Webマーケティング戦略は「大衆(マス)戦略か、条件を狭めたニッチ戦略か」というテーマで語られます。
士業のWebマーケティング戦略はどうあるべきでしょうか?
士業におけるWebマーケティング戦略とは、主に集客〜顧客獲得について「誰に、どんなことを、どうやってアプローチするか」の指針を定め、計画・運用することです。
戦略がないまま、集客〜顧客獲得のための施策を打っても、ちぐはぐなアプローチになってしまい、効果的なWebマーケティングにはなりません。
集客〜顧客獲得で結果を出したいなら、士業のWebマーケティング戦略を立案し、実践しましょう。
*税理士・公認会計士向けの新聞「税界タイムス」に寄稿した記事をもとに再構成しています
集客〜顧客獲得で結果を出すための≪士業のWebマーケティング戦略≫
士業のWebマーケティング戦略を実践するには、まず、次の6ステップで立案する必要があります。
- 内・外で現状を把握する
- 現状と理想のギャップ分析をする
- 解決すべき課題を見つける
- アプローチする対象を決める
- アプローチ内容を決める
- アプローチ方法を決める
各ステップの詳細を見ていきましょう。
①では、事務所内の状況、事務所外の状況を把握します。Webマーケティング戦略は、この現状把握がどれだけ正しくできるかにかかっているかで決まる、とも言われる重要なステップです。
具体的には、内なら現在抱えている顧客や得意な案件などの「強み」、成約できなかった顧客や取れていない案件などの「弱み」です。外なら、競合他社の強み・弱み、法律などの変更など自身を取り巻く環境です。
②では、現状を理想通りにするために足りない部分(ギャップ)を分析します。具体例としては「想定よりも成約数が少ない」・「得意なのに顧客がつかない分野がある」などの不満を網羅的に挙げていきます。
③では、②の不満から、解決すべき課題を見つけます。具体的例としては「集客して相談数を増やす」・「得意分野をアピールした広告展開をする」などの不満に対しての解決策を挙げていきます。
④では、解決策をもっと詳細にするべく、最も効果を出せそうなアプローチする対象を決めます。基本的には「集客できている顧客の属性」と「集客できていない顧客の属性」を判断し、優先順位を判断します。
⑤では、④で決めた対象の顧客(ターゲット)に、どんなアプローチをするかを決めます。ターゲットを集客して相談・成約まで持っていくには、それぞれの段階でどんなメッセージを伝えればいいかを検討します。
⑥では、⑤で検討したメッセージをどう届けるか、アプローチ方法を決めます。Webマーケティングであれば、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSや、事務所のwebサイト(オウンドメディア)での情報発信が一般的です。
マス戦略か?ニッチ戦略か?
さて、ここで冒頭の「マス戦略か?ニッチ戦略か?」の問いを思い出しましょう。大衆(マス)にするか、条件を狭めたニッチにするかの判断は④〜⑥で行いますが、事務所の規模や取り巻く環境、課題によっても変わるため「士業のWebマーケティング戦略はこうあるべき」とは言い切れないのが正直なところです。
しかし、前回(Part-1)でもご説明したように、士業の先生がWebマーケティングで集客に力を入れよう!と考えたときは「認知し、webサイトに訪問してもらう」施策と「webサイトから問合せ・相談につなげる」施策を優先すべき状況にあるのがほとんどです。
大衆(マス)に向けた広告は「認知」にかなり有効な手段です。「事業規模が大きいのに、見合った集客できていない」という課題があるなら、認知度を高めるため、対象者を限定せずに大衆(マス)に行うマス戦略を取るべきでしょう。
多くの士業の先生にマス戦略をおすすめしないのは、対象者を限定しない施策はとにかくお金がかかるから、です。特に小規模な事務所ではwebサイトの訪問者(見込み客)が増えても、問合せ・相談につなげて対応するのが難しいため、条件を絞り、競合の少ない隙間(ニッチ)をつくニッチ戦略がよいでしょう。
マス戦略とニッチ戦略でマーケティング施策がどう変わるか、具体例をご紹介します。
【マスマーケティング戦略での施策例】
- 検索エンジンGoogleで検索したら表示される広告(リスティング広告)で、検索数の多い「税理士」などのビッグキーワードで広告を打つ
- Facebookで特に条件を設定せずに広告を打つ
- テーマを広く設定したwebイベントやウェビナーを開く
- 士業の専門家としてTwitterやFacebookなどのSNSやYouTube動画を活用し、役立つ情報を発信する
【ニッチマーケティング戦略での施策例】
- Googleのリスティング広告で、検索数を絞った「事務所の地域名 税理士」などのキーワードで広告を打つ
- Facebookで見込み顧客になりやすい属性の方向けの広告を打つ
- 見込み顧客向けに、テーマを限定したwebイベントやウェビナーを開く
- 士業の専門家としてTwitterやFacebookなどのSNSやYouTube動画を活用し、得意分野を限定した役立つ情報を発信する
上の例では変化のわかりやすい「認知し、webサイトに訪問してもらう」施策を中心に紹介しましたが、「webサイトから問合せ・相談につなげる」施策でも、相談フォームや診断フォームなどの項目が変わるなどの変化があります。
また、ニッチ戦略の中でも、地域や顧客属性をさらに限定した超ニッチ戦略をとると、他と競合しにくくなるので、ニッチ戦略で詰まったら、顧客属性を分析し、もう一段階、条件を狭めてみるのもおすすめです。
課題にあわせて戦略を決めて実践することで、士業の先生がWebマーケティングで成果を出せるようになるでしょう。
(参考リンク)前号:士業がおさえておくべきwebマーケティング総論