世の中の環境変化によって売上が徐々に減少してる、利益率が低下している、資金繰りが厳しくなっている、事業の将来に不安を感じているなど、会社経営に関して不安に感じることはありませんか?
早期経営改善計画とは、国が認定した支援先から支援を受けて、事業計画を策定することによって、専門家依頼時に発生する費用の2/3を国が補助してくれる制度です。
正確には、早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業)と言います。
当記事では早期経営改善計画の制度内容や活用するメリット、デメリットについて解説します。
環境変化などに対応できるように、資金繰りの安定や収益の改善を目指したいという場合には制度内容などを理解し、早期経営改善計画の活用を検討してみてください。
早期経営改善計画とは収益力改善を支援する制度
早期経営改善計画とは、企業の資金繰りの安定や収益力改善を支援する制度です。
中小企業庁が管轄しており、国が認定した認定支援機関や中小企業活性化協議会などの支援を受けながら、経営改善のために現状の課題抽出や課題に対するアクションプランなどを作成します。
【早期経営改善計画の制度概要】
項目 | 内容 | |
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対象者 | 中小企業や小規模事業者 | |
対象経費と補助上限額(※) |
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補助率 | 最大2/3 | |
※予定の費用総額を上限とするため、実際の費用が上限を超えても補助されない。 |
参考:「経営改善計画策定支援事業に関する手引き」|中小企業庁公式サイト
申請の対象となるのは、中小企業や小規模事業者です。経営改善計画の作成や、計画を実施する際のモニタリング(伴走支援)にかかる費用の最大2/3が補助されます。
ただし、過去に早期経営改善計画や、認定支援機関による経営改善計画などの制度を利用したことがある人は、申請の対象外です。過去に制度を利用したことがある人で、経営改善に取り組みたい人は、金融機関や顧問税理士などに相談しましょう。
対象経費の上限金額は、経費ごとに決まっています。期間中のモニタリング(伴走支援)や金融機関との交渉は任意であるため、2つの経費を活用しなかった場合は、補助額の上限額は20万円となります。
また、実際に経営改善にかかった費用が予算を超えた場合、予算を上回った分の費用は補助されないため、経営改善計画を立てる際に、予算はしっかり洗い出しておきましょう。
早期経営改善計画を利用するための流れ
早期経営改善計画を活用した場合、経営改善までの取り組みは1年以上要します。
認定支援機関に相談してからもさまざまな手続きが必要であるため、早期経営改善計画を活用する予定の人は、全体の流れを確認しておきましょう。
なお、経営改善計画にかかった費用は経営改善計画策定後、モニタリングにかかる費用はモニタリングが終わった後に、支払い申請をしてから補助される金額が支払われます。経費ごとに、支払い申請が必要である点に注意が必要です。
【早期経営改善計画の相談から経営改善までの流れ】
- 認定支援機関に相談
- メインバンクに早期経営改善計画の活用了承を得る
- 経営改善センターに早期経営改善計画の利用を申請
- 経営改善計画の策定
- メインバンクへ経営改善計画書の提出
- 経営改善計画の策定にかかる経費の支払い申請書の提出
- 経営改善計画にかかる費用の支払い額の決定
- モニタリング報告と支払い申請書の提出
- モニタリングにかかる経費の支払い額の決定
1.認定支援機関に相談する
まずは、認定支援機関に早期経営改善計画を活用する旨の相談をします。
認定支援機関とは、正式には認定経営革新等支援機関といい、中小企業支援の専門知識や実務経験が一定レベル以上あると国に認められた機関です。
認定支援機関には、税理士や商工会および商工会議所、中小企業診断士や行政書士など、さまざまな業種が登録されています。
顧問税理士や取引のある金融機関が認定支援機関である場合、取引のある認定支援機関に依頼することで、新たな相談先を探すよりも、状況を把握してもらえることから、計画書作成が円滑にすすむ可能性があります。
なお、当サイトを運営するソラボでは、認定支援機関として、早期経営改善計画に関するご相談を受け付けております。早期経営改善計画をご検討の方はご相談ください。
株式会社SoLabo公式サイト「お問い合わせ」フォーム
※経営改善サポートを選択して必要事項をご入力ください
2.メインバンクに早期経営改善計画の活用了承を得る
次に、メインバンクに早期経営改善計画を活用する旨を説明し、了承を得ます。この段階で、現在の経営状況と今後の改善意欲を明確に伝えることが重要です。メインバンクの理解と協力は、計画実行の際に大きな支援となります。
メインバンクが認定支援機関としている場合には、メインバンクを相談先の認定支援機関として選択できる可能性もあるため、自社のメインバンクが認定支援機関かどうかも事前に確認しておくと良いでしょう。
中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」を利用することで、メインバンクが認定支援機関かどうかを調べることができます。
3.中小企業活性化協議会に早期経営改善計画の利用を申請する
メインバンクの了承を得たら、各都道府県の中小企業活性化協議会に利用申請書を提出します。申請には、企業の概要や見積明細書、金融機関の事前相談書などの添付書類が必要です。
【提出書類】
記入書類 | 添付書類 |
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参考:「経営改善計画策定支援事業に関する手引き(P3)」|中小企業庁公式サイト
利用申請書は、各都道府県の中小企業活性化協議会の公式サイトや認定支援機関の公式サイトからダウンロードしましょう。
また、利用申請書を提出する際は、見積明細書や直近3年の申告書などの必要書類も準備することが求められます。利用申請書を提出する際は、利用申請書に記載のチェックリストを活用して、書類の不備がないように心掛けましょう。
4.経営改善計画の策定する
経営改善計画の策定では、1年~3年の計画の業績や資金繰りの計画を立てます。
【経営改善計画策定の流れ】
- 現状分析および抽出
- 課題の解決策検討
- 具体的なアクションプランの策定
- 売上や原価などの数値計画策定
- 資金繰りの検討
- 借入金の返済計画の見直しなど
最初は、現状の課題を分析、抽出して経営課題を明確にすることが必要です。次に、課題の解決策を検討し具体的にどのように取り組むか、アクションプランや数値計画を策定します。
具体的な実施計画が形になったら、今度は資金繰りや借入金の返済計画の見直しなど、資金面を見直します。なお、経営改善計画の策定例は、中小企業庁の公式サイトにある「早期経営改善計画策定支援」の策定例の資料を参考にしてみてください。
5.メインバンクへ経営改善計画書の提出
経営改善計画を策定した後は、メインバンクへ提出します。その際、金融機関から事業計画書を受け取ったことを証明する「金融機関の受取書等」を受け取っておきます。
「金融機関の受取書等」は、中小企業活性化協議会へ支払い申請をする際に必要です。特に決められたフォーマットはありません。経営改善計画を提出した際は、必ず金融機関から「金融機関の受取書等」をもらいましょう。
6.経営改善計画の策定にかかる経費の支払い申請書の提出
経営改善計画を提出した後は、経営改善計画の策定にかかった費用の補助を受けるため、金融機関の受取書等とともに、支払い申請書を中小企業活性化協議会に提出します。
【提出書類】
記入書類 | 添付書類 |
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参考:「経営改善計画策定支援事業に関する手引き(P3)」|中小企業庁公式サイト
支払い申請書は、早期経営改善計画策定支援の利用申請が受理された日から、1年経つ日までに提出する必要があります。利用申請から1年以上経過すると、支払い申請書を提出しても、早期経営改善計画にかかった経費は補助されないため注意が必要です。
また、支払い申請書の提出の際も、あわせて記入が必要な書類や添付書類の提出が求められます。記入書類はフォーマットが決まっているため、事前に中小企業活性化協議会の公式サイトからダウンロードしておきましょう。
7.早期経営改善計画にかかる費用の支払い額の決定
経営改善計画にかかる費用の支払い申請書が中小企業活性化協議会に提出されると、補助額が決定されます。
中小企業活性化協議会は、事業者から提出された書類と、金融機関の確認を受けた経営改善計画書をもとに審査が行われます。審査後、経営改善計画策定にかかる費用の補助となる支払い額を決定し、決定額の1/2が支出されます。
早期経営改善計画では、計画策定等の費用に対して補助が行われますが、補助金は認定支援機関に直接支払われます。
事業者は、計画策定費の総額から、補助金額を差し引いた自己負担分のみを支払ます。
8.モニタリング報告と支払い申請書の提出
支払い申請書と経営改善計画が提出された後、期中のモニタリング(伴走支援)がはじまります。経営改善計画の実施期間中でも計画通りの進捗になっていない場合は、数値計画の達成に向けてアクションプランの変更などを行います。
計画策定後、当期もしくは翌期の決算時に、数値計画やアクションプランの振り返りや課題の再設定等をモニタリング(伴走支援)として実施します。実施後、モニタリング(伴走支援)に係る報告書、レポートを作成し、メインバンクや中小企業活性化協議会へ共有します。
また、報告書とあわせて、モニタリングにかかる費用の支払い申請書も提出します。経営改善計画策定時よりも提出書類が多いため、不備がないようによく確認してから提出しましょう。
【提出書類】
記入書類 | 添付書類 |
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参考:「経営改善計画策定支援事業に関する手引き(P7)」|中小企業庁公式サイト
9.モニタリングにかかる経費の支払い申請書の提出
中小企業活性化協議会は、モニタリング報告書とモニタリングにかかる費用の支払い申請書を受け取った後、内容を確認し、支払い額を決定します。この時、経営改善計画の策定にかかる費用の支払い額1/2とともに、事業者へ支出されます。
支払い申請は、モニタリングの対象期間最終日から6か月経った日までが期限です。期限までに支払い申請が提出できない明確な理由がある場合は、期限を延長することができますが、提出を忘れただけの場合は、モニタリングにかかる費用が補助されない可能性があるため注意しましょう。
まとめ
早期経営改善計画とは、企業の収益力改善を支援する制度です。専門家の支援を受けながら、現状の課題抽出や経営改善のためのアクションプランなどを作成できます。ただし、早期経営改善計画にかかる一部の費用は、事業者が自己負担する必要があります。
低コストで経営改善に取り組みたい人は、早期経営改善計画の活用を検討してみましょう。
また、経営課題が見えてないという人や、1人での経営が不安という人も専門家の支援を受けて計画策定に取り組むことができるため、相談してみましょう。
ただし、費用面の補助を受けるには条件があるため、必ず中小企業庁の公式サイトにある「経営改善計画策定支援事業に関する手引き」を確認してください。
また、当サイトを運営するソラボでは、認定支援機関として、早期経営改善計画に関するサポートを行っています。
早期経営改善計画をご検討の方はご相談ください。
株式会社SoLabo公式サイト「お問い合わせ」フォーム
※経営改善サポートを選択して必要事項をご入力ください