銀行融資を受けるための必要書類とは?事業者向けに解説

カテゴリー 資金調達

銀行融資を受けるには、事前に必要書類を揃えることが不可欠です。提出すべき書類は法人と個人事業主で異なるほか、融資の種類や審査基準によっても変わるため、申請者によって適切な準備が求められます。

当記事では、銀行融資の必要書類を一覧表を用いて紹介します。また、各書類の概要もひとつずつ解説していくので、銀行融資の申請に向けて必要書類を調べている人は参考にしてみてください。

銀行融資の必要書類一覧

銀行融資を受けるためには、申請者の信用力や事業の安定性を証明するさまざまな書類の提出を求められます。必要書類は融資審査の判断材料となり、不備があると審査の遅延や否決につながる可能性があります。

<銀行融資の必要書類一覧>

書類名 目的 対象
事業計画書 事業の成長性や収益モデルを説明する 共通
資金繰り表 事業の運転資金の流れを示す 共通
納税証明書(その1、その3) 税金の未納がないことを証明する 共通
決算書 企業の収益性や安定性を示す 法人のみ
履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本) 会社の正式な登記情報を確認する 法人のみ
確定申告書 収益状況を確認するために必要 個人事業主のみ
本人確認書類 代表者の本人確認 個人事業主のみ

銀行は、融資した資金が適切に活用され、確実に返済されるかを判断するため、事業の成長性や財務状況を詳細に確認します。そのため、事業計画や資金繰り表、納税証明書などの書類を提出し、事業の実態や安定性を明確に示すことが必要です。

たとえば、事業計画書が不十分な場合、銀行は事業の成長性が不透明と判断し、審査が厳しくなる可能性があります。また、納税証明書が未提出の場合や税金の未納がある場合は資金管理が適切でないとみなされるため、事前に納税状況を整理しておく必要があります。

必要書類の不備を防ぐため、融資を申し込む銀行の必要書類一覧を確認しながら準備を進めましょう。不安がある場合は提出前に銀行へ問い合わせることで、不足書類の有無や追加で求められる資料を確認でき、スムーズに申請を進めることができます。

なお、銀行によっては個人事業主に対し、事業の実態を証明するため「開業届」の提出を求める場合があります。通常は確定申告書の提出で証明できる内容ですが、開業間もなく確定申告を行っていない場合や、事業の実態を示す資料が不足している場合に必要となることもあるため、税務署で取得できるよう準備しておきましょう。

事業計画書

事業計画書は、銀行融資の審査で事業の収益性や成長性を示す重要な資料です。銀行は、事業計画をもとに売上計画や市場分析、返済計画などを確認し、融資の可否を判断します。

<事業計画書に盛り込む内容>

項目 内容
事業概要 事業の目的、提供する商品やサービス、ビジネスモデル
市場分析 業界の動向、ターゲット市場、競合分析
売上計画 収益の見込み、売上目標、価格設定の根拠
資金計画 必要資金の内訳、調達方法、資金の使途
返済計画 返済スケジュール、利益からの返済可能性
運営体制 代表者や主要メンバーの経歴、役割分担

事業計画が不十分な場合は銀行から計画性が低いと判断され、審査に通過できない可能性が高まります。特に新規事業者は実績がないため、客観的なデータに基づいた計画を示すことが求められます。

融資審査に通過するためには、事業計画を具体的で説得力のある内容に作成することが大切です。売上予測や市場調査などのデータを用いて論理的に説明し、事業の将来性や返済計画を示すことで銀行の信頼を得やすくなります。

資金繰り表

資金繰り表は、資金の収支バランスを示し、事業の安定性を証明する書類です。銀行は、融資後の資金管理が適切に行われるかどうかを確認するため、資金繰り表の提出を求めます。

<資金繰り表に記載する内容>

項目 内容
現金収入 売上収入、借入金の受取、補助金や助成金など
現金支出 仕入れ代金、人件費、家賃、税金、返済金など
資金残高 月ごとの資金残高、資金の余剰または不足の状況
資金不足対策 追加融資、コスト削減など、資金不足が予測される場合の対応策

資金繰り表には、一定期間(通常1カ月〜1年)のすべての現金収入と現金支出を分類、集計して記載します。現金の流れを可視化し、収支のバランスや資金の過不足を把握するために重要な資料です。

収支の見通しが不透明な場合、銀行は返済リスクが高いと判断し、審査が厳しくなります。また、支出が収入を上回る状況が続くと、資金不足による経営悪化が懸念されます。

融資審査を有利に進めるためには、資金の流れを正確に把握し、安定したキャッシュフローを示すことが重要です。計画的な資金管理を行い、資金繰りの見通しを明確にしておきましょう。

納税証明書

納税証明書は、税務署が発行する書類であり、適切に納税していることを証明します。銀行は、申請者に税金の未納がないかどうかを確認し財務状況の健全性を判断するため、未納がある場合は資金管理が適切でないとみなされ、融資審査が厳しくなります。

「納税証明書(その1)」は、直近の納税額や過去の納税実績を示す書類です。事業の収益状況や税金の支払い履歴を確認する目的で銀行が提出を求めることがあり、安定した納税実績がある場合は、財務の健全性をアピールする材料となります。

「納税証明書(その3)」は、申請時点で未納の税金がないことを証明する書類です。未納があると銀行から資金管理に問題があると判断される可能性があるため、証明書を取得できない場合は融資審査に影響を及ぼすことがあります。

融資をスムーズに進めるためには、税金の未納がない状態を維持し、必要な納税証明書を事前に取得しておくことが必要です。税務状況を定期的に確認し、時間がかかる可能性のある納税証明書の発行手続きは早めに進めておきましょう。

決算書

決算書は法人のみが提出する書類であり、銀行融資を申請する際に提出する財務諸表の総称です。具体的には「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」などが含まれ、企業の財務状況や経営成績を示します。

銀行は通常、直近3年分の決算書をもとに財務状況を分析し、企業の安全性や返済能力を判断します。しかし、設立間もない法人は決算書が1期分しかないこともあるため、その場合は提出可能な範囲の決算書を提出することになります。

<決算書として提出する財務諸表>

項目 内容
損益計算書(PL) 売上や利益の状況を示し、利益率や成長性を評価するための書類
貸借対照表(BS) 企業の資産、負債、資本のバランスを示し、財務の健全性を判断するための書類
キャッシュフロー計算書(CF) 資金の流れを明示し、収益性や経営の安定性を判断するための書類

赤字決算が続いている場合、銀行は財務状況が不安定であるとみなし、審査が厳しくなります。また、自己資本比率が低い企業も借入依存度が高いと判断され、融資の利用が難しくなることがあります。

融資審査を通過するには、決算書の内容を整理し、財務の健全性を示すことが求められます。利益の推移や資本比率を改善し、財務の安定性を高める取り組みを進めましょう。

なお、設立間もない企業で決算書がない場合は、試算表や創業計画書を補足資料として提出する必要があります。事業計画書と資金繰り表を充実させることで、財務状況や事業の将来性を銀行に示し、信用力を高めましょう。

履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)

履歴事項全部証明書とは、法務局が発行する法人の登記事項を証明する書類です。かつては「商業登記簿謄本」とも呼ばれていましたが、現在の正式名称は「履歴事項全部証明書」とされており、銀行は融資審査の際にこの書類をもとに企業の資本金や役員構成、本店所在地などを確認して法人の実態を審査します。

履歴事項全部証明書には、商号変更や本店移転などの履歴も記録されており、企業の経営状況や安定性を判断する材料になります。登記情報が最新でない場合、審査に影響を与える可能性があるため、法務局で最新の履歴事項全部証明書を取得し、内容を確認しておくことが重要です。

融資審査をスムーズに進めるためには、登記情報の正確性を維持し、必要に応じて変更手続きを行うことが求められます。特に、代表者の変更や増資などの重要な登記事項がある場合は、速やかに手続きを済ませ、銀行に最新の情報を提出しましょう。

確定申告関連の書類

確定申告書は、個人事業主が年間の所得や経費を税務署に申告する手続きであり、融資審査の際にはその申告内容が重要な判断材料となります。銀行は、確定申告の記録をもとに収益状況や納税履歴を確認し、返済能力を判断します。

通常、直近3年分の確定申告書の提出が求められますが、開業間もない事業主は直近の申告書のみを提出し、事業の実態や収益の見通しを示す必要があります。事業計画書や資金繰り表をあわせて用意することで、収益の将来性を補足できる場合があります。

<確定申告関連の書類>

項目 内容

確定申告書(第一表、第二表)

事業所得や経費、納税額などを記載し、事業の利益状況を示す書類
青色申告決算書(青色申告者) 収益、経費、利益の詳細を記載し、損益計算を行う書類
収支内訳書(白色申告者) 収益と経費の概要を記載し、所得計算を行う書類
付属書類(減価償却費明細書など) 必要に応じて資産の減価償却や特定の経費を証明する書類

事業所得が安定していない場合や赤字申告が続いている場合は、収益基盤が不安定とみなされ、審査が厳しくなる可能性があります。また、申告内容に不備があると事業実態の信頼性に疑問を持たれるため、正確な申告と適切な帳簿管理が求められます。

青色申告をしている場合は、青色申告決算書を提出し、売上や経費の詳細を示すことで事業の安定性を証明できます。さらに、固定資産を所有している場合は、減価償却費の明細書を提出することで経費の内訳を明確にし、財務状況の信頼性を高めることが可能です。

融資審査をスムーズに進めるためには、確定申告書の内容を整理し、事業の健全性を示すことが大切です。利益の推移が安定していることや財務管理が適切に行われていることを示すことができれば、銀行からの信頼を得やすくなります。

本人確認書類

本人確認書類は、融資申請者の身元を証明するために必要であり、個人事業主のみが提出を求められます。銀行は、申請者が本人であることを確認し、信用リスクを管理するために運転免許証やマイナンバーカードなどの提出を求めます。

<主な本人確認書類>

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • 健康保険証(補助書類が必要な場合あり)

本人確認書類は写真付きの公的書類が優先され、健康保険証を提出する場合は補助書類として住民票や公共料金の請求書などを求められることがあります。提出前に書類の有効期限や記載情報を確認し、最新のものを準備しておきましょう。

個人事業主が銀行融資に申請するには、銀行が指定する本人確認書類を正しく提出する必要があります。記載情報に変更があった場合は速やかに更新手続きを行い、正確な情報を提供することで審査の遅延を防ぎましょう。

状況によって必要になる追加書類

銀行融資の申請時には、基本的な必要書類に加え、事業の状況や申請内容に応じて追加書類の提出を求められることがあります。状況によって提出を求められる書類は、融資の審査をより円滑に進めるための補足資料として、事業の実態や資金の使途を明確に示す役割を果たします。

<状況によって必要になる追加書類>

書類名 目的 対象
取引先の契約書や請求書 取引実績を証明する 共通
担保関連書類 不動産や資産を担保に設定する場合に必要 共通
銀行取引一覧表 他行との取引状況や過去の融資履歴を示す 共通
資金使途明細 借入資金の具体的な用途を説明する 共通
最新の試算表 直近の業績を示すために必要 法人
代表者の印鑑証明書 法人代表者が個人補償を求められる場合に必要 法人
事業用口座の通帳コピー 売上や支出の流れを示し、資金管理の適切さを証明する 個人事業主
仕入や取引先の証明書類 仕入れ実績や取引状況を証明する 個人事業主

銀行は、担保の設定や資金使途の詳細な説明が必要な場合に追加書類の提出を求めることがあります。融資の種類や申請者の状況によって必要な書類は異なるため、事前に確認して適切に準備しておくことが重要です。

また、銀行は事業の実態や資金繰りの状況を正確に把握するため、取引先の契約書や請求書の提出を求めることがあります。これらの書類は事業の継続性や収益の裏付けとなるため、必要に応じて提出なければなりません。

必要書類の抜け漏れを防ぐには、融資担当者と事前に相談し、追加で求められる書類を確認することが大切です。求められた際に迅速に対応できるよう、日頃から書類の管理を徹底しておきましょう。

取引先の契約書や請求書

取引先の契約書や請求書は、事業の取引実績を証明するための書類です。銀行は融資審査の際に安定した売上があるかや、取引先との関係が継続的であるかを確認し、返済能力を評価します。

<取引先の契約書や請求書に記載される主な情報>

  • 取引先の名称と所在地
  • 契約期間や取引開始日
  • 取引内容や提供サービスの詳細
  • 取引金額及び支払い条件

取引の実態が不透明な場合、銀行は売上の持続性に疑問があると判断し、融資審査が厳しくなる可能性があります。また、新規事業に取り組む企業や売上が急増した企業では、取引先の信頼性を示すために契約書や請求書の提出を求められることがあります。

融資審査をスムーズに進めるためには、最新の取引状況を示せる契約書や請求書を整理し、必要に応じて提出できるよう準備しておくことが重要です。特に、新規契約や高額取引がある場合は契約書の内容を銀行と共有し、売上の安定性を示しましょう。

担保関連書類

担保関連書類とは、融資の返済が困難になった際に銀行が回収手段を確保するための必要書類です。銀行は融資審査の際に担保の価値や換金性を評価し、融資可能額や条件を決定します。

<主な担保関連書類>

担保にする対象 必要書類
不動産 登記簿謄本、公図、固定資産評価証明書
車両や機械設備 登録証明書、資産評価書
預貯金を担保とする場合 預金残高証明書、担保設定依頼書

担保の種類や評価額が不明確な場合、銀行は担保の価値を適切に評価できず、融資条件が厳しくなる可能性があります。高額の融資を希望する場合や信用保証を利用しない場合は、担保の詳細を示す書類の提出を求められることがあります。

融資審査をスムーズに進めるためには、担保として活用できる資産の状況を事前に確認し、必要な書類を揃えておくことが重要です。銀行は担保の種類ごとに評価方法を設定しているため、不動産の登記情報、機械設備や車両の査定資料、預貯金の残高証明など、適切な資料を準備しておきましょう。

銀行取引一覧表

銀行取引一覧表は、申請者の金融機関との取引履歴をまとめた書類であり、融資審査の際に資金の流れや信用力を判断するために提出が求められます。新規取引の銀行で融資を申し込む場合や、複数の金融機関と取引がある場合に必要となる傾向にあります。

<銀行取引一覧表に記載する主な内容>

項目 内容
取引金融機関名 現在取引のある銀行や信用金庫の名称を記載する
預金口座の種類や残高 普通預金、当座預金の口座状況や残高を明記する
借入の有無 過去および現在の借入金の有無と金額を示す
返済履歴 既存の融資に対する返済状況を記録する
取引期間 取引開始日と継続年数を記載する
その他の金融取引 手形や信用保証の利用状況などを記載する

銀行取引一覧表の内容が不十分であったり、過去の借入金の返済遅延がある場合、銀行は信用リスクが高いと判断し、審査が厳しくなる可能性があります。既存の借入が多い場合や取引履歴が少ない場合は、融資の承認に影響を及ぼすことがあります。

融資審査を円滑に進めるためには、銀行取引一覧表を正確に作成し、金融機関との健全な取引実績を示すことが大切です。新規取引のある銀行で融資を申し込む場合は、これまでの取引履歴が少ないため、事業の財務状況や資金繰りの安定性を示す補足資料を用意しておくと審査が進みやすくなります。

資金使途明細

資金使途明細は、融資を受けた資金の具体的な使い道を明確に示す書類であり、銀行が資金の適正な活用を確認するために提出を求めます。特に、設備資金や運転資金など用途が多岐にわたる融資や、高額な借入を希望する場合に必要となる傾向にあります。

また、新規事業の立ち上げや事業拡大のための融資では、計画の実現可能性を示すために求められることがあります。資金の流れが不明確だと審査が厳しくなるため、具体的な費目を示し、見積書や契約書と併せて提出することが求められます。

<資金使途明細書に記載する主な内容>

項目 内容
資金の用途 設備投資、運転資金、仕入れ資金など
使用する具体的な項目 店舗の改装費、機械設備の購入費、広告宣伝費、人件費など
必要な金額 各用途に割り当てる予定の金額
支払予定日 資金を使用するタイミング
見積書や契約書の添付 必要に応じて見積書や契約書を添付し、根拠を示す

資金使途が不明確であると、銀行が申請者に対し「適切に資金を管理できるか」「返済計画に無理がないか」といった懸念を抱き、審査が厳しくなる可能性があります。特に、資金用途が漠然としていると計画性が低いと判断され、融資の承認が難しくなることがあります。

たとえば、新規出店を目的とした融資では、賃貸契約費、内装工事費、広告宣伝費などの具体的な用途を明記する必要があります。また、設備投資の場合は、生産設備の導入費用やソフトウェア開発費などを詳細に記載し、見積書や契約書を添付することで融資の妥当性を示すことが必要です。

融資審査を有利に進めるには、資金の使用目的を明確にし、必要に応じて証拠となる書類を準備しておくことが大切です。資金の流れを具体的に示すことで銀行からの信頼を得やすくなり、融資の承認を受けられる可能性が高まります。

最新の試算表

試算表は、法人が直近の財務状況を示すために作成する資料であり、決算書を補完する役割があります。銀行は、決算後に融資を申し込む場合や業績が大きく変動している企業に対し試算表の提出を求め、最新の売上や利益、資金繰りの状況を確認します。

<試算表に記載する主な内容>

項目 内容
売上や利益の状況 直近の売上推移や利益率を示し、収益性を確認する
資金繰りの状況 現金の収支や運転資金の流れを把握し、資金繰りの安定性を示す
売掛金や買掛金の管理状況 取引先との支払い、回収のバランスを確認する

直近の業績を示す資料が不足している場合、銀行は財務状況が不透明であると判断し、審査が厳しくなる可能性があります。決算後に業績が大きく変動した場合や直近の業績を示す必要がある場合には、試算表を適切に作成し、最新の財務状況を明確に示すことが求められます。

融資審査をスムーズに進めるためには、試算表の内容を整理し、事業の安定性や収益性を正確に伝えることが重要です。必要に応じて資金繰り表や売掛、買掛の管理状況を説明する補足資料を用意し、銀行からの信頼を得られるよう準備しておきましょう。

代表者の印鑑証明書

代表者の印鑑証明書は、法人の代表者が正式に登録した印鑑(実印)を証明する書類です。銀行は、融資契約や担保設定時に契約の真正性を確認するため、代表者の印鑑証明書の提出を求めます。

<代表者の印鑑証明書の主な用途>

  • 融資契約の締結:銀行と正式な契約を結ぶ際に必要
  • 担保提供の手続き:不動産や資産を担保に設定する場合に使用
  • 保証契約の締結:代表者が法人の連帯保証人になる場合に必要

代表者の印鑑証明書が未提出の場合、銀行は契約の真正性が確認できないと判断し、融資の実行が遅れる可能性があります。また、印鑑登録の内容と登記簿の代表者情報が一致しているか事前に確認しておくことが重要です。

印鑑証明書は、法務局や市区町村役場で取得でき、一般的に発行から3カ月以内のものが有効とされます。提出のタイミングに合わせて取得し、有効期限内のものを準備するようにしましょう。

事業用口座の通帳コピー

事業用口座の通帳コピーは、個人事業主の売上や支出の流れを確認する場合に必要になります。銀行は、資金の動きが明確であるか、安定した売上があるかを判断するために、通帳の提出を求めることがあります。

<事業用口座の通帳コピーが必要になる状況>

  • 事業の売上を証明する必要がある場合
  • 取引履歴が短く、売上の安定性を示す必要がある場合
  • 個人と事業の資金管理を分けていることを示す必要がある場合

事業用とプライベートの資金が混在している場合、銀行は事業の収支が不透明と判断し、審査に影響を与える可能性があります。融資審査をスムーズに進めるためにも、事業専用の口座を用意し、適切に管理することが重要です。

仕入れや取引先の証明書類

仕入れや取引先の証明書類は、個人事業主が事業の実態を証明するために提出する書類です。銀行は、事業の継続性や収益の安定性を確認するため、過去の仕入れ履歴や取引先との契約の有無を審査します。

<主な仕入れや取引先の証明書類>

項目 内容
仕入伝票、請求書 仕入の実施や支払い状況を示す
取引契約書 継続的な取引があること証明する
発注書、納品書 取引先との具体的な取引履歴を示す
銀行の振込履歴 取引先への支払い実績を証明する

事業実態を示す書類が不足している場合、銀行は事業の継続性に不安があると判断し、審査が厳しくなる可能性があります。特に、新規開業の個人事業主や過去の確定申告の実績が少ない場合は、仕入れや取引の実績を示す証明書類を整えておくことが求められます。

事業の実態を明確に示すため、過去の仕入れ記録や取引先の契約状況を整理し、必要に応じて銀行へ説明できる状態にしておきましょう。

銀行融資の書類準備における注意点

銀行融資の審査を円滑に進めるためには、必要書類を適切に準備することが不可欠です。提出する書類に不備や不足があると審査が遅れるだけでなく、融資の否決につながる可能性もあるためです。

<必要書類の準備における注意点>

注意点 内容
書類の正確性を確保する
  • 決算書、確定申告書、資金繰り表などの記載ミスや不整合がないか事前に確認する
  • 事業計画書と資金使途明細書の内容が一致しているかチェックする

最新の情報を提出する

  • 印鑑証明書、最新の試算表、銀行取引一覧表 などは、発行日から3カ月以内のものを用意する
  • 最新の財務状況を正しく反映させた書類を準備する

書類の整合性を確認する

  • 事業計画書と試算表の数値が矛盾していないか確認する
  • 税金や社会保険料の未納がある場合は納付を済ませた上で納税証明書を取得する

銀行ごとの要件を確認する

  • 必要書類は銀行ごとに異なるため、利用する銀行の融資サービスのリストを確認する
  • 不明点は担当者にあらかじめ確認しておく

追加書類を想定して準備する

  • 審査の過程で取引先の契約書や担保関連書類の提出を求められることがある
  • 個人事業主は事業用口座の通帳コピーや取引先の契約書類などを準備しておく

銀行は融資審査の際に、申請者の信用力や事業の実態を細かく確認します。そのため、財務関連書類や契約書類に誤りがあると、資金管理能力に疑問を持たれ、融資の承認が難しくなります。

銀行融資の書類準備では「正確性」「最新性」「整合性」の3点を意識し、必要な書類を事前に確認しておくことがポイントです。さらに、提出前に銀行の担当者と一緒に不備や不足がないかをチェックしておくことで、スムーズな融資審査を目指せます。

なお、銀行融資の審査に通過するためには、事前に事業者の「信用情報」や「財務状況」などを整えておく必要があります。書類の準備とあわせて審査落ちにつながる原因と対処法を確認しておきたい人は「銀行融資の審査に通らない理由と対処法を解説」の記事を参考にしてみてください。

まとめ

銀行融資の審査では、事業の健全性や返済能力を示す書類の提出が求められます。法人は決算書や事業計画書、個人事業主は確定申告書や資金繰り表を用意し、事業の実態を的確に伝えることが重要です。

融資の種類や銀行の審査基準によっては、取引先の契約書や最新の試算表などの追加書類が必要になる場合があります。事前に銀行の要件を確認し、必要書類を揃えておくことで、審査の遅延や否決のリスクを抑えられます。

提出書類の「正確性」「最新性」「整合性」を意識することで、融資審査をよりスムーズに進められます。書類の記載ミスや矛盾をなくし、最新の情報を反映させることで、銀行からの信頼を得やすくしておきましょう。

この記事を書いたライター

ソラボ編集部

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