士業の先生から「web会社に騙された」という愚痴をよく聞きます。
結論から申し上げると、ほとんどのケースでweb会社側に騙すつもりはなかったでしょう。
web会社の多くは、士業の業界動向や置かれている状況をきちんと把握していません。また、士業の先生側も施策の要否を判断できないことが多いため、今時点で必要ではない施策の提案を受けてしまい、成果の出ない残念な結果になってしまっているのです。
今回は、士業がおさえておくべきwebマーケティング総論を解説しますので、ぜひ「騙された」と思うことがないよう、しっかり判断できる力を身につけましょう。
*税理士・公認会計士向けの新聞「税界タイムス」に寄稿した記事をもとに再構成しています
士業のためのwebマーケティング総論
士業の先生がwebサイトを使って集客し、売上をあげるには、まず、webマーケティングの全体像を知る必要があります。認知から顧客獲得までに6ステップあることをおさえましょう。
- 認知
- サイト訪問
- 問合せ
- 商談
- 契約
- 継続利用
この6ステップの間(⇒)に、それぞれ適したwebマーケティング施策があります。
- A)認知され、サイトを閲覧(訪問)してもらうための施策(①⇒②)
- B)サイトを訪問してから、問合せにつなげるための施策(②⇒③)
- C)問合せから商談につなげるための施策(③⇒④)
- D)商談から契約するまでの施策(④⇒⑤)
- E)契約後、継続的に利用してもらうためのフォロー施策(⑤⇒⑥)
昔の考えではA B Cがweb マーケティングの守備範囲だと考えられていましたが、現在、A〜Eの全てにwebマーケティング施策を打つことができます。
すでに「webやI Tに関係しないビジネスはない」と言われるのと同じように、マーケティングと呼ばれた部分はすでにwebマーケティングとほぼ同じになっているのです。
課題があるステップを解決するには、web会社に外注すれば効果的な提案が出てくるでしょう。繰り返しになりますが、多くのweb会社は士業に詳しくないため、どの部分に課題があるかを正確に予測できません。そのため、士業の先生が、webマーケティングの全体像を理解し、課題を提示するのが一番よい方法なのです。
課題をあやふやにしたまま、言われるままに提案を受け、必要ではないものを契約してしまうと、あまり成果が出ないものにお金を払うので、結果「web会社に騙された」という愚痴につながってしまうのです。
士業におすすめのwebマーケティング施策
webマーケティングで集客に力を入れたいなら、まずは多くの士業の先生が課題を持っていることの多いAの施策とBの施策に取り組みましょう。
営業するときは自身の情報を伝える手段がなければスタートできないため、「まずは名刺」と準備する方も多いですが、webマーケティングなら「まずはホームページ」です。次の説明は、ホームページを用意する前提で進めます。
webマーケティング施策の例をあげますので、ぜひ優先順位をつけて取り組みましょう。
【Aの施策(①⇒②)の例】
- SEO対策として、見込み顧客(サイトを訪問するユーザー)の悩みを解決する内容のwebページを作成します
- 検索エンジンGoogleで検索したら表示される広告(リスティング広告)を打ちます
- Facebookに見込み顧客となる属性の方向けに広告を打ちます
- 士業の専門家としてSNSを活用し、役立つ情報を発信します
- 見込み顧客向けに交流会やセミナー(現在はwebイベントやウェビナー)を開きます
- ダイレクトメール(DM)を送ります
【Bの施策(②⇒③)の例】
- 無料の相談フォームや、無料の診断フォームを作成し、問合せやすくします。
- お問合せフォームがあるなら、改善します。
- ホームページに無料の電話相談ボタンを設置し、相談しやすくします。
- ホームページの内容を改善し、専門性や信頼性をアピールします。
- セミナーを開催し、その後で質問を受け付けます。
なお、Cの施策(④から⑥)以降は、ケースバイケースですので、web会社に相談することをおすすめします。
有効な施策として、例えば、営業資料の改善、MA(マーケティングオートメーション)ツール、営業支援ツールなどがありますが、AとBの施策が十分に行えていない(見込み顧客からの問合せが来てない)状況で導入したとしても全く成果は出ません。まずは問合せを増やしてから、その後にCの施策(④から⑥)以降に取り組んでいくことが大切です。
課題を把握し、必要な施策に投資していくことで、士業の先生が「web会社に騙された」と感じることなく、webマーケティングで成果を出せるようになるでしょう。
(参考)次号:士業のWebマーケティング戦略|マスに向けた広告ではなく、超ニッチから攻めるべき?
なお、マーケティングに興味・関心のある士業向けのコミュニティ「士業進化論」で、本記事と同じテーマの動画も用意しています。ぜひ、あわせてご覧ください。