後継者不足は今後ますます問題が深刻化していくと考えられます。後継者不足を解決するためには、後継者不足の根本の原因を明確にする必要があります、原因を改善しなければ後継者不足を防ぐことは難しいと言えます。
過去には後継者不足に悩む企業が、原因を突き止めることで問題を解決した事例もあり、しっかりと問題に向き合えば廃業のリスクを避けることができるのです。
今回は後継者不足の原因として考えられる事例についてお話していきます。
後継者不足についての現状
後継者問題についての現状を確認していきます。
後継者不足とは、現在の経営を引き継ぐ人材が不在となっていることで、事業の存続にかかわる大きな問題となります。
実際に日本企業の60%以上が後継者問題に悩んでいると回答しており、年々その割合は増加傾向にあります。
経営層と中心として高齢化が進み、若い人材を確保できないといった問題を抱えているケースも多く、後継者候補が不在のまま、経営者が引退をしなければならないといった企業も少なくはありません。
また農業や伝統芸能など、専門的な技術や知識が必要な業界に関しては、経営者の子どもなど身内で事業を継承することが理想という業界もありますが、家を継ぐという考えが当たり前ではなくなってしまった現代社会においては難しくなってきているのが現状です。
今は経営者としてバリバリ働けているからまだ心配しなくても良い、と考えている方もいるかもしれませんが、実際に問題に直面してからでは間に合わない可能性も高いです。
そのため現状に安心せず、起こり得る問題と考えられる原因を明確にしておかなければならないのです。
後継者不足が起こってしまう原因とその対策
それでは後継者不足に陥る企業がなぜ増え続けているのか、その原因と対策について考えていきたいと思います。
まず実際に後継者不足が進む原因を大きく3つに分けてみます。
- 少子高齢化により社内の高齢化が進んでいる
- 家族内で事業を継承する考えが薄れている
- そもそも対策を行っていない
これらについて少し詳しく説明していきます。
(1)少子高齢化問題
現状や特徴 |
少子高齢化問題は、以前より社会問題とされていますが、企業内においても高齢化が進む業界は多いです。
例えば建設業や運送業、農業などがその例に当てはまります。 若い世代の割合が減っているだけではなく、進路や職業の選択肢が増えることで若い世代が事業に定着しづらくなっていることも問題の原因として考えられます。 選択肢が広がることは若い世代にとって素晴らしいことですが、後継者問題にとっては大きく影響しているのが現状です。 |
対策 |
最近では高齢化に悩む企業で、若い世代向けの求人を工夫している企業が目立つようになってきました。
事業の魅力や楽しさを最大限伝える工夫を施し、事業に対して興味を持ってもらおうという姿勢が見られます。 業界自体のイメージで判断する人も多いと思いますので、若い世代が不安に思うことやマイナスイメージにつながる要素などを分析して、そのイメージを払拭するような工夫を試してみてはいかがでしょうか。 |
(2)家を継ぐという考え方の変化
現状や特徴 |
家の事業を子どもが引き継ぐ、という事業継承を昔から行ってきた事業も多いかと思います。
とはいえ子どもに引き継ぐ意思がなければ、無理に家を継がせることは難しいでしょう。 少子高齢化問題でも説明したように、職業の選択肢が増え、子どもが家を離れることの方が当たり前になってきているかもしれません。 中には親側が子どもではなく外部の人材に事業を引き継ぎたいと考えるケースもあるかもしれません。 昔に比べて「家を継ぐ」という考え方自体が変化しており、結果的に後継者不足に発展してしまうということが考えられます。 |
対策 |
もし子どもに事業を継いでほしいという考え方であれば、時間をかけて事業についての理解を深めてもらうことが理想です。
小さいころから親の背中を見て育ち、知らず知らずのうちに親の仕事がしたい、と考える子どもも多くいます。 そうでなくてもある程度の時間をかけ親子間のコミュニケーションをとることで、一度は別の職業に就いても、いずれ後継者として戻ってきてくれる可能性もあります。 以前に比べ親子のコミュニケーションが減っているという説もありますが、身内や子どもへの事業継承を考えるのであれば早いうちからお互いの意思を確認しておいた方が良いでしょう。 |
(3)そもそも対策を行っていないケース
現状や特徴 |
後継者問題は自分の会社には関係ない、と思っている方もいるでしょう。
たしかに後継者の候補がいて、それなりに経営の見通しが立っている場合は、大々的に対策をとらなくても良いかもしれません。 しかし、実際に後継者不足により廃業に追い込まれる企業の中にも、特に対策をとっていなかった企業は多数あります。 いざ後継者に経営を任せたいと思ったときに、後継者から事業継承の了承が得られなかった、などといった事態も想定しておく必要があると考えられます。 |
対策 |
後継者を選ぶのには数年かかるケースも多く、その後の育成も考えると、中長期的に動かないと間に合わない可能性が高いです。
今はまだ考えなくても大丈夫、と思っていても先延ばしにするのではなく、今の内から様々なケースを想定して行動しておくことをお勧めします。 |
悩んだら外部や専門家に相談!
後継者問題に悩んだ際は、一人や社内だけで悩むのではなく税理士・司法書士・弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
客観的な目線で経営についてのアドバイスをくれたり、外部からの後継者の紹介、また事業の売却についても意見をくれるかもしれません。
どうしようもなくなる前に、相談をしておくことで経営者の方のストレスや不安を軽減できる可能性があるので、悩んだら外部に話してみることをおすすめします。
まとめ
以上、経営者不足に陥る原因と対策について説明させていただきました。
後継者問題に陥る原因は様々なものが考えられますが、リスク回避のためにも事前に対策をとっておくと良いです。
まだ後継者のことを考えていないという方も、大切な事業を長く存続させるためにも、信頼できる後継者を見つけられるようじっくり考えてみるとよいかもしれません。