退職して独立した方は、雇用者としての思考習慣は身についていても、経営者の思考習慣は身についていないのではないでしょうか。インターネットを検索しただけでも、様々な経営者や専門家が「成功するにはどうすればいいか」を語っている記事が見られますが、それらの共通項を探すと、成功する経営者は必ず3つの思考習慣を実践しています。この記事では、具体例をあげながら、成功者が実践している3つの思考習慣をご紹介します。
1.「なぜ?」を必ず考える
成功する経営者は、少ない情報で全体像を掴む、つまり本質を掴むことに長けています。その時にしている思考習慣は「なぜ?」という言葉を投げかけることです。
例えば、普通の経営者は、まず「会社設立」をしたがります。「独立といえば会社設立だ」と考えて、次のアクションで「どうやって会社設立をしよう?」と調べ始めます。企業名と「代表取締役社長」といった肩書がある名刺を出し、法人登記簿を見せれば、信用されやすくはなる場面はあるでしょう。
一方、成功する経営者は「独立といえば会社設立だけど…なぜ会社設立するのか?」と考えます。そして「名刺があるから、登記されているから」といって仕事を頼まれるわけではなく、「自分に能力があるから仕事を依頼する」、という本質に気づきます。何かの理由で本当に会社設立が必要にならない限り、会社設立をせず、無駄に時間やお金、人的リソースを割いたりしません。むやみに事業所を借りず、自宅や図書館などを活用します。名を捨てて実をとるのです。
当たり前のことですが、個人事業主は働いた分しかお金が入らず、売上月と入金月とにタイムラグがあることがほとんどです。常識や慣例、一般論を疑うような批判的な思考習慣をし、実を伴わない無駄なことに一切労力を払わないようにする。そうやって、結果的に正常なキャッシュフローにしているのです。
2.「人脈作り」をしない
普通の経営者は、独立直後、つい「人脈作り」に勤しみます。いろいろな勉強会やセミナーに顔を出して、人脈を広げようとしてしまいます。でも、成功する経営者は、誰かに誘われたとしても、そんなことはしません。冷静になって考えてみればわかることですが「人脈」と言えるものは、少しずつ時間をかけ、信用を積み重ねなければ築けないものだからです。仕事で実績を積み重ねることで、少しずつ広がる人の輪こそが、真の人脈と言えるでしょう。
また、人脈と友達は分けて考えましょう。独立して成功するという観点では、売上や情報収集に影響しないような元同僚や元取引先とは付き合う必要がありません。成功する経営者には「自身の環境の変化に応じて、付き合う人も変える」くらいのドライさ、割り切りがあるとも言えます。
3.「裸の王様」にならない
アンデルセン童話の「裸の王様」をご存知でしょうか。「バカには見えない衣装」を着た王様が、パレード中、子どもに「あの王様、裸だ!」と言われて恥をかくという「見栄や立場にとらわれ、周囲からの批判や反対を受け入れないために、真実が見えなくなる人」の比喩としても引用される有名な話です。
普通の経営者は、自分や自分の仕事内容に対する批判を全て流してしまいます。単純に攻撃・誹謗中傷として片付けて保身に走るためです。一方、成功する経営者は、その批判をうまく活用します。「なぜ、そのような批判を受けるのか」を思考し、事故などのリスクにつながる事態、インシデントとして扱うことで、仕事の質を高めることにつなげるのです。勿論、言いがかりや個人攻撃に近い誹謗中傷も中にはあるかもしれませんが、それらをより分けて活かすことで「裸の王様」にならないようにしているのです。
成功する経営者ほど、見栄や立場にとらわれず、真実を見ようと努力します。人によっては、あえて腹心にYESマンを置かないようにしている人もいるようです。「叱られるうちが花」という言葉もあるくらいです。自身の批判に隠された真実を読み解けるようにしましょう。
まとめ
マザー・テレサの格言を聞いたことがある人は多いでしょう。
「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。」
ぜひ、厳選した3つの思考習慣を取り入れてみてください。いつか、きっとそれがあなたの運命を形作ることでしょう。ちょうど蒔いた種子から葉が伸び、やがてつぼみをつけて花咲くように、あなたのビジネスが大きく花開くよう願っています。