融資による資金調達のメリットとデメリットを解説

カテゴリー 資金調達

資金調達方法のひとつである融資は、金融機関等からの借入のことです。起業や事業拡大、設備投資などの際にかかる費用を自己資金のみでまかなうことが困難な場合は、資金調達のための手段として融資を利用することを検討する余地があります。

当記事では、資金調達に融資を利用するメリットとデメリットを解説します。さまざまな資金調達方法がある中で、融資の利用を検討している人は当記事を参考にしてみてください。

融資による資金調達のメリット

融資による資金調達にはさまざまなメリットがあります。ほかの資金調達方法と比較した場合の融資のメリットを把握することにより、資金調達方法を検討する際の判断材料となるため、資金調達方法を検討中の人は融資を利用するメリットを確認しておきましょう。

<融資による資金調達のメリット>

  • 短期間での資金調達が可能
  • 事業の経営が制限されにくい
  • 事前に資金を確保できる

資金調達方法として融資を利用するメリットには「短期間での資金調達が可能」「事業の経営が制限されにくい」「事前に資金を確保できる」などが挙げられます。それぞれのメリットから、どのような場合に融資の利用が適しているのかを詳しく確認してみましょう。

短期間での資金調達が可能

融資による資金調達のメリットのひとつとして「短期間での資金調達が可能」という点が挙げられます。手続きから資金を受け取れるまでの期間は資金調達方法によって異なり、融資はほかの資金調達方法と比較して資金を受け取るまでの期間が短い傾向にあります。

利用する融資制度や事業者の状況にもよるため一概にいうことはできませんが、資金を受け取るまでの期間はおおむね1週間〜1か月程度です。資金調達方法によっては、資金を受け取るまでに数か月〜1年程度を要する場合もあるため、融資は比較的短期間で資金を得られる方法であると言えます。

融資は比較的短期間での資金調達が可能であることから、突発的な資金が必要になった場合にも対応でき得る資金調達方法のひとつです。できる限り早期にまとまった金額を用意したい場合には、融資の利用を検討してみてください。

事業の経営が制限されにくい

融資による資金調達のメリットのひとつとして「事業の経営が制限されにくい」という点が挙げられます。融資は金融機関等が事業者へ資金を貸し出す制度ですが、契約内容に特別な条項がない限り、原則として資金提供元の金融機関等が事業者の経営に介入することはできないためです。

たとえば、株式投資により投資家からの資金提供を受ける場合、投資家は事業の株主として経営へ参画する権利が与えられます。投資家が自社よりも多くの株式を保有していれば、経営の方針を決定する経営権は、実質その投資家が握ることとなります。

一方、融資により金融機関等から資金を借入する場合、金融機関等と事業者は債権者と債務者の関係となります。金融機関等は事業者から資金を回収する権利があるものの、事業者の経営に介入することは原則として認められていません。

資金調達方法によっては資金の提供元が事業者の経営に影響を及ぼす場合がありますが、融資であれば金融機関等の資金提供元が経営に直接介入することはありません。外部からの影響を受けずに自由な経営を行いたいと考えている人は、融資の利用を検討してみてください。

事前に資金を確保できる

融資による資金調達のメリットのひとつとして「事前に資金を確保できる」という点が挙げられます。資金調達方法によっては一度自己資金による立替が必要となる場合がありますが、融資であれば経費の支払い前に資金を手元に用意できるため、受け取った資金を直接経費の支払いに充てることが可能です。

たとえば、補助金の場合、資金は原則として後払いです。自己資金により規定の取り組みを実施し、その取り組みが適切であると認められた後で入金される制度であるため、審査に不合格となれば経費に充てた自己資金を回収できないリスクがあります。

一方、融資の場合、事前に資金を確保できるため計画的な資金運用が可能です。申込時の審査に通ることにより指定の口座に資金が入金されるため、経費の支払いの際に受け取った資金を利用でき、資金回収のリスクを伴うことなく安定した資金繰りにつながります。

後払いの資金調達方法では、資金の受給が確定するのが自己資金による支払いを終えた後であり、審査に不合格となれば資金が支給されない可能性もあります。融資であれば事前に資金を確保したうえで事業に取り組めるため、経費の支払い後に資金を受け取ることができず資金繰りが悪化するリスクを抑えることができます。

融資による資金調達のデメリット

融資による資金調達にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。資金調達方法として融資を利用したいと考えている人は、デメリットも把握したうえで融資の利用を検討してみてください。

<融資による資金調達のデメリット>

  • 返済の義務がある
  • 利息が発生する
  • 審査に通過する必要がある

資金調達方法として融資を利用するデメリットには「返済の義務があること」「利息が発生すること」「審査に通過する必要があること」などが挙げられます。それぞれのデメリットをもとに、融資の利用において注意すべきことやデメリットへの対処法を確認してみましょう。

返済の義務がある

融資による資金調達のデメリットのひとつとして「返済の義務がある」という点が挙げられます。融資によって調達した資金は給付金や投資などの「もらえるお金」とは異なり、借金と同様「借りているお金」として扱われるため、いずれ全額を返済する必要があることを前提として覚えておきましょう。

補助金やクラウドファンディングによって得た資金は、原則として返済する義務はありません。規定の取り組みを実施することや、支援者へのお礼として商品やサービスを提供することは求められますが、資金の返済を求められることはありません。

しかし、融資によって得た資金は、全額を返済する義務があります。融資の契約時に設定する借入金額や月々の返済金額に基づき、数年〜数十年に渡って返済を行っていくこととなります。

なお、返済計画に沿って滞りなく返済ができれば、金融機関からの信用力の向上につながります。信用力が向上することにより、将来追加融資を受けたいときにも借入がしやすくなる可能性があるため、融資を利用する場合は無理なく返済ができる借入金額を設定しましょう。

利息が発生する

融資による資金調達のデメリットのひとつとして「利息が発生する」という点が挙げられます。融資による資金調達を利用した場合、借入した金額の全額に加えて、融資に設定されている金利に応じた利息を支払う必要があることを前提として覚えておきましょう。

利息の金額は「元金×金利÷365日×借入日数」の計算式で求めることができます。たとえば、金利が年率1%の融資を利用して100万円を1か月間(30日)借入する場合、返済にかかる利息は「100万円×1%÷365日×30日」の計算式によって求められ、約822円が利息として月々の返済に加算されます。

融資の返済期間が長いほど金利は高く設定される傾向にあります。返済期間を長くすることにより月々の負担は少なくなりますが、利息の支払総額は高くなることに留意し、財務状況や将来の事業プランを考慮した返済計画を立てましょう。

なお、融資の利息については「銀行から融資を受けるときの金利相場と利息の計算方法について解説」の記事で詳しく解説しています。金利の相場や利息の計算方法など詳しく解説しているため、融資を受ける際の利息について詳しく知りたい人は参考にしてみてください。

審査に通過する必要がある

融資による資金調達のデメリットのひとつとして「審査に通過する必要がある」という点が挙げられます。融資には審査があり、その審査に通過できなければ資金提供を受けることができないことを前提として覚えておきましょう。

融資を利用する際には「決算書」「納税証明書」「事業計画書」など、複数の書類をもとに審査が行われます。書類審査に加えて融資担当者との面談も実施され、事業者の返済能力や事業の将来性などを総合的に評価されたうえで融資の可否が決まる傾向にあります。

また、ローンやクレジットの利用など、過去の取引に基づく事業者の信用情報も審査の対象です。過去に返済の遅延や債務整理を行ったことがある場合、信用情報機関に事故情報として登録され(ブラックリスト)、融資の審査に落ちる原因となります。

なお、債務の履行を保証するために差し出される土地や建物などの資産である「担保」を用意することにより、融資の審査に通りやすくなる可能性があります。審査に不安がある人は、融資の申請時に担保を用意することも検討してみてください。

事業の資金調達に利用できる融資の種類

事業の資金調達に利用できる融資は「民間融資」と「公的融資」の2種類に大別できます。民間融資と公的融資にはどのような違いがあるのか、金利や審査難易度などの項目を比較してそれぞれの特徴を確認してみましょう。

<民間融資と公的融資の違い>

項目

民間融資

公的融資

概要

民間の金融機関による融資

国や自治体による融資

金利

高い

低い

審査

主に事業実績が評価される

主に事業の将来性が評価される

実施機関

  • 銀行
  • 信用金庫 等
  • 日本政策金融公庫
  • 地方自治体 等

金利の相場や審査の難易度は、利用する制度や事業者の状況によって変わるため一概にいうことはできませんが、民間融資よりも公的融資のほうが金利が低く、事業実績が少ない事業者でも利用しやすい傾向にあります。民間融資と公的融資にはそれぞれどのような特徴があるのか詳しく確認してみましょう。

民間融資

民間融資は、民間の金融機関による融資のことです。民間融資を提供している機関には「銀行」や「信用金庫」が挙げられ、公的融資に比べて金利が高く融資を受けるための条件が厳しい傾向にありますが、さまざまな金融機関が利用者のニーズに合わせた融資サービスを提供しています。

銀行の融資は、主に中堅企業や大企業を対象としています。中小企業や個人事業主は審査に通過することが難しいとされる一方で、融資の限度額が公的融資や信用金庫の融資よりも高く設定されている傾向にあるため、審査を通過できれば多額の融資を受けられる可能性があります。

信用金庫の融資は、中小企業や個人事業主も利用しやすい傾向にあります。信用金庫は地域の住民や事業者から成る会員の相互扶助を目的とした金融機関であり、条件を満たしていれば会員以外でも信用金庫による融資の利用が可能です。

民間融資は審査において事業実績を評価される傾向にあり起業前や起業後間もない事業者には利用が難しい可能性があります。しかし、自社の希望に合った制度を利用するための幅広い選択肢があるため、民間融資を利用したい人は取引のある金融機関へ相談してみましょう。

なお、消費者金融やカードローンなどによる借入も民間融資に該当します。個人向けや法人向けにかかわらず、公的機関以外からお金を借りる制度は幅広く民間融資に含まれることを予備知識として覚えておきましょう。

公的融資

公的融資は、日本政策金融公庫や地方自治体など、公的な機関による融資のことです。中小企業を中心とする事業者の成長や発展を積極的に支援しており、まだ事業実績のない起業前や起業直後など、民間融資の利用が難しい場合でも公的融資を利用できる可能性があります。

日本政策金融公庫の融資は、民間の金融機関の取り組みを補完し、事業に取り組む人を支援することを目的としています。日本政策金融公庫は国が100%出資する金融機関であり、民間の銀行融資よりも金利が低く、返済期間も長く設定できる傾向にあります。

地方自治体の融資は、主に地方自治体、金融機関、信用保証協会の3者が連携して行う「制度融資」を指します。融資あっせん制度とも呼ばれ、制度融資は中小企業が融資を受ける際に発生する利息や保証料などの一部を地方自治体によって支援してもらえるため、融資利用の負担を軽減できます。

公的融資は審査において事業の将来性を評価される傾向にあり起業前や起業後間もない事業者でも利用できる可能性があります。民間融資の利用が難しいと考えている事業者は、日本政策金融公庫や地方自治体の窓口へ相談してみましょう。

融資以外の資金調達方法も確認してみる

資金調達をしたいと考えている人は、融資以外の資金調達方法も検討する余地があります。融資の利用が困難な人も、ほかの方法により資金調達が可能となる場合もあるため、返済や審査に不安がある人は融資以外の資金調達方法も確認してみましょう。

<融資以外の資金調達方法>

方法

概要

補助金/助成金

制度の目的に沿った事業の取組に対して費用の一部が支援される。原則後払いのため、経費の購入時には自己資金が必要となる

クラウドファンディング

プロジェクトに対して不特定多数の人から資金提供を募る。支援者には商品やサービスなど「リターン」を提供する場合がある

株式発行

会社が株式を投資家へ売却することにより資金を調達する。投資家には株主として経営に参画する権利が与えられえる

ファクタリング

売掛債権を売却することにより支払い期日より前に現金を得る。迅速な資金調達が可能だがファクタリング会社への手数料が発生する

融資以外の資金調達方法として「補助金/助成金」「クラウドファンディング」「株式発行」「ファクタリング」などが挙げられます。これらの資金調達方法は融資の利用が困難である場合に限らず、融資とあわせて利用することが可能な場合もあります。

事業者が資金調達に利用できる制度は、融資だけではありません。それぞれにメリットとデメリットがあるほか、事業者の状況によって利用の可否も異なるため、さまざまな資金調達方法を比較したうえで自社に合った資金調達方法を選択しましょう。

まとめ

融資とは資金調達方法のひとつであり、金融機関等からの借入のことです。事業者が利用できる資金調達方法にはさまざまな種類があるため、ほかの資金調達方法と比較した場合における融資のメリットとデメリットを把握することにより、利用する資金調達方法を検討する際の判断材料となります。

融資による資金調達のメリットには「短期間での資金調達が可能」「事業の経営が制限されにくい」「事前に資金を確保できる」などが挙げられます。すぐにまとまった資金が必要な人や、第三者の介入を受けずに経営を行いたい人、自己資金の回収に不安がある人は融資の利用が向いています。

一方、融資による資金調達のデメリットには「返済の義務がある」「利息が発生する」「審査に通過する必要がある」などが挙げられます。融資として借入した資金は全額の返済に加えて利息分の支払いが上乗せされるほか、審査に通過できなければ資金を受け取ることができません。

融資の返済や審査に不安がある人は、融資以外の方法を利用することも選択肢のひとつです。事業者が利用できる資金調達方法には、融資のほかにも「補助金/助成金」「クラウドファンディング」「株式発行」「ファクタリング」などがあるため、それぞれの方法を比較して自社に合うものを選びましょう。

この記事を書いたライター

ソラボ編集部

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8,000件の資金調達実績を持つSolaboの専門家が、融資や補助金など、事業課題に合わせた資金調達方法を提案します。

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