オンライン完結型ファクタリングとは、売掛債権売却(譲渡)取引をすべてオンライン上で完結できるファクタリングサービスのことをいいます。ファクタリング会社によって呼称が異なり、WEB完結型ファクタリング、クラウドファクタリングなどと呼ばれています。
オンライン完結型ファクタリングはすべての利用手続きを非対面で行うため、対面や郵送のやり取りがあるファクタリング取引とは異なるメリットとデメリットがあります。利用を検討する際は、希望する資金調達が行えるかどうかで判断すると良いでしょう。
当記事では、オンライン完結型ファクタリングについて解説します。利用時のメリットやデメリットについても解説しているので、自身に適しているサービスであるかを見極めるための参考にしてみてください。
オンライン完結型ファクタリングの仕組み
オンライン完結型ファクタリングは、すべての利用手続きを非対面で行います。
たとえば、利用時の審査に伴う面談や契約などの対面で実施されることが多い場面も、AIによる自動判定やWEB面談などを取り入れて非対面での対応が実施されます。
また、契約の締結も電子文書で作成した契約書をオンライン上で確認していくため、契約書を郵送する手間などもかかりません。したがって、ファクタリング会社の所在地を気にすることなく売掛債権の売却(譲渡)取引を申し込むことが可能です。
なお、ファクタリングに関する相談や手続きの不明点などはメールやチャット、カスタマーセンターを利用することで解消することができます。ファクタリング会社によって対応方法は異なりますが、オンライン完結型ファクタリングはサポート体制も非対面です。
オンライン完結型ファクタリングの利用手続きは、以下のような流れで行われます。
<オンライン完結型ファクタリング 利用手続きの流れ>
オンライン完結型ファクタリングのメリット
オンライン完結型ファクタリングは、利用手続きのすべてをオンライン上で完結するため、対面や郵送手続きが伴うファクタリング取引と比べて、以下のようなメリットがあります。
<オンライン完結型ファクタリングのメリット>
・最短で資金調達が行える
・調達額を大幅に減らすことなく資金調達を行える
・債権譲渡登記が不要となる場合がある
なお、利用時のメリットはサービス内容によって異なる場合があります。ここに挙げたメリットはあくまでも一例ではありますが、オンライン完結型ファクタリングの利用を検討している人は、利用した場合に得られるメリットを押さえておきましょう。
最短で資金調達が行える
オンライン完結型ファクタリングは、対面や郵送を行う取引と比べて、最短で資金調達を行うことが可能です。
また、過去の取引データや財務情報を学習したAIが利用可否を自動判断する審査方法の場合は、審査結果の通知と見積もりの提示が最短24時間で実施されることもあります。
スムーズに審査や契約の締結が行われた場合には、即日あるいは翌日に買取金を受け取ることができます。
なお、最短で資金調達を行うためには、審査に必要な提出書類が不備なく揃っている必要があります。審査時に必要な書類はファクタリング会社によって異なるため、会社のホームページなどから必要書類を確認し、申込を行う前に揃えるようにしましょう。
調達額を大幅に減らすことなく資金調達を行える
オンライン完結型ファクタリングは、コストを抑えた運営を可能としています。AIによる審査が人件費を削減し、WEBフォームやメールでのやり取りが不要な経費の発生を抑えているため、コスト削減により利用時の手数料を低く設定しているファクタリング会社が多い傾向にあります。
利用時の手数料は売掛債権の額面から差し引かれる形で徴収されるため、手数料が低いほど受け取ることができる調達額が増えることになります。そのため、オンライン完結型ファクタリングは対面や郵送を行う取引と比べて、調達額を大幅に減らすことなく資金調達を行うことが可能です。
債権譲渡登記が不要となる場合がある
オンライン完結型ファクタリングは、迅速に資金化を行うことやコストを抑えた取引であることを重視しています。そのため、2社間ファクタリングにおける債権譲渡登記を不要としている場合があります。
債権譲渡登記は、申請手続きを行ってから登記が完了するまで数日から1週間ほどかかる場合があるため、資金化が遅れます。また、登録免許税や専門家に依頼した場合の報酬料などの費用が発生するため、余計なコストを増やすこととなります。
このような理由から、オンライン完結型ファクタリングでは債権譲渡登記を不要とするファクタリング会社が多い傾向にあります。しかし、債権譲渡登記の有無はファクタリング会社によって異なるため、事前にホームページ等を確認し不明な場合は問い合わせを行うようにしましょう。
オンライン完結型ファクタリングのデメリット
オンライン完結型ファクタリングは、利用手続きをオンライン上で完結できる一方で、以下のようなデメリットがあります。
<オンライン完結型ファクタリングのデメリット>
・3社間ファクタリングの取り扱いが少ない
・書類をすべてデータ化する必要がある
・柔軟な対応をしてもらうことは難しい
デメリットの影響が大きいと感じる場合には利用を再検討する必要があります。オンライン完結型ファクタリングの利用を検討している人は、利用した場合に生じるデメリットを押さえておきましょう。
3社間ファクタリングの取り扱いが少ない
オンライン完結型ファクタリングの契約形態は、おもに2社間ファクタリングです。なぜなら、3社間ファクタリングであると売掛先企業への債権譲渡通知が必要になるためです。
債権譲渡通知とは、ファクタリングを利用し債権を譲渡することを知らせる書面です。法的な効力を持たせるためにも内容証明郵便等で送る必要があるため、オンラインで対応することはできません。
したがって、オンライン完結型ファクタリングは3社間ファクタリングの取り扱いが少ない傾向にあります。
書類をすべてデータ化する必要がある
オンライン完結型ファクタリングは、必要書類の提出をファクタリング会社のWEBフォームから行います。そのため、審査に必要とされる書類をすべてデータ化し、アップロードする必要があります。
紙媒体の書類をデータ化するには、書類をカメラで撮影したりプリンターなどでスキャンしてPCに取り込む必要があります。また、アップロードする際には、データ化した書類のファイル形式をPDFやExcel、JPEG などの対応可能な形式にして提出する必要があります。
そのため、スマートフォンやPCに対する知識が浅い場合や操作が不慣れな場合には、操作方法などを確認する手間や時間が発生することとなります。かえって効率が悪くなってしまうため、データ化する作業に不安を感じる場合には対面や郵送によるファクタリング取引を検討すると良いでしょう。
なお、ファクタリング会社ホームページの「よくある質問」のページに操作方法が記載されている場合があります。また、エラーが生じた場合にはメールやチャットで質問をすることが可能であるため、ファクタリング会社のサポート窓口を活用するとよいでしょう。
柔軟な対応をしてもらうことは難しい
オンライン完結型ファクタリングは非対面であることから、書類提出時などで柔軟な対応をしてもらうことは難しいといえます。
対面や郵送対応が可能な場合には、提出書類が不足している場合や不備が見つかった場合においても、追って提出をすることや直接説明をすることで申込を受け付けてもらえる可能性があります。
一方で、オンライン完結型ファクタリングは、不足書類があると利用受付ならびに審査は行われません。不足なく書類を提出した場合においても、不備に対する確認等は行われないため、AIによって自動的に利用不可と判断されてしまう可能性があります。
そのため、不足や不備なく書類が提出できそうな場合には、オンライン完結型ファクタリングを利用すると良いでしょう。提出書類において事情説明を交えたいなど柔軟な対応を希望する場合には、対面や郵送によるファクタリング取引の利用を検討しましょう。
オンライン完結型ファクタリングの利用に適している事業者
ファクタリングの利用にあたって以下のような希望があり、多数の項目が該当する事業者は、オンライン完結型ファクタリングの利用が適している可能性があります。
<オンライン完結型ファクタリングの利用に適した事業者像>
・1日でも早く資金調達を行いたい
・2社間ファクタリングで契約を行いたい
・利用時の手数料はなるべく抑えたい
・効率的な資金調達を行いたい
・近距離にファクタリング会社がないがファクタリングを利用したい
たとえば、1日でも早く資金調達を行いたい事業者はオンライン完結型ファクタリングの利用が適しています。非対面による手続きやAIによる審査によって、即日あるいは翌日の資金化を可能としているため、対面や郵送を伴うファクタリング取引より最短で資金調達を行うことができます。
また、効率的な資金調達を行いたい事業者も利用を検討すると良いでしょう。申込や審査のために来店することや書類を郵送する必要がないため、対面や郵送を伴うファクタリング取引と比べて移動時間や作業の手間を省くことが可能になります。
なお、オンライン完結型ファクタリングはオンライン上で取引を行うサービスであるため、インターネットを使用できる環境が必須です。また、提出する書類はすべてデータ化を行う必要があるため、スマートフォンやPC操作、インターネットの使用に抵抗がない事業者は利用に適しているといえるでしょう。
まとめ
オンライン完結型ファクタリングは、利用手続きのすべてを非対面で行います。WEBフォームから利用申込や書類の提出を行い、AIによる審査を経て電子契約によって契約の締結となるため、すべてオンライン上で完結する仕組みです。
この仕組みによって、ファクタリング利用時の移動時間や書類の郵送期間がなくなり、最短で資金調達を行うことが可能になります。また、コストを抑えた運営によって手数料が低く設定されているため、調達額を大幅に減らすことのない資金調達が行えます。
一方で、オンラインで完結する必要があることから、契約形態は債権譲渡通知を行わない2社間ファクタリングとなり、書類はすべてデータ化して提出することとなります。また、非対面であることから、不備などが発生した際に柔軟な対応をしてもらうことが難しくなります。
そのため、2社間ファクタリングを希望しており、効率的に資金調達を行いたい事業者はオンライン完結型ファクタリングの利用を検討すると良いでしょう。PC操作やインターネットに対する知識が浅く不慣れである場合はかえって効率が悪くなる可能性があるため、対面や郵送によるファクタリング取引を検討しましょう。