不況などの影響で会社の業績が悪化した場合、従業員を解雇しなければならないこともあります。そのような解雇のことを「整理解雇」といいます。一般的にはリストラと言われることが多いです。
今回は、会社が経営不振によって整理解雇に踏み切ることについて説明していこうと思います。
1.整理解雇の4要件
会社による解雇は下手をすれば不当解雇だと従業員から訴えられることもあります。
そこで、裁判では以下の条件「整理解雇の4要件」を基準に整理解雇の正当性を検討します。
上記の4点は一つずつ満たしているかどうかを確認して整理解雇が適法かどうかを判断しているのではなく、総合的に判断されます。
そのため、解雇回避措置がそれほどなされていなかったとしても、会社の規模が小さい場合や人員削減の早急な必要性がある場合には、整理解雇が認められることが多いです。
それは、整理解雇は会社が存続するための経営判断の一つであり、裁判所も経営に対しては詳しくないため、経済状況や企業の経営に関して不確実性の高い事に関することに関しては経営者の裁量をある程度認めなければならないためです。
2.解雇予告について
(1)解雇予告は解雇日の30日前までに行う
整理解雇によって、従業員の解雇が決まった場合、少なくみても30日前には対象者に解雇予告を行わなければいけません。そして、解雇の日も具体的に伝えなければいけません。
多くの場合、解雇予告は郵送で行うことが多いかと思いますが、予告日は郵便が相手に到着した日になります。
(2)解雇予告から解雇日の期間が30日間以下しかない場合
対象の従業員への解雇予告から解雇日までの期間が30日間以下しかない場合、その分の給与を日割りで解雇予告手当てとして支払う必要があります。
例えば、対象の従業員に解雇予告をし、解雇日までの期間が15日間しかない場合は、その従業員の月給の一日当たりの金額を15日間分支払う必要があります。
そして、従業員を即日で解雇する場合は30日間分の給与を解雇予告手当てとして支払う必要があります。
3.もし不当解雇だと訴えられたら
会社としてしっかりと整理解雇をする際の手続きを踏んでいたとしても、時には従業員から不当解雇だと訴えられることもあります。
そういった場合には、会社としてはしっかり整理解雇の手続きを踏んでおり、上記の整理解雇4要件を満たしていることを示さなければなりません。そのため、整理解雇を実行する際には、訴えられることも考えて前もって会社の正当性を占める証拠を集めておき、いざという時には弁護士の力も借りながら裁判を進めていきましょう。
まとめ
景気の悪化の影響で会社の経営状態が悪化した場合、経営者としては整理解雇によって従業員を解雇しなければならないことも考えられます。
しかし、整理解雇を行う際には満たすべき要件を満たし、正しい手順を踏まなければなりません。もし、そこで誤ってしまうと従業員から不当解雇だと訴えられる恐れがあるからです。
そのため、整理解雇の際は、会社としては整理解雇を回避するために最大限の努力をしたものの、やむを得ず整理解雇に踏み切ったということを示すことが出来るようにしましょう。