ビジネスの基本で、知っておきたいキーワードとして「KPI」があります。
目標達成のための行動を評価する判断指標、あるいはその手法を意味します。
この記事では、KPIの基本を押さえつつ、具体例を挙げて設定手順を紹介します。また、KPI指標の設定が適切か確かめる方法も説明しますので、ご活用ください。
1.行動判断指標のひとつ「KPI」とは?
KPI(ケーピーアイ:Key Performance Indicator)は、日本語で直訳すると重要業績評価指標です。
目標達成のための行動を評価する判断指標、あるいはその手法を意味します。
KPI指標と書いた場合、判断指標の方の意味であることを示します。
指標とは、要は「ものさし」のことです。
学生の学力を測るのに偏差値やテストの点数という「ものさし」があるように、ビジネス課題の解決度合いやビジネス目標の達成度を測るための「ものさし」としてKPI指標が必要です。
なお、KPIというキーワードは、期間を区切った、途中までの目標の達成度を測るために使われる傾向にあります。
年単位のような長期の目標の場合にはKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)が指標として使われますので、使い分けには注意しましょう。
2.KPI指標を設定する5つのメリット
目標の達成度を測るために活用されるKPI指標ですが、設定することで他にも次のようなメリットが得られます。
- 目標が明確になる
- 目標達成するための課題が明確になる
- どの程度、資金や設備、人員を確保すべきか明確になる
- 会社全体で目標に向かって進むことができる
- PDCAを繰り返すことで事業の成長が期待できる
KPI指標の設定手順は後ほど詳しく説明しますが、KPI指標を設定するためには、達成目標や課題、達成するための方法を明確にする必要があります。
そのため、具体的にやるべき行動を可視化できるのです。
また、会社全体でKPIを共有することで、社員が同じ目標に向かって切磋琢磨することが可能になりますので、パフォーマンスの向上も見込めるでしょう。
3.KPI指標の設定手順と具体例
KPI指標の設定手順は3ステップです。
①達成目標を確認する
KPI指標は目標達成のために行った行動を評価するために設定するものです。まずは達成目標を確認しましょう。
具体的な数値として認識することが理想です。
売上目標なら期限と目標金額、集客であれば期間に対する客数、ウェブサイトのリニューアルやシステムの導入なら、コストに対してパフォーマンスを数値化した期待値などを把握しましょう。
②目標達成に必要な要素を分解する
目標を数値で明確にしたら、達成するために必要な要素を分解し、把握します。
例えば、売上目標は「客数×客単価」で算出できます。
つまり、売上目標を達成するためには客数を増やすか、客単価を増やせばよいことがわかります。
また、客数は「新規顧客+リピート顧客-休眠顧客」で算出できます。
新規顧客やリピート顧客を増やすか、休眠顧客を減らせばよいことがわかります。
要素分解していくと、目標に対してどういう施策を打つべきかが明確になる上、施策に効果があるのかの判断もしやすくなります。
③施策の効果を測るKPI指標を設定する
要素を分解ができたら、アプローチする要素を選びます。
選択した要素について、期限を区切り、それまでにどんな状態にしたいかを考え、同時にその状態になったことを測る数値を決めます。
これがKPI指標となります。
初めてであれば、優先順位の高いKPI指標を2つか3つ、設定するのがよいでしょう。施策のコストパフォーマンスをじっくり吟味することができます。
例えば、先ほどの売上目標の例で言えば「休眠顧客」と「客単価」を選び、改善することを決めます。
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そこから、さらにもっと具体的な施策に落とし込み、数値のKPI指標を設定します。
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4.KPI指標の設定が適切か確かめるには?
KPI指標は数値であれば、よいという訳ではありません。
何よりもまず、達成不可能なKPI指標はいけません。
例えば、小学生が夏休みの目標に「夏休み中に100メートルを10秒で走る」という目標を掲げたら、設定しても意味のないKPI指標だとすぐにわかるでしょう。
しかし、「夏休み中に100メートルを10秒で移動する」というKPI指標であれば、移動の手段が未定です。車や自転車で移動することも考えられるため、夏休み中に達成可能かもしれません。
つまり、KPI指標は、目標を実行できるリソースやスキルを考えて設定されるべきです。
KPI指標を設定する過程で、実行可能性を検討し、自分たちが分解し、選択した要素について考え抜く必要があるのです。
KPI指標の達成が、そのまま目標の達成に深く関わるように設定されたものが、よいKPI指標なのです。
例で挙げたように小学生の夏休みの目標なら誰でも間違いがわかりますが、ビジネスの場面ではそうも行きません。
複雑な要素が絡むため、実は達成不可能な目標を掲げてしまっていた、なんてことがないとも限りません。
そこで、設定したKPI指標が適切であるか、目標達成に関する有名なフレームワーク「SMART」を使ってチェックしましょう。
次の5つの問いかけをしてチェックします。この5つの問いかけが「SMART」と呼ばれるのは、それぞれの問いの頭文字からです。
1)Specific(具体的に)
書いた本人以外の誰が読んでもわかるように、明確で具体的に表現していますか? 2)Measurable(測定可能な) 書いた本人以外の誰が読んでも、目標の達成度合いを測定して判断できるよう、定量化・数値化した表現になっていますか? 3)Achievable(達成可能な) 達成可能かつ、現実的な内容を表現していますか? 4)Related(関連した) 自身の目標、所属部署の目標、会社の目標などのKGI指標に関連する内容になっていますか? 5)Time-bound(時間制約のある) いつまでに達成するか、期限が設定されていますか? |
まとめ
目標達成のための行動を評価する判断指標である「KPI」。
KPI指標の設定には目標に対して関係する要素を分解し、定量化・数値化することが重要です。
ただし、設定したKPI指標が目標達成のために適したものでなければ意味がありませんので、「SMART」を活用し、適切なKPI指標かどうかチェックしましょう。
ビジネスの事業活動のコストパフォーマンスを見るための「ものさし」として、KPI指標を活用してみてください。