クラウドファクタリングはオンラインで売掛債権の売却を行う方法で、店舗に赴いたり必要書類の郵送を行ったりする必要がないため、ファクタリングの利用にかかる時間や手間を短縮することが期待できます。クラウドファクタリングのメリットとデメリットを押さえておくことで、通常のファクタリングとの比較も行えます。
当記事では、クラウドファクタリングを利用時のメリットとデメリットを交えて解説します。通常のファクタリングとクラウドファクタリングのどちらを利用するか迷っている会社経営者は参考にしてみてください。
クラウドファクタリングとはインターネットを介した売掛債権の売買方法のこと
クラウドファクタリングとは、インターネットを介して売掛債権の売買を行う方法のことです。オンライン上でファクタリング会社への申し込みから契約までを行えるため、通常のファクタリングに比べて手続きの手間を軽減しやすい特徴があります。
通常のファクタリングを利用する際は、申し込みから契約までの間でファクタリング会社へ訪問しての面談や書類の郵送などが必要になる傾向があります。対面や郵送でのやり取りでは、契約を締結して実際に入金されるまでに日数がかかる場合もあります。
一方、クラウドファクタリングでは、申し込みから契約まで、全ての手続きをオンライン上でできます。インターネット環境が整っていればどこからでも申し込むことができ、かつ面談や郵送が必要とされないためファクタリング会社との契約の締結までの時間を短縮できます。
なお、通常のファクタリングとクラウドファクタリングでは、どちらも即日入金であったとしても入金速度に差がある場合があります。通常のファクタリングが1営業日を基準としているのに対し、クラウドファクタリングでは申し込みから30分以内や60分以内など分単位で入金が行われるなど、ファクタリング利用者は即日入金の中でも入金速度には違いがあることを押さえておきましょう。
クラウドファクタリングを利用するメリット
クラウドファクタリングを利用する際のメリットは、通常のファクタリングと比べていくつかあります。クラウドファクタリングの利用に興味を想っている会社経営者は、通常のファクタリングと比べたときのメリットを押さえておきましょう。
【クラウドファクタリングのメリット】
- 資金化までの期間を短縮しやすい
- 手続きにかかる手間を短縮しやすい
これらはあくまで一例ですが、クラウドファクタリングを利用する際のメリットとして挙げられます。クラウドファクタリングの利用に当たっては、通常のファクタリングと比較してのメリットを押さえておくことでどちらを利用するかの判断基準にできるため参考にしてみてください。
資金化までの期間を短縮しやすい
クラウドファクタリングを利用した場合、通常のファクタリングと比べたときのメリットとして挙げられるのは資金化までの期間を短縮しやすいということです。そのため、早期に現金が必要なときの利用に向いています。
通常のファクタリングを利用した場合は、ファクタリング会社に利用の申し込みを行う際は面談を行ったり、必要書類の郵送を行ったりといった手続きが発生します。その後、審査を経て契約が締結されますが、審査にも数日程度かかる傾向があり、申し込み契約締結までに数日から数週間がかかる場合もあります。
クラウドファクタリングを利用した場合は、ファクタリング会社との面談や必要書類の郵送といった手間はかからず、必要書類をオンライン上に添付することで申し込みが完了します。クラウドファクタリングでは審査の過程でAIを導入して審査時間を短縮している場合もあり、申し込みから契約締結まで数十分から数時間で完了する可能性もあります。
ただし、申し込みから実際に入金されるまでの時間は、クラウドファクタリングであったとしてもサービスの提供会社によって異なります。クラウドファクタリングの中には、現金が入金されるまでに通常のファクタリングと同程度の時間がかかる場合もあり得るため、クラウドファクタリングを利用する際はサービス提供会社の入金までの流れを確認して置きましょう。
手続きにかかる手間を短縮しやすい
クラウドファクタリングを利用した場合、通常のファクタリングと比べたときのメリットとして挙げられるのは手続にかかる手間を短縮しやすいということです。そのため、ファクタリングの申し込みに当たってファクタリング会社とのやり取りの回数の削減が行えます。
通常のファクタリングでは、ファクタリング会社と契約を締結するまでに面談を行ったり、必要書類の郵送を行ったりといった手続きが求められる場合があります。利用したいファクタリング会社が遠方にある場合は、実際に現地に赴くことが負担になったり、書面でのやり取りが手間になったりするおそれがあります。
クラウドファクタリングでは、ファクタリングの申し込みから契約の締結に至るまでの一連の手続きをオンライン上で完結できます。通常のファクタリングのように実際に現地への訪問や書面でのやり取りは発生しないため、申し込みから契約の締結までの手間の軽減につなげられます。
なお、クラウドファクタリングでも本人確認書類や売却予定の請求書などの必要書類は、オンライン形式で提出が求められます。必要書類は利用するクラウドファクタリング会社によって異なるため、事前に必要書類を確認しておき申請を円滑に進められるようにしましょう。
クラウドファクタリングを利用するデメリット
クラウドファクタリングを利用する際は、通常のファクタリングと比べていくつかのデメリットもあります。クラウドファクタリングの利用に興味を想っている会社経営者は、通常のファクタリングと比べたときのデメリットも確認しておきましょう。
【クラウドファクタリングのデメリット】
- 資金繰りに関する相談はできない
- 扱えるのは2社間ファクタリングのみ
これらはあくまで一例ですが、クラウドファクタリングを利用する上でのデメリットとして挙げられます。クラウドファクタリングを利用する際は、デメリットを把握したうえで利用を検討するようにしましょう。
資金繰りに関する相談はできない
クラウドファクタリングを利用した場合、通常のファクタリングと比べたときのデメリットとして挙げられるのは資金繰りに関する相談ができないということです。そのため、ファクタリングを利用するか悩んでいて相談をしたいというような場合の利用は向かない可能性があります。
通常のファクタリング会社の中には、ファクタリング会社との面談時に資金繰りに関する相談を受け付けてくれているものがあります。ファクタリング会社の中にはコンサルティング業を同時に行っているところもあり、売掛債権の現金化に限らず資金繰り全般の相談に乗ってもらえる場合があります。
一方、クラウドファクタリングの場合は、ファクタリングの申し込みから現金の入金まで自動化されている傾向にあります。ファクタリング会社と面談するような窓口が設けられていないクラウドファクタリングを利用してしまうと、売掛債権の現金化に関する手続き以外の相談を行うことはできません。
なお、資金繰りに関する相談は、商工会議所や商工会などでも受け付けています。商工会議所や商工会では、弁護士や行政書士などの専門家に無料で資金繰りや経営に関する相談できる窓口が設けられているため、クラウドファクタリングを利用したうえで資金繰りについて相談したい人は参考にしてみてください。
扱えるのは2社間ファクタリングのみ
クラウドファクタリングを利用した場合、通常のファクタリングと比べたときのデメリットとして挙げられるのは2社間ファクタリングのみしか扱えないということです。そのため、3社間ファクタリングを利用したいと考えている会社経営者には、クラウドファクタリングは向いていません。
通常のファクタリングでは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらかを選択します。3社間ファクタリングはファクタリング会社とファクタリング利用会社、売掛先企業の3社間が関わってくる取引で、売掛先企業に対して透明性や信頼性を示したい場合などに利用されることがあります。
3社間ファクタリングを行うために必要な売掛先に債権譲渡の通知をして承諾を得たり、債権譲渡登記を行わないといけなかったりといったことがあります。3社間ファクタリングを行う手続きはオンラインで行うのが難しい場合もあり、クラウドファクタリングでは原則としてファクタリング会社とファクタリング利用会社の2社間ファクタリングが中心となります。
なお、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは、ファクタリング利用会社の責任の範囲も異なります。2社間ファクタリングの方が3社間ファクタリングに比べて、貸し倒れに陥った際にファクタリング利用会社が負う責任の範囲が広くなるため、クラウドファクタリングを利用する際は2社間ファクタリングと3社間ファクタリンの責任の範囲にも注意しましょう。
クラウドファクタリングの利用時はサポート体制を確認する
クラウドファクタリングを利用するときは、サービス提供会社のサポート体制を確認しましょう。クラウドファクタリングは、オンライン上で手続きを完結させられますが、導入後にトラブルが発生した場合に対応できるかどうかが不明瞭な場合があるからです。
クラウドファクタリングでは、申し込みから契約の締結までが一貫してシステム化されている場合があります。なかには、クラウドファクタリングの利用時や契約後に問題が発生した場合に、サポート体制が整っていないクラウドファクタリング会社がある可能性もあります。
サポート体制が整っていないクラウドファクタリングを利用してしまうと、売掛債権の回収や入金に問題が発生した場合に、相談や問題解決に当たっての対応を受けられないおそれがあります。そのため、発生した問題の解決に関するアドバイスや支援が受けられずに経営の負担となってしまう可能性があります。
クラウドファクタリングを利用する際は、電話やメールなどで問い合わせや相談できる窓口が設けられているか確認しましょう。契約時にトラブル発生時の責任分担や解決方法などを確認しておくことも、クラウドファクタリング会社のサポート体制を把握につなげられるので参考にしてみてください。
まとめ
クラウドファクタリングとは、インターネットを介して売掛債権の売買を行う方法のことです。オンライン上でファクタリング会社との契約から入金の確定までを行えるため、通常のファクタリングに比べて手続きの手間を軽減しやすい特徴があります。
クラウドファクタリングには「資金化までの期間を短縮しやすい」「手続きにかかる手間を短縮しやすい」といったメリットがある一方で、「資金繰りに関する相談はできない」「扱えるのは2社間ファクタリングのみ」といったデメリットもあります。メリットとデメリットを押さえておくことで、クラウドファクタリングを利用するかどうかを判断しましょう。
なお、クラウドファクタリングは、オンライン上で手続きを完結させられますが、導入後にトラブルが発生した場合に対応できるかどうかが不明瞭な場合があります。クラウドファクタリングを利用する際は、電話やメールなどで問い合わせや相談できる窓口が設けられているかといったサポート体制も確認しておきましょう。