「個人事業主として創業したいけれど、金融機関からの融資は会社設立してないと申し込みできないんだよね?」という質問をときどきいただきますが、実は個人事業主でも融資を利用することは可能です。
今回の記事では、個人事業主の方が独立・創業後すぐに融資を受ける方法をご紹介します。
1.個人事業主として創業融資を受ける方法
個人事業主の方が創業後すぐに融資を受ける方法として代表的なのは、「日本政策金融公庫の融資」と「制度融資(保証協会付融資)」の2つです。
日本政策金融公庫は100%政府が出資している金融機関で、民間金融機関から融資を受けにくい創業前の事業者や創業して間もない事業者への融資も積極的に実施しています。
創業時に利用できる日本政策金融公庫の新創業融資制度に関しては、金利が2.41~2.80%(令和2年11月2日現在の基準金利)かつ無担保保証人なしで借り入れでき、融資審査にかかる期間も1か月~1か月半程度です。
カードローン等に比べて、比較的低金利で早めに資金調達をしたい事業者に向いています。
制度融資は主に地方自治体と民間の金融機関、信用保証協会の三者が連携して融資を実行する制度です。
一般的に創業時に民間の金融機関から融資を受けるのは難しいですが、信用保証協会が保証することで起業したばかりの信用力の低い事業者にとっても利用しやすい融資になっています。
金利は1.0%~3.0%程度で借り入れできる制度が多いですが、制度融資は自治体によって要件が異なるため一概には言えません。
信用保証協会と民間の金融機関、両方の審査がありますので、融資実行までに2か月ほどかかります。
日本政策金融公庫の新創業融資制度と地方自治体の制度融資について詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてご参照ください。
創業時の公的融資を受けるならどっち?新創業融資制度VS制度融資
2.日本政策金融公庫の創業融資を受けるための5つのポイント
創業融資を初めて受けるのであれば、まずは日本政策金融公庫の創業融資を検討しましょう。
個人事業主であっても法人であっても、融資審査の通りやすさに違いはありません。
しかし、初めて創業融資を受けるのであれば、いくつかの準備が必要です。
以下の準備をすることで、日本政策金融公庫の創業融資を受ける際、審査にプラスの評価となります。一度融資に落ちてしまうと再度融資を申し込むとき不利な状況になってしまう可能性がありますので、しっかりとご自身の状況を整え、融資に臨みましょう。
(1)自己資金ナシまたは数十万円では融資は通らない!計画的に自己資金を貯める
「お金を貸してもらうのに、なぜ自己資金が必要なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、あくまで事業を行う方に事業の設備資金や運転資金として足りない部分を融資する、というスタンスで金融機関は行っています。そのため、自己資金が少ない場合には、創業のために準備をしてこなかったと判断され、審査に通らない可能性が高くなります。
自己資金の目安としては、創業に必要な金額の3分の1程度です。「20万円貯めました」「10万円あります」では残念ながら自己資金としては認められません。10万、20万であれば、1か月の生活費としてしか見られず、自己資金としては十分ではありません。
例えば創業するのに300万円必要なのであれば、自己資金100万円程度は準備すべきです。
今後事業を始めたいと考えている方は、毎月3万円でも5万円でもいいので毎月コツコツと自己資金を貯めてください。その際は、手元に現金で貯めるのではなく、必ず通帳で貯めましょう。
融資を受けるための自己資金とは?日本政策金融公庫では通帳原本をチェック?
(2)創業計画書で根拠のある事業計画を説明する
創業計画書とは、あなたがどのような事業を計画しているのか金融機関に説明するための書類です。
創業の動機や創業者の略歴、取引先や従業員、借り入れ状況などについて記載します。
創業計画書のなかで一番大切な部分は必要な資金と調達方法です。
例えば、「1,000万円が希望額です」と記載したとしましょう。なるべく多く借りたいからとりあえず1,000万円借りたいと言っても、日本政策金融公庫の担当者に計画性のない経営者と判断されてしまいますので、機械の導入費に◯万円、運転資金に◯万円のように、必ずその根拠も書かなければいけません。
また、創業計画書でもう一つ大切な点は事業の見通しです。
創業ということでまだ事業を開始していない段階ですが、この資料でしっかりと売上をたてられる根拠を説明する必要があります。
例えば、新規で美容室を創業する場合、過去に働いていた美容室から約80名の指名客を連れてこられるなどの集客の根拠について記載することで高評価につながります。
融資を受ける際に提出する創業計画書。その作成方法をチェック!!
当社株式会社SoLabo(ソラボ)は認定支援機関として、融資審査に必要な書類作成のサポートを行っております。「自分で作成するのが難しい」「忙しくて資料作成に時間を割けない」という方はぜひご相談ください。相談は無料です。
(3)開業予定地は入念に調べる
日本政策金融公庫の場合、創業融資でお金を貸す際には審査で実地調査として申込人の開業予定地を実際に見に行きます。
店舗系の場合、あなたがなぜその場所で開業したいのか明確な根拠を提示するとよいでしょう。
例えば、「交通量調査をしてこの地域が事業にマッチしているから」や「商圏を調べて、この付近に同業他社がいないのでこの場所に決めました」などの明確な根拠をあなたが説明できることが大切です。
(4)創業する業種での経験を積む
創業の場合、実績が何もありませんので、これまでの経験から創業する業種の知識やノウハウ、人脈などをふまえ、事業がうまくいくかどうか判断します。そのため、未経験の業種での融資は審査が厳しくなります。
創業する業種で最低でも1年半、できれば6年以上携わっていた経歴があるのが望ましいです。
(5)信用情報に傷がない
信用情報とはクレジットカードやローンなどの返済や支払い状況に関する情報です。
融資を受ける前に何度も支払いの遅延があったり、滞納していたりすると審査にマイナスの影響があります。
日本政策金融公庫で融資を受ける際、必ず信用情報を確認されますので、嘘をついてもバレてしまいます。
融資を受ける直前に遅延することがないよう、きちんと支払いをしましょう。
まとめ
まだ実績のない事業主とって、2%前後の低金利で借りることのできる日本政策金融公庫の創業融資が資金調達先として向いています。
ただし融資を受けるには審査がありますので、プラスの評価に繋がるポイントをおさえてしっかり準備が必要です。
書類作成や融資審査に不安のある方は、一度専門家に相談することも検討してみるとよいでしょう。