告をお考えの方はぜひチェックしてください。
確定申告の届け出はどうすればいいの?その5 「e-Tax」で電子申告するとこんなに楽
また、2019年からスマートフォン・タブレットからの確定申告ができるようになりました。マイナンバーカードとマイナンバーカードに対応したスマートフォンをお持ちであれば、スマホのみで確定申告ができます。詳しくは、下記URLの国税庁からのお知らせをご確認ください。
国税庁からのお知らせ <スマートフォンでの申告が更に便利に!>
★確定申告期間の延長に伴い、e-TAXの利用可能時間および作成コーナーヘルプデスクの受付時間も変更に
令和元年(2019年)分の確定申告の申告・納付期限が令和2年4月16日(木)に延長したことで、e-TAXの利用可能時間および作成コーナーヘルプデスクの受付時間も下記の通り変更となっています。
1 e-Taxの利用可能時間(送信可能時間)
・利用可能期間:令和2年1月6日(月)~令和2年4月16日(木) ・利用可能日:全日(土日祝日を含む。) ・利用可能時間:24時間 (メンテナンス時間を除く。) ※メンテナンス時間は、毎週月曜日0:00~8:30および3月22日(日)の終日を予定。 |
2 e-Tax・作成コーナーヘルプデスクの受付時間
・利用可能期間:令和2年1月14日(火)~令和2年4月16日(木) ・利用可能日:月曜日~金曜日、2月24日の祝日及び3月1日、8日、15日の日曜日 ・利用可能時間:9:00~20:00 ※3月20日(金・祝)は受付していないためご注意ください。 |
【参照:令和元年分の確定申告期におけるe-Tax及びe-Tax・作成コーナーヘルプデスクの受付時間について(令和2年3月12日)|e-TAX】
5. 融資審査で必須!「確定申告書の控え」の受け取りを忘れずに
確定申告時に発行される、「確定申告書の控え」は必ず受け取り、保管しておくようにしましょう。
「確定申告書の控え」とは、税務署が受け取った日付を示す収受日付印(受付印)が押されたものを指します。
(1)「確定申告書の控え」を受け取る方法3パターン
「確定申告書の控え」を受け取る手段としては、下記3パターンがあります。
①管轄税務署の窓口で直接確定申告した場合 |
②郵送で確定申告書を送った場合 |
③e-TAXによる電子申告を行った場合 |
①管轄税務署の窓口で直接確定申告した場合
まず、管轄税務署の窓口で、直接確定申告書類を提出した場合。
その際は、必ずその場で受付印の押された控えを渡してもらえます。
②郵送で確定申告書を送った場合
次に、郵送で確定申告書を提出する場合。
送付の際、提出用と控え用の申告書と一緒に、宛名と住所が記載された返信用封筒を同封すれば、受付印の押された控えが返送されてきます。返信用封筒には切手も貼っておくように注意しましょう。
なお、税務署等が配布している確定申告書の用紙が複写式ですので、原本と控えはそのまま合わせて送付して大丈夫です。
③e-TAXによる電子申告を行った場合
e-Taxで電子申告をした場合は、データで提出するので、そもそも控えは発行されません。
つまり、「確定申告書の控え」をもらうことができないということです。
e-TAXを利用した確定申告の場合は、下記の2点の提出が、収受日付印が押してある確定申告書の控えの代わりとして認められています。
- 受信通知データ
- 申告データ
■受信通知データの確認方法
① e-Tax Webサイトからe-Taxにログインし、トップ画面の「メッセージボックス確認」をクリックします。
② 「受付システム ログイン」画面で利用者識別番号等を入力する
③ 「確認画面へ」ボタンをクリックするとメッセージボックスに格納されている受信通知が表示されますので、利用された手続の受付結果(受信通知)をご確認ください。
【※参照:確定申告等作成コーナー よくある質問(国税庁)】
上記で確認した画面が「受信通知データ」となりますので、申告データと一緒に印刷しておきましょう。これが、「確定申告書の控え」となります。
(2)「確定申告書の控え」はどのような時に必要?
まず、日本政策金融公庫から融資を受ける場合、所得の証明になるものとして、必ず「確定申告書の控え」の提出を求められます。
そのほか、保育園の入園手続きや、住宅ローンを申し込む際にも必要になりますので、受け取った控えは必ず保管しておきましょう。
もし万が一「確定申告書の控え」を紛失してしまった場合は、税務署で再発行の手続きをすれば再度受け取りが可能です。
再発行の詳しい手続き方法や必要書類については、下記記事で詳しく解説しています。
5. 新型コロナウイルスの影響は予測不可能。最新情報は国税庁Webサイトをチェック!
新型コロナウイルス感染症に関する情報は、刻一刻と変わっています。本記事では、現時点(3月13日 14:30現在)での確定申告に関して、まとめておりますが、最新情報は国税庁ならびに管轄の税務署のWebサイトをチェックするようにしてください。
また、国税庁は確定申告に関して下記サイトに情報をまとめていますので、合わせてご利用ください。
まとめ
新型コロナウイルス感染拡大の影響で延長した確定申告期間について、おさえておきたいポイントと注意点を解説してきました。
確定申告会場での直接提出もできますが、郵送やインターネットを通じた提出であれば、混雑の予想される会場に出向く必要もありませんので、なるべく外出を控えたいという方は、自宅からの提出がおすすめです。
なお、最新情報は今後の最新情報は国税庁や各地方自治体等の公式Webサイトを随時チェックしましょう。