資金調達におけるリスクと対処法を解説

カテゴリー 資金調達

会社経営では、さまざまな支出が発生するため運転資金が必要であり、自己資金で賄うことが難しい場合は、外部からの資金調達を検討する必要があります。ただし、資金調達にはリスクが伴うため、対策を考えなければなりません。

当記事では、資金調達におけるリスクと対処法を解説します。資金調達を検討する際にリスクについて不安がある人は参考にしてみてください。

資金調達にはさまざまなリスクを伴う場合がある

資金調達にはいくつかのリスクが伴います。リスクを抑えて適切に資金調達を行うことで、必要な資金を得やすくなるため、資金調達を検討中の人はリスクを把握し対策を立てましょう。

<資金調達に伴うリスクと対処法>

リスク

対処法

関連する資金調達方法

経営の負担が増えるリスク

  • 返済計画を立てる
  • 返済不要の資金調達を検討する 等
  • 融資
  • 補助金/助成金 など

想定した資金を調達できないリスク

  • 適切なタイミングを把握する
  • 用途や金額の制限がない資金調達を検討する 等
  • 補助金/助成金
  • 資産の売却 など

経営の自由度が低下するリスク

  • 持株比率を調整する
  • 投資契約書を確認する 等
  • 新株発行 など

企業の信用度が低下するリスク

  • 返済期限を確認する
  • 既存株主に説明する 等
  • 融資
  • 新株発行 など

たとえば、補助金を活用した場合、不正受給を行うと補助金の返還や罰金が課せられるリスクがあります。事前許可なく事業計画の変更を行うことや虚偽申告などは不正行為と判断されるため、意図せず不正行為を行わないためにも申請する制度の規則を確認しましょう。

また、クラウドファンディングを実施した場合、目標金額を達成できなければ支援金を受け取れないリスクがあります。支援金額が目標金額に達していなければプロジェクトが失敗となる場合もあるため、利用するプラットフォームの選択や目標金額の設定は慎重に行う必要があります。

資金調達を活用した場合、経営や返済、資金調達額などに関するさまざまなリスクが伴う可能性があります。資金調達に伴うリスクの詳細を確認した上で、どのように資金調達を行うかを検討しましょう。

経営の負担が増えるリスク

資金調達において考えられるリスクとして「経営の負担が増えること」が挙げられます。経営の負担が増えることで、事業に影響を及ぼすほか資金繰りが悪化する可能性があります。

経営の負担が増えるリスクがある資金調達方法には、融資や補助金が挙げられます。融資や補助金は自己資金の用意や返済の義務がある資金調達方法であるため、経営の負担が増える恐れがあります。

たとえば、金融機関から融資を受ける場合、決められた期間内に元本を返済することに加え、利息を支払わなければなりません。返済期間を長く設定すると、1回あたりの返済額を抑えられる一方で利息を支払う期間も長くなるため、最終的なコストが高くなる点に留意する必要があります。

また、後払い制の補助金を利用する場合、資金を受け取れるのは事業の実施後となります。事業の実施にかかる経費は事業者が自己資金によって全額を立て替える必要があり、事業の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

資金調達を実施することによって、資金の返済や自己資金の準備など経営の負担が増えてしまう可能性があります。経営の負担が増えることに不安がある人は、リスクへの対処法を確認したうえで資金調達方法の利用を検討しましょう。

経営の負担が増えるリスクへの対処法

経営の負担が増えるリスクに不安がある人は、リスクへの対処法を把握しておきましょう。対処法を把握し対策を立てることで、経営の負担を軽減できる可能性があります。

<経営の負担が増えるリスクへの対処法>

  • 返済計画を立てる
  • 返済不要の資金調達を検討する 等

経営の負担が増えるリスクへの対処法のひとつとして「事前に返済計画を立てること」が挙げられます。毎月返済できる金額や完済予定日の把握がしやすく、返済が経営を圧迫しないかどうかを確認することができます。

そして、経営の負担が増えるリスクへの対処法のひとつとして「返済不要の資金調達を検討すること」が挙げられます。資産の売却や新株発行などの返済不要の資金調達方法を利用すれば、負債を増やすことなく資金調達ができます。

経営の負担が増えるリスクへの対処法には、無理のない範囲で安定的に返済できるか確認することや返済不要の資金調達を検討することなどがあります。対策を立てることにより、経営の負担を抑えながら資金調達が行えるため、資金調達方法を活用する場合は事前に対処法を把握しておきましょう。

想定した資金を調達できないリスク

資金調達において考えられるリスクとして「想定した資金を調達できないこと」が挙げられます。求める資金の金額まで調達できていない場合、計画していた事業の実施が円滑に進まない可能性があります。

想定した資金を調達できないリスクがある資金調達方法には、補助金や固定資産の売却があります。補助金や固定資産の売却は、事業にかかる経費全額を受け取れないことや、固定資産の価値が下がり想定した資金を調達できない恐れがあります。

たとえば、補助金を活用した場合、制度ごとに受け取れる金額や対象となる経費は決まっています。補助金は制度の目的に沿った事業に対して経費の一部を支援する制度のため、対象経費の項目に該当しない経費は申請できないほか、事業実施にかかる経費の全額を受け取れるとは限りません。

また、固定資産の売却をした場合、固定資産の価値が低下していると想定した金額より調達できる金額が少なくなる可能性があります。不動産などの固定資産はさまざまな要因によって価値が変動する場合があり、調達できる金額は売却時の資産価値が反映されます。

資産調達方法によっては、想定していた金額より実際に受け取れる金額が少なく、希望の金額を調達できない場合があります。希望する金額を調達できないリスクに不安がある人は、リスクへの対処法を確認しておきましょう。

想定した資金を調達できないリスクへの対処法

想定した資金を調達できないリスクに不安がある人は、リスクへの対処法も把握しておきましょう。対処法を確認することにより、想定した金額を受け取れるまたは希望に近い金額を調達できる可能性があるからです。

<想定した資金を調達できないリスクへの対処法>

  • 適切なタイミングを見極める
  • 用途や金額の制限がない資金調達を検討する 等

リスクへの対処法のひとつとして「適切なタイミングを見極めること」が挙げられます。たとえば、固定資産の売却の場合、現在保有している資産の価値を試算し、市場動向や価値変動を考慮した適切な評価をして資産の売却ができる最適なタイミングを見極めることが重要です。

また、リスクへの対処法のひとつとして「用途や金額の制限がない資金調達を検討すること」が挙げられます。たとえば、不特定多数の人々が起案したプロジェクトに対して資金を支援するクラウドファンディングであれば、事業者自身がプロジェクトを立ち上げるため上限なく目標金額を設定できます。

想定した資金を調達できないリスクへの対処法には、適切なタイミングで資金調達を行うことや用途や金額の制限がない資金調達を検討することなどがあります。想定した資金を調達できなかった場合は資金不足となり、計画通りに事業を進められない恐れがあるため、リスクがある場合には事前に対処法を検討しておきましょう。

経営の自由度が低下するリスク

資金調達において考えられるリスクとして「経営の自由度が低下すること」が挙げられます。経営の自由度が低下することで、事業者の判断で経営することが困難になる可能性があります。

経営の自由度が低下するリスクがある資金調達方法には新株発行があります。新株発行による資金調達は、議決権の保有数や投資契約の内容によって経営の自由度が低下する恐れがあります。

たとえば、新たな株を発行した場合、株主総会で投票を行うことができる権利である「議決権」の影響力が変わります。会社の重要事項を決定する「株主総会」は多数決により決まるため、事業者や既存株主の持株比率に応じて議決権の保有数が変わることにより、事業者の意見が通らなくなる可能性があります。

また、投資契約によって会社の経営に影響を及ぼす場合があります。投資契約書は、投資家の利益を重視して作成される場合があり、他の投資家からの追加投資を受けられないなどの企業側が不利益になる契約内容になる可能性があります。

投資家側に過半数を超える議決権を渡してしまうと、経営権を失う可能性があります。経営権を失うと、事業者の発言力などが弱まり事業者の判断で経営することが難しくなるため、新株発行を行う場合は持株比率を事前に確認しておきましょう。

経営の自由度が低下するリスクへの対処法

経営の自由度が低下するリスクに不安がある人は、リスクへの対処法を確認しましょう。リスクへの対策を立てることにより、事業者の発言力などが弱まることなく経営を行うことができるからです。

<経営の自由度が低下するリスクへの対処法>

  • 持株比率を調整する
  • 投資契約書を確認する 等

リスクへの対処法のひとつとして「持株比率を調整すること」が挙げられます。持株比率によって株主が行使できる権利が変わり、企業側の持株比率が低いと株主総会の際の発言力が下がるため、新たな株を発行する前に持株比率が維持できることを確認し、発行数を調整する必要があります。

また、リスクへの対処法のひとつとして「投資契約書を確認すること」が挙げられます。投資契約書は投資家側に有利な条件が記載されている場合があるため、投資契約書に精通した専門家に確認を依頼するなど、不利益な内容で契約してしまわないよう慎重に内容を把握することが重要です。

資金調達による経営の自由度の低下を防ぐためには、持株比率を維持することや投資契約を慎重に行うことが重要です。持株比率の低下により経営における意思決定に影響を及ぼす可能性や、投資契約により制約が設けられ会社の経営に影響を与える場合があるため、対策を立ててから資金調達を行いましょう。

企業の信用度が低下するリスク

資金調達において考えられるリスクとして「企業の信用度が低下すること」が挙げられます。企業の信用度が低下すると、取引先の開拓が難しくなるほか事業拡大を妨げる原因となる可能性があります。

企業の信用度が低下するリスクがある資金調達方法には、金融機関からの借入や新株発行があります。金融機関からの借入や新株発行は信用情報がブラックとなる可能性や株式の希薄化が発生する可能性があるため、企業の信用度が低下する恐れがあります。

たとえば、金融機関から借入をして2〜3ヶ月以上返済の滞納をした場合、信用情報に傷がつき「ブラックリスト状態」となる場合があります。信用情報機関の信用情報に事故情報が登録されるため、信用情報が照会された場合は返済能力がないと判断される場合があります。

また、新たな株式を発行した場合、発行済み株数が増えることにより、1株あたりの価値が低下する「株式の希薄化」が発生します。第三者が新株を受け取るため既存株主の持株比率が減少し、株の価値が下がることから既存株主からの企業に対する信用度が低下する可能性があります。

返済の滞納や株式の希薄化によって、企業の信用度が低下する場合があります。企業の信用度が低下してしまうと、今後事業拡大などで資金調達が必要となった際に金融機関などの審査に影響する可能性があるため、外部からの資金調達ができなくなる恐れがあります。

企業の信用度が低下するリスクへの対処法

企業の信用度が低下するリスクに不安がある人は、リスクへの対策を立てましょう。リスクを抑えて企業の信用度の低下を防ぐことにより、取引先の開拓や経営が行いやすくなる可能性があります。

<企業の信用度が低下するリスクへの対処法>

  • 返済期限を確認する
  • 既存株主に資金調達の目的や事業計画を説明する 等

リスクへの対処法のひとつとして「返済期限を確認すること」が挙げられます。金融機関から借入をする場合、返済計画を立てることや返済シミュレーションなどを行い返済期限を事前に把握することで、返済遅延を防ぐことができます。

また、リスクへの対処法のひとつとして「既存株主に資金調達の目的や事業計画を説明すること」が挙げられます。新たな株式を発行した場合、株主に対して資金調達の目的や事業計画、今後の事業成長などに関する情報開示を行い、理解を得ることが重要です。

資金調達による企業の信用度の低下を防ぐためには、会社の信用情報に傷がつかないようにすることや、既存株主からの信頼を損なわないよう配慮することが大切です。資金繰りの悪化により経営に影響を及ぼす可能性や、株を手放す人が増えることにより株価が下落する可能性があるため、対策を立ててから資金調達を行いましょう。

資金調達のリスクに不安がある人は専門家に相談してみる

資金調達のリスクを把握して不安がある人は、専門家に相談してみましょう。専門家に相談することで、リスクを抑えて資金調達が行えるほか法律に関する相談や提出書類の確認などを依頼することができます。

<資金調達の相談ができる専門家>

専門家

依頼できること

弁護士

  • 法律に関する相談や投資契約のサポート 等

税理士

  • 企業の財務状況を踏まえた返済計画書や決算書作成のアドバイス 等

商工会議所・商工会

  • 経営戦略の立案に関する相談
  • 経営指導の実施と特定の融資への推薦 等

よろず支援拠点

  • 利用者の相談内容に応じた適切な支援機関の紹介
  • 経営改善支援に関する相談 等

日本政策金融公庫

  • 利用者に合った融資制度の提案
  • 創業計画書へのアドバイス 等

金融コンサルタント

  • 利用者に合った資金調達方法の提案
  • 資金調達の交渉サポート 等

信用保証協会

  • 融資における保証制度の提案
  • 資金繰りに関するアドバイス 等

たとえば、弁護士に相談する場合、法律の専門家であるため法律にかかわる相談内容への適切なアドバイスを受けることができます。新株発行の際の投資契約書の確認などができ、企業にとって不利な投資契約を防げることから、経営の自由度が低下するリスクを抑えられます。

また、税理士に相談する場合、税金の専門家であるため資金繰りのアドバイスなどを受けることができます。金融機関からの借入の際には税理士に相談しながら返済計画を立てることができ、無理のない範囲での借入額を決められることから、経営の負担が増えるリスクを抑えられます。

なお、これらの中でも、中小企業支援に関する一定の専門知識を持っていると国の認定を受けた事業者は「認定支援機関」と呼ばれています。専門家の視点から経営に関するさまざまなアドバイスを受けられるため、相談先を迷う場合は認定支援機関に相談することも検討しましょう。

まとめ

資金調達には、さまざまなリスクを伴う場合があります。経営の負担が増えることや経営の自由度が低下することなど、資金調達の方法によって起こり得るリスクの種類は異なります。

資金調達に伴うリスクの対策を立てなければ、事業に影響を及ぼす可能性や事業の実施が円滑に進まない可能性があります。資金調達を行う場合は対処法を確認して、リスクに対する対策を講じることが重要です。

資金調達のリスクに不安がある人は専門家に相談することも検討してみましょう。リスクを最小限に抑えられ資金調達を行うことができ、資金調達以外にも資金繰りに関する相談や経営課題の相談を受けることができます。

この記事を書いたライター

ソラボ編集部

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8,000件の資金調達実績を持つSolaboの専門家が、融資や補助金など、事業課題に合わせた資金調達方法を提案します。

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