銀行が中小企業への融資審査を行うときは、決算書による格付けが中心になります。
このため経営実績がない創業前または創業直後の中小企業が民間の金融機関から借入をすることは、容易ではありません。
そこで、創業前後の中小企業を支援する「創業資金融資」があります。
日本政策金融公庫の新創業融資制度や新規開業資金などはその1つであり、他に、都道府県や市町村などの各地方自治体と信用保証協会による「創業融資制度」があります。
信用保証協会とは何か?
まずは信用保証協会について説明します。
信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達を支援する公的機関です。
経営者が事業資金の融資を金融機関に申し込む際に公的な保証人となり、万が一返済できなくなったときに、その企業に代わって負債の80%を返済します(代位弁済)。
セーフティネット融資、創業融資など様々な制度を使うと100%保証となります。
信用保証協会の保証を受けるには審査が必要であり、主に事業内容や経営計画などをもとに諾否が決定されます。
保証が承諾され、信用保証協会の保証によって企業が金融機関から融資を受けることができたときには、保証委託の対価として、企業は信用保証協会に信用保証料を支払います。
この信用保証協会の保証を受けることで実現できるのが、「創業融資制度」です。
創業融資制度
地方自治体が中小企業や創業を目指す人をサポートするため、金融機関・信用保証協会と協力をして融資を実施する制度です。
自治体が一定の貸付資金を金融機関に預け、資金を受け取った金融機関が中小企業への融資業務を行う形態を取っています。
この融資制度を受けるためには、次の3点をすべて満たさなければなりません。
- 自治体が管轄する地区に在住する中小企業・小規模事業者である。
- 信用保証協会の対象業種である。
- 自治体の管轄地域に事業所等がある。
融資を受けるまでの流れ
各自治体には複数の融資制度があり、融資の内容や条件は自治体により異なりますが、主な流れは次のようになります。
- 自治体に斡旋の申し込みを行い、審査を受ける。
審査に通ると紹介状がもらえる。 - 指定金融機関に自治体の紹介状を提出して、融資の申し込みを行う。
このとき金融機関経由で信用保証協会に保証の申し込みを行う。 - 信用保証協会の担当者と面接をする。
- 保証決定後、金融機関の審査を受ける。
- 金融機関の審査に通れば、融資が実行される。
地方自治体の政策の一環であるため金利が比較的低く、金利の一部を負担する利子補給や、信用保証料の補助等の優遇措置を設けている自治体もあります。
また、都道府県と市町村の創業融資制度を併用することはできませんが、日本政策金融公庫の融資と創業融資制度を併用することは可能です。
詳細は以下の表にまとめましたので、ご覧ください。
それぞれの特徴をつかみ、うまく組み合わせて効率よく資金を調達しましょう。
滞りなく返済し、実績を作っていくことで、経営を改善していきましょう。