株式会社は法人として社会に対して大きな責任を持つことになります。そのため、会社の設立登記の前には沢山の書類が必要です。
そのため、細心の注意を払って書類を用意するようにしましょう。
当ページでは、一般的な会社設立方法である「発起設立」で会社登記をするために、何の書類が必要で、どのように用意すれば良いのかをご説明します。
※会社の設立には「発起設立」と「募集設立」がありますが、世の中の会社のほとんどは発起設立です。
また、当ページの内容は、下図のように、会社設立の流れの中の「登記書類作成」のステップに該当します。
もし、設立項目決定から定款認証までのステップを終えていない方は、先にそちらからチェックするようにしましょう。それでは、会社設立登記に必要な書類と、それらの書類の作成方法をご紹介します。
目次
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1.会社設立登記申請に必要な書類のリスト
2.払込みを証する書面
2.1 資本金の払込み
2.2 資本金の払込証明書を作る
2.3 資本金の払込証明書を製本する
3.発起人の決定書
4.設立時役員の就任承諾書
5.取締役全員の印鑑証明書
6.株式会社設立登記申請書
7.登録免許税の収入印紙を貼付したA4用紙
8.登記すべき事項を保存したCD-R又はFD
9.印鑑届出書
10.書類を綴じる
1.会社設立登記申請に必要な書類のリスト
早速ですが、以下が発起設立で会社設立の登記申請をする際に必要な書類のリストです。
備考もしっかりと読んで、あなたの会社にとって必要な書類を確認しましょう。また、それぞれの書類に署名や捺印が必要な人や、押印する印鑑が異なりますので、そちらも間違いがないようにチェックしておいて下さい。
また、会社の登記申請をする前に、定款の作成と認証を終えている必要があります。もし、まだそれらの行程を終えていない場合は、『定款作成法~19の空欄を埋めるだけの雛形と抑えておくべき8つの注意事項~』と『定款認証の手続きを初めてでもスムーズに終わらせるための5つの手順』を参考にしてください。
それでは、必要書類を用意する方法を以下の順番でご説明していきます。
2.払込みを証する書面
払込みを証する書面とは、定款に記載されている資本金が、発起人から口座に振り込まれていることを証明する書面です。以下の順番で用意していきましょう。
2.1 資本金の払込を行う
まずは、各発起人にATMや銀行窓口から出資金を払い込んでもらいましょう。会社の銀行口座は登記完了後でなければ作成できないため、出資金は『代表取締役となる人個人の預金通帳』に振り込みます。
振込の際の注意点は以下の通りです。
①資本金の払込は定款の認証後に行うこと
②代表個人の通帳残高をいったんゼロにする(口座新規開設でも構いません。)
③振込金額と氏名が分かるように各発起人が個人名で出資金を振り込む。
振込後の通帳画面が、以下の画像のようになるようにしましょう。
2.2払込証明書を作る
資本金の払込が終わったら、次に登記所に提出する証明書を作成します。まずは下記リンクよりひな形をダウンロードしてください。
ダウンロードが完了したら、以下の画像を参考に書き込んでいきましょう。
また、この払込証明書には、さきほどの通帳のコピーを添付する必要があります。コピーを取る必要があるのは下記の3つです。
•通帳の表紙
•裏表紙
•通帳の明細(払込の記録が印字されているページ)
これらをA4の縦サイズで一枚ずつコピーをとります。下記の画像を参考にしてください。
※この画像では、コピー用紙1枚に全てをコピーしていますが、実際はそれぞれのコピー毎に一枚ずつ用意して下さい。
2.3 資本金の払込証明書を製本する
資本金の払込証明書を作成し、通帳のコピーを取ったら、以下のように製本しておきましょう。
以上で「払込みを証する書面」は完成です。
3.発起人の決定書
次に「発起人の決定書」と呼ばれる書類を作成します。発起人の決定書とは、本店所在地が全発起人の同意をもって決定されたことを証する書面のことです。この書類は、もし定款で本店所在地を番地まで含めて記載しており、さらに電子公告以外の公告方法を選択している場合は必要ありません。
しかし、当サイトでは、定款での本店所在地の記載は、最小行政区画までにとどめておくことを推奨しています。(詳細:『定款作製法~19の空欄を埋めるだけの雛形と押さえておくべき8つの注意事項』)
従って、当サイトを参考に会社設立の手順を進めている方は、発起人の決定書は必ず必要です。それでは、早速以下のリンクより発起人の決定書の雛形をダウンロードしましょう。
> 発起人の決定書の雛形ダウンロード(直リンクです)
ダウンロードしたら、以下の画像の通りに記入しましょう。
4.設立時役員の就任承諾書
会社の設立登記の際は、それぞれ設立時代表取締役、設立時取締役、設立時監査役に就く人たちからの「就任承諾書」が必要となります。
なお、取締役が1名の場合は、自動的に取締役が代表も兼ねることになるので、代表取締役の就任承諾書は必要ありません。しかし、取締役が複数いて、その内の1名を代表取締役とした場合には、その1名は取締役としての就任承諾書と、代表取締役としての就任承諾書の2枚が必要となります。
また、監査役を置く場合は、監査役の就任承諾書も必要となります。
それでは、早速、就任承諾書の雛形を下記よりダウンロードしてください。
> 就任承諾書の雛形ダウンロード(直リンクです。)
雛形をダウンロードしたら下図を参考に書き込みましょう。
この就任承諾書は、設立時役員の人数分が必要となります。また、代表取締役の就任承諾書は、「選任」を「選定」と書き換えるようにしてください。
5.取締役全員の印鑑証明書
会社の登記申請の際には、役員全員の印鑑証明書が必要となります。※取締役会設置会社の場合は、代表取締役の印鑑証明書のみで構いません。印鑑証明書は定款の認証を受ける際にも必要なので、既に取得済みだと思います。念のため印鑑証明書の取得方法に関して詳しく説明されているサイトをご紹介します。
まだ、印鑑証明書を取得していない場合は、確認しておきましょう。
> 印鑑登録から印鑑証明書の発行までの方法|印鑑登録のあれこれ
6.株式会社設立登記申請書
次にいよいよ登記申請書を作成します。登記申請書の作成は非常に簡単です。まずは、下記リンクより登記申請書の雛形をダウンロードしてください。
> 登記申請書の雛形ダウンロード(直リンクです)
次に以下の指示に従って記入を進めてください。
※1.登録免許税に関して ※2.添付書類に関して •定款
登録免許税は、登記のときにかかる税金で、「資本金の額×0.7%」をおさめる必要があります。しかし、その計算によって求められた額が15万円より少ない場合は、一律で15万円となります。15万円以上となるのは、資本金の額が約2,200万円を超えた場合なので、ほとんどの方は15万円となります。
添付書類の内訳は、以下の通りとなります。必要書類の記載漏れや通数の間違いがないように記載しましょう。下記にも再度、注意事項を書いておきます。
•発起人の決定書
•取締役の就任承諾書:取締役の人数分だけ必要です。
•代表取締役の就任承諾書:取締役が1名の場合は、その者が代表取締役も兼ねるので必要ありません
•監査役の就任承諾書:監査役を設置しない場合は不要です。尚、取締役会設置会社には必ず1名以上の監査役が必要です。
•取締役全員の印鑑証明書:取締役会設置会社の場合は代表取締役の印鑑証明書のみでOKです。
•払込を証する証明書:1で用意した資本金の払込証明書のことです。
尚、資本金の計上の際に現物出資がある場合は、「設立時取締役の調査報告書及びその付属書類」と「資本金の額の計上に関する代表取締役の証明書」が必要となります。しかし、現物出資がある場合には手続きが煩雑になってしまいますので、ここでは省いています。
また、下記の法務省サイトで登記申請書の記載例はで確認することができますので、目を通しておくのも良いでしょう。
ページ中ほどの、『1株式会社』の1-1 株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立)と、株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)の記載例PDFをご参照ください。
7.登録免許税の収入印紙を貼付したA4用紙
登録免許税は登記申請と同時に収入印紙で納めることになります。収入印紙を貼付ける台紙は、A4のコピー用紙で構いません。用紙の真ん中あたりに収入印紙を貼付けておきましょう。注意点として、収入印紙には絶対に消印をしないでください。また、収入印紙は郵便局で購入することができます。登録免許税分の収入印紙があれば、印紙は額面の組み合わせはどのようなものでも構いません。
8.登記すべき事項を保存したCD-R又はFD
次に「登記すべき事項」という書類を用意します。
登記すべき事項は、OCR用申請用紙を使えば書面で用意することもできます。
しかし、わざわざ法務局に用紙を取りにいかなければいけませんし、書式も合わせなければいけません。
「CD-R」や「FD(フロッピーディスク)」で用意すれば、テキストで作成することができます。
※FDで用意する場合は、登記申請用紙の「登記すべき事項」の記述を「別添FDの通り」と変更しましょう。
作成はとても簡単です。下記より雛形をダウンロードして指示の通りに記載してください。
> 登記すべき事項テキストのダウンロード
(登記事項の作成例一覧 | 法務省)
記入の際に注意すべき点は、(※)内で説明しています。
記入が完了したら(※)を削除してください。
作成後、テキストファイルのデータを、そのままCD-RかFDに保存しましょう。保存したら、会社名を書いたシールを、CD-RかFDに貼付けましょう。
以上の点を守っていただいたら、問題なく登記することができます。
その他書式や保存方法に関する細かい注意点に関しては法務省のサイト、「商業•法人登記申請における登記すべき事項を記録した磁気ディスクの提出について」に記載されておりますので、確認しておきましょう。
9.印鑑届出書
会社を設立すると、個人の印鑑と同じように会社の印鑑も実印登録を行います。ここで、実印登録をした会社印鑑は、今後も様々な書類に押印することになります。そして、会社の設立登記の際は、実印登録した会社印鑑を証明するための印鑑届出書が必要となります。
印鑑届出書は、法務省の下記ページよりダウンロードすることができます。
ページにアクセスしたら、最下部に「印鑑に関する届け出」という項目があります。その下に、「6 印鑑(改印)届出書」がありますので、「届書様式のExcel」をダウンロードして、「記載例PDF」を参考に記載を進めましょう。
記載例のPDFに、記載方法に関する注意書きが書かれていますので、記入する時は、そちらを注意深く確認するようにしましょう。
10.書類を綴じる
書類の作成が終わったら、最後に書類を綴じていきます。書類を並べる順番は決められています。この順番通りに並べていなければ登記を受け付けてもらえないというわけではありませんが、法務局が審査しやすいように順番は次のように正しくしておきましょう。
①登記申請書
②登録免許税の収入印紙を貼付したA4のコピー用紙(登記申請書と契印)
③定款
④発起人の決定書
⑤取締役の就任承諾書
⑥代表取締役の就任承諾書(取締役が一人の場合は不要)
⑦監査役の就任承諾書
⑧取締役全員の印鑑証明書(取締役会設置会社は代表取締役の印鑑証明書のみ)
⑨出資の払込を証する証明書
書類を正しく並べたら、以下のように申請書類を綴じておきましょう。
以上で会社設立登記に必要な書類は完成です。