「自分は白色申告をしている個人事業主だから、税務調査は関係ない」と思っている方はいませんか?
実は白色申告を行っている個人事業主であっても税務調査が行われることがあります。
実際に白色申告であっても税務調査が来たという人も多く、「白色申告の個人事業主なら税務調査は関係ない」といった情報は間違いということになります。
今回は白色申告の個人事業主に対して、どのようなケースで税務調査が行われるのかについて解説していきます。
1.青色申告と白色申告は何が違う?
まず青色申告と白色申告の違いについて軽く触れておきます。
(1)青色申告とは
事業や不動産投資などで所得のある事業者が、お金の取引などを記帳し、その内容を確定申告書に記載して申告をする制度のことをいいます。
白色申告よりも節税の効果が高く、事業利益から最大65万円を差し引くことで税金を抑えることができる制度などがあります。
記帳を行ったり、税務署の承認を受けたりなどの手間は発生しますが、申告を行う人が多い制度です。
(2)白色申告とは
青色申告を行っていない事業者が確定申告を行う制度となります。実は2014年に白色申告者に対しても記帳やその内容の保存が義務付けられたため、記帳の手間などは青色申告とあまり変わらないかもしれません。
2.白色申告でも税務調査の対象になるのか
繰り返しになりますが、白色申告を行った人も税務調査の対象となります。
確定申告を行った人であれば、税務調査の対象となります。
個人事業主などで確定申告を行った人のうち、税務調査があった人の割合は1年で3%とされています。(平成28年度データ)
このうち白色申告の人の割合は不明なのですが、白色申告をしている人の人口割合を考えると、約1%程度の確率で税務調査を行われる可能性はあります。
そのため、白色申告だからと言って記帳を行わなかったり数字をごまかしたりすると、いざ税務調査が来たときに大事となってしまいますので注意が必要です。
3.税務調査の対象になりやすい人
すべての個人事業主に税務調査の対象となる可能性がありますが、事業の状況によっては特に税務調査の対象になりやすい人がいると考えられます。
その対象となりやすい人の特徴を紹介します。
(1)売上が大きい個人事業主
明確な基準はないのですが、税務調査の対象となりやすい人には傾向があります。
主に個人の売上や利益を税務署は良く見ています。
特に売上の規模が大きい個人事業主は税務調査の対象になりやすいです。
売上が大きいと支払う税金も高くなりますので、税務署のチェックも厳しくなります。
また税務署側からしても多くの税金が入る方が良いという考え方もあるかもしれません。
FXや不動産投資など利益が大きい業種の方が多いです。
(2)毎年の数字変動が大きい場合
また売上や利益、経費の変動が毎年大きく変動している場合も、税務調査の対象となりやすいと考えられます。
確定申告のデータから特に変動の大きい人を税務署が見つけてときに、どうしても不正を疑う職員がいるかもしれません。
もし正確に計上していても数字が不安定になってしまうという個人事業主の方は、税務調査をスムーズに済ませられるよう、帳簿や領収書など証拠となるデータは残しておいた方がよいでしょう。
(3)開業して3年が経過した人
税務調査の対象となる場合、まずは過去3年間の数字を見られることが多いです。
開業当初は経理面のミスなども起こりやすいため、最初の税務チェックという意味合いで対象になる可能性もあります。
いきなりトラブルになることが無いよう、日々の記帳などは大切にしましょう。
4.税務調査が多い時期は?
7月から11月までが一般的に税務調査が行われやすいといわれています。
基本的には、決算月が2~5月の企業に関しては7~12月に税務調査、決算期が6~1月の企業に関しては1月~6月に税務調査を行うことになっております。
この時期に開業3年目を迎える事業主は、もしかすると税務調査が入りやすいかもしれません。
5.税務調査が決まったときに準備しておくべきこと
税務調査の目的は、「確定申告の内容が正しいものであるか?」を確認することです。
そのため実際に申告した内容の間違いや不備がない場合は、申告是認として特に処置などが無く終わる場合もあります。
申告内容が正しいと証明するために、確定申告時に使用した資料やデータがあると良いでしょう。例えば、以下のようなものが考えられます。
- 会計帳簿
- 申告書の控え
- 通帳
- 領収書
- 請求書
- 契約書関連 など
万が一、間違いを指摘されそうになったときに申告を裏付ける資料があると話がスムーズに進むことが考えられます。
これらの資料や書類は数年分は大切に保管しておいた方がよいでしょう。
まとめ
個人事業主の方で白色申告を行っていても、税務調査の対象となる可能性は十分にあります。
特にご自身で記帳を行っている方はちょっとしたミスに気付かないまま、数年が経過し税務調査で指摘されてしまった、というケースも多くあります。
追加課税を求められて、多額の税金を払ってしまわないよう日頃から管理をしっかり行っておくことをおすすめします。