早期経営改善計画で用意すべき書類と申請方法について解説

カテゴリー 経営改善

事業を経営していくうえで資金は重要です。中には金融機関から融資を検討している経営者もいるでしょう。

資金繰りが悪化しているため、金融機関から融資を受けたいが、自社の状況を把握できていないケースもあります。

早期経営改善計画は経営を改善して金融機関からの融資を受けやすい状態を整えることができる制度です。

この記事では、早期経営改善計画を利用するときに用意すべき書類と申請方法について解説します。

早期経営改善計画を申請する流れ

早期経営改善計画を申請するときは、全体のスケジュール感を理解しておきましょう。全体のスケジュールを把握しておくと、書類や支払うお金を用意しておくべきタイミングがわかりやすくなるからです。

早期経営改善計画を利用(申請)するまでの流れは次の通りです。

  1. 金融機関に相談する
  2. 認定支援機関を探す
  3. 認定支援機関と利用申請書を作成し、経営改善支援センターに提出する
  4. 認定支援機関とともに早期経営改善計画を作成する
  5. 金融機関に早期経営改善計画を提出する
  6. 認定支援機関と支払申請書を作成し、経営改善支援センターに提出する
  7. 認定支援機関に経営者が1/3の費用を支払う
  8. 経営改善支援センターから認定支援機関に2/3の費用が支払われる
  9. 経営者は経営改善計画を実施する

  10. 認定支援機関から1年後にモニタリングが実施される(モニタリングを受けるとき)

経営者が認定支援機関とともに作成すべき書類は大きく分けて「利用申請に必要な書類」「支払申請に必要な書類」「モニタリングに必要な書類」の3つです

書類を一緒に作成する認定支援機関は中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」で調べることができます。相談したい認定支援機関を探してみてください。

早期経営改善計画の利用申請で用意すべき書類

早期経営改善計画を利用するときは、まず利用申請に必要な書類を用意しなければいけません。早期経営改善計画を利用するときは、「利用申請」「支払申請」「モニタリングを受けるとき」で提出するべき書類があり、それぞれの段階で書類の作成が求められるからです。

早期経営改善計画の利用申請時に用意すべき書類は次の5つです。

  • 事前相談書
  • 経営改善支援センター事業(早期経営改善計画策定支援事業)利用申請書
  • 履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)
  • 認定支援機関の認定通知
  • 認定支援機関への見積書や単価表

上記の書類はすべて中小企業庁の「早期経営改善計画策定支援事業(通称 ポストコロナ持続的発展計画事業)」の申請書類等の中からダウンロードすることができます。

事前相談書

早期経営改善計画を利用するためには、まず初めに金融機関に対して「早期経営改善計画を利用したい」という旨を相談しなければいけません。早期経営改善計画の利用申請をする際に、金融機関に相談することで手に入れることができる「事前相談書」が必要だからです。

事前相談書はあくまで「金融機関に相談した」という事実を証明するための書類です。相談する金融機関は、過去に融資などを受けていてすでに付き合いのある地方銀行などで問題ありません。

ただし、金融機関によっては事前相談書が用意されていないケースもあります。事前相談書はA4用紙であれば、自由な書式で作成することができます。相談する前は、事前に相談書のフォーマットを作成して持参しておくといいでしょう。

経営改善支援センター事業(早期経営改善計画策定支援事業)利用申請書

経営改善支援センター事業(早期経営改善計画策定支援事業)利用申請書は、「申請書本体」「申請者の概要」「業務別見積明細書」で構成されている書類です

それぞれの書類に記入するべき項目を簡単にまとめると次の通りです。

【利用申請書類に記載すべきこと】

申請書本体
経営者だけでなく、認定支援機関と共同で作成していく必要がある書類です。経営者と認定支援機関の双方の情報を記入します。

  • 経営者(申請者):「氏名」「業種」「住所」など
  • 認定支援機関:「認定支援機関名」「統括責任者の氏名」「認定支援機関が実施する業務内容や実施期間」など
  • 申請者の概要
    大きく分けて次の5つの情報を記載します。概要以外は認定支援機関が記入するのが望ましいとされています。
      

  • 概要:「事業の沿革」「株主構成」など
  • 財務内容:「資産の合計」「負債の合計」など
  • 業績推移:「売上高」「営業利益」など
  • 銀行取引の状況:金融機関名と取引の内容などについて記載します。
  • そのほか:現状の問題点や課題を記載します。
  • 業務別見積書
    早期経営改善計画を利用するにあたり、認定支援機関が経営者を支援するのに必要な業務内容と発生する料金の見積もりです。この見積もりで算出された費用総額の2/3が経営改善支援センターに対して支払申請する額になります。

    「申請書本体」「申請者の概要」「業務別見積明細書」はすべてWordExcelで記入することができます。

    利用申請書類は認定支援機関と二人三脚で作成します。利用申請書を記入するときにわからないことがあれば、勝手に判断するのではなく認定支援機関に相談するのが安全です。

    履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)

    経営改善支援センター事業(早期経営改善計画策定支援事業)利用申請書の添付書類として、履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)が必要です。早期経営改善計画を利用するのに相応しいか、会社の最新の情報が確認されるためです。

    早期経営改善計画では、履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)の原本が必要です。法務局で取得することができ、主な方法としては次の3つがあります。

    • 窓口
    • 郵送
    • オンライン

    履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)は現在の会社の状態が反映されていなければいけません。会社設立時から登記情報が一切更新されていないときは、最新の状態に情報を更新しておきましょう。

    また、個人事業主であれば、開業届や確定申告を提出すればOKです。

    認定支援機関の認定通知

    認定支援機関の認定通知も、早期経営改善計画の利用申請時の添付書類として必要です。早期経営改善計画の作成の支援をしたのが、認定支援機関でなければ経営改善支援センターから支援費用の2/3の額を負担してもらうことができないからです。

    認定支援機関の認定通知は、早期経営改善計画を一緒に計画する専門家が認定支援機関であることを証明する通知書です。そのため、認定支援機関が用意することになります。

    認定支援機関から経営者への見積書や単価表

    認定支援機関から経営者へ対しての見積書や単価表も添付しなければいけません。

    業務別見積明細書は決まったフォーマットに従って記載しますが、添付する見積書や単価表は自由書式です。

    盛り込んでおくべき要素とそれぞれの計算式は次の通りです。

    【計算式】

    費用総額

    A

    申請者領収書金額

    B

    差引税込請求額

    C=A-B

    うち消費税等

    D=C×8108

    税抜金額

    E=C-D

    源泉所得税(10.21%)

    F=E×10.21

    差引振込金額

    G=C-F

    Wordでも作成可能ですが、Excelで作成すれば、関数で計算することができるので修正が発生しても手間が掛かりません。作成するときは、Excelで試してみてください。

    早期経営改善計画の支払申請で用意すべき書類

    早期経営改善計画の手続きを完了するには、認定支援機関と経営改善計画を作成した後に、認定支援機関に支払う費用の2/3の支払申請を経営改善支援センターに行う必要があります。支払申請をしない限り、経営改善支援センターから費用が支払われることはないからです。

    支払申請で用意すべき書類は次の5つです。

    • 受取書
    • 経営改善支援センター事業(早期経営改善計画策定支援)費用支払申請書
    • 外部専門家の請求書類
    • 申請者と外部専門家が締結する早期経営改善計画策定支援に係る契約書
    • 振込受付書や払込取扱票

     支払申請もまた、認定支援機関とともに行わなければいけません。経営者が1人で行ってしまわないように注意しましょう

    受取書

    早期経営改善計画で支払申請をするには、金融機関に早期経営改善計画を提出したことが確認できる書面として受取書が必要です。作成した早期経営改善計画は金融機関に提出し、提出したことを証明しなければいけないからです。

    受取書は自由書式で、基本的には金融機関が用意するため、経営者が用意する必要はありません。

    経営改善支援センター事業(早期経営改善計画策定支援)費用支払申請書

    経営改善支援センター事業(早期経営改善計画策定支援)費用支払申請書は、「支払申請書」「早期経営改善計画書」「業務別請求明細書」「従事時間管理表」の4つで構成される書類です

    主に申請者や認定支援機関の情報を記入することになります。それぞれの書類で記載すべきことは主に次の通りです。

    【支払申請書類に記載すべきこと】

    支払申請書
    利用申請書と同じく、経営者と認定支援機関の情報を記載します。
      

  • 経営者(申請者):「氏名」「業種」「住所」など
  • 認定支援機関:「認定支援機関名」「統括責任者の氏名」「認定支援機関が要した費用」「モニタリング実施予定日」など
  • 早期経営改善計画

    認定支援機関とともに作成した「ビジネスモデル俯瞰図」「資金実績や計画表」「損益計画」「アクションプラン」などを記載します。

    ビジネスモデル俯瞰図は自由書式になりますが、それ以外にはフォーマットが定められています。
    ダウンロードした用紙をもとに、記載していってください。

    従事時間管理表
    主に認定支援機関が作成すべき書類です。
    認定支援機関が早期経営改善計画の策定に当たって、「いつ、なにをやったのか」や策定するまでに要した業務時間、費用等について記載します。
    支払申請で記載する額は、実際にかかった費用で、その費用から2/320万円を上限)の額が支払われます。申請する2/3の額を記載するわけではないので注意しましょう

    外部専門家の請求書類

    認定支援機関が地域の経営改善支援センターに対して作成する書類です

    決まったフォーマットはなく、「業務別請求明細書」に記載した費用総額から申請者領収書金額を引いた額が請求金額を認定支援機関名や住所などとともに記載します。

    作成する上で忘れてはいけないのが、経営改善支援センターに支払費用を振り込んでもらう口座を明記することです。「銀行名と支店名」「預金番号」は必ず記載するようにしてください。

    申請者と外部専門家が締結する早期経営改善計画策定支援に係る契約

    早期経営改善計画で支払申請をするには、申請者と外部専門家が締結する早期経営改善計画策定支援に係る契約書の写しが必要です。

    経営者と認定支援機関の間で早期経営改善計画策定支援に係る契約が交わされていることを証明しなければいけないからです。

    振込受付書や払込取扱票

    振込受付書や払込取扱票も添付書類として必要です。経営者による費用負担額(1/3)の支払を証明しなければいけないからです。

    支払方法は振込しか認められておらず、口座振替やインターネットによる振り込みは認められていないので注意してください。

    モニタリングを受けるときに必要になる書類

    早期経営改善計画では、策定した計画の実施進捗を確認してもらえ、状況に応じて専門家のフォローアップを受けることができます。早期経営改善計画では、策定した早期経営改善計画を経営者が実施した後の効果をモニタリングしてもらえる仕組みがあるからです。

    モニタリングを受けるときは、支払申請終了後に、別途提出しなければいけない書類があります。次の4つです。

    • モニタリング費用支払申請書(早期経営改善計画策定支援)
    • 申請者と外部専門家が締結するモニタリングに係る契約書
    • 外部専門家の請求書類(支援センター宛)

    • 振込受付書や払込取扱票

    モニタリングを受けるために提出する書類は、名称は異なることがありますが原則として支払申請で使用した書類と違いはありません。モニタリングに関する申請書は、認定支援機関が記載すべき項目が大半で、経営支援機関によって経営者が関わるべき範囲が異なるケースがあります。

    モニタリングを受けるときは、事前に認定支援機関に経営者としてするべきことがあるのかどうかを確認しておきましょう。

    必要書類の提出はすべて認定支援機関と連名で行う

    早期経営改善計画で経営改善支援センターに提出する書類は、すべて認定支援機関と連名で提出するように利用条件で定められています

    認定支援機関以外の専門家を利用しても早期経営改善計画は利用できないので注意してください。

    提出する必要書類には認定支援機関が記載すべき項目が多く、作成に当たっては認定支援機関によって書類の作成フローに違いがあるケースがあります。

    書類の提出人も「金融機関に提出するときは経営者、経営改善支援センターに提出するときは認定支援機関」など、分かれていることがあります。

    書類を作成するときは、利用する認定支援機関と綿密に連携を取り、わからないことがあればすぐに相談するようにしましょう。

    この記事を書いたライター

    ソラボ編集部

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