確定申告はあらゆる所得を対象としています。
それでは、宝くじが当たった場合も、確定申告をする必要があるのでしょうか?
答えは否です。
所得税は、原則として、居住者が得たすべての所得に対して課税されますが、社会政策的観点等から課税されないものがあり、これを非課税所得といいます。
非課税所得の例
非課税所得の代表的な例は以下のようなものがあります。
- 遺族年金、障害者年金
- 生活必需品の譲渡によって生ずる所得(※1)
※1貴金属や美術品で30万円を超える場合は譲渡所得が生ずる。
また生活必需品を継続的に譲渡している場合は、所得税がかかる場合がある。 - 損害保険金、損害賠償金、慰謝料(※2)
※2一定の場合は課税となる。 - 失業保険
- 宝くじやtotoの当選金(※3)
※3外国の宝くじ等の当選金は課税所得となる。
身近なところでは、宝くじやtotoなどが非課税所得ですが、似たような収入である競馬や競輪などの賞金は、課税対象です。
ところで、なぜ、宝くじは非課税で、競馬は課税されるのでしょうか?
その理由は、当せん金付証票法という法律で明確に、宝くじ等は所得税の計算上で非課税だと決まっている一方で、競馬や競輪にはそのような特別法が存在しないためです。
これについては、不公平ではないか??という意見もあるようなのですが、一つの論拠としては、宝くじは買う側の技術介入が存在しない純確率論的なものであるのに対し、競馬は買う側の予想技術の良否が当選確率に影響するという理由があります。
宝くじについては購入者全体から販売の段階で半分を国が控除し、残りを当選金として当選者に分配しています。
つまり、万人の控除額が確率論的に決まっており、また、全体から半分もお金を控除しているので、あえて当選者から再度、所得税を徴収する必要はないという考えです。
一方で、競馬については、各人の技術の良否があるため、くじの販売のタイミングでは最低限(25%)を控除し、残りは当選した人から所得税という形で徴収するという方法になっています。
ちなみに、会社で宝くじを買って、当選した場合は、法人税法上の所得となるので、ご注意ください!
上の話はあくまで個人の所得税の話です。
非課税所得に係る損失の取扱い
非課税所得は、確定申告をする上で、当然に除外される所得であって、非課税の適用を受ける手続きは何ら必要ありません。
反対に、非課税所得の計算上、損失が生じたとしても、確定申告ではその損失はなかったものとみなされますので、他の所得と相殺などはできません。
例えば、ネットオークションで事業用でない衣類やパソコンなどを売却し、赤字が生じたとしても、確定申告ではそれを他の所得と相殺することはできないのです。
損害賠償金の課税上の取扱い
非課税所得の例として、損害賠償金を挙げましたが、これは場合によっては、課税されますので、その辺りをまとめた表を以下に挙げます。
損賠賠償金の取得原因 | 課非判定 |
ビジネスなどで生じた債務不履行による違約金 | 課税 |
損賠賠償金の取得原因 | 課税 |
身体の傷害又は心身に加えられた損害につき受ける損害賠償金(慰謝料や見舞金など) | 非課税 |
棚卸資産の損害につき受ける火災保険金等 | 課税 |
店舗、車両などの固定資産が使用できない場合の収益の補償 | 課税 |
店舗、車両などの固定資産そのものの損害の補償で突発的なもの | 非課税 |
店舗、車両などの固定資産についての災害見舞金 | 非課税 |
このほか、生命保険や損害保険の保険受取金なども、契約者や保険料負担者が誰であったかによって、課税となるか非課税となるかが変わってきますので、注意が必要です。
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