ビジネスにおけるの多くの問題はコミュニケーションの問題です。
- なんで、しっかり伝えたのに出来ていないんだ
- なぜ、私の言ってる事を理解しないんだ
- あの人はそもそも考え方がおかしい
誰もが、ビジネスの仲間や上司・部下に対してそのように感じた事があるのではないでしょうか。
優れた起業家は「コミュニケーションを上手に取る」ことでかなり多くのビジネスの問題が解決されることを知っており、どのようにすれば上手にコミュニケーションが取れるかを日々考えています。
本日は、問題が起こりにくくするためのコミュニケーションのポイントをお伝えします。ぜひ参考にしてください。
コミュニケーションの問題は「明確でない」から起こる
コミュニケーションの問題はなぜ起こるのでしょうか?その答えは「誤解」もしくは「不足」にあります。あなたの言葉を相手が違う認識を持っている場合は「誤解」です。また、あなたの言葉が足りずに理解が同じレベルに達しない場合は「不足」です。例えば、以下のような状態は「誤解」もしくは、「不足」と言えるかもしれません。
- あなたの伝えたことを相手が同じレベルで理解できていない
- あなたの意図を理解していない
- なぜ、あなたがそう言ったのかの根拠を理解していない
こうした誤解や不足は、コミュニケーションの明確さを上げる事である程度解消できます。では、どのように明確さを上げればよいのでしょうか。それは、具体的に伝えるスキルを身につけることです。
最も重要なコミュニケーションスキルは「具体的」に伝えるスキル
ビジネスにおいて最も重要な事は「いかに短時間で必要な具体」を伝えられるかということです。なぜなら、ビジネスでは短時間で密度の濃いやり取りが要求されるからです。短い時間で「誤解」や「不足」を解消しなければならないのです。ビジネスは時間との戦いですし、細かい事全てを手取り足取り教えたりしている時間は無いですし、伝わらなければ意味がありません。
具体的に見ていきましょう。
例えば、「見積書を出しておいて」と部下に指示をしたとします。しかし、部下が見積書を出したことが無い場合、見積書において何が重要なのかを知りません。
- 見積書の主な目的は何なのか
- 見積書の注意する点は何なのか
- 重大なトラブルに繋がるようなミスにはどういったものがあるのか
そのため、「見積書を出しておいて」とだけ伝えてもあなたの満足のいく仕事が返ってくる可能性はとても低くなります。より具体的な事を伝えなければなりません。
- 【具体1】見積書は金額の意思決定をしてもらうために出すから今日中には出さなければならないからね
- 【具体2】それから、見積書の項目が違っていると入金をもらえない可能性が出てくるから、過去の見積書を参考に、項目は注意してAさんに確認してね。
- 【具体3】金額が間違っていたり、宛名が間違っていると信頼を失うから、それだけは無いようにしてね。
ここまで、具体的に伝えられると最低限の基準はクリアした仕事が返ってくるようになるでしょう。
あくまで一つの事例ですが、とても重要な事です。そもそも、あなたに具体を伝える力が無くては伝えられません。数多くの具体を持ち、その中で最も重要な具体を上から3つ伝えられるようになることが必要です。
具体とは何か|具体と抽象の違い
具体とは一体どういう事なのでしょうか。それは、抽象との比較によって理解できます。
【具体と抽象の違い】
- 抽象的な言葉は文字の量は少なくなります。そして、指し示す範囲は広くなります。
- 具体的な言葉は文字の量は多くなります。そして、指し示す範囲は狭くなります。
例えば、「夏」という言葉と「夏の午後14時の暑さ」という言葉は具体と抽象の関係です。「夏」と言うと夏の海をイメージする人もいれば、夏のかき氷をイメージする人もいます。文字数は少ないですが、含まれる範囲が広いですね。一方で「夏の午後14時の暑さ」という言葉は、ある程度限定されており同じイメージを共有しやすくなっています。
抽象的な言葉は範囲が広いため、便利です。抽象的な言葉を使っていれば、広い範囲の事を言っているので間違えることは少なくなるのです。だから、大企業では抽象的な言葉を使う人が増えるのです。しかし、余裕のある大企業であればよいのですが、起業家や中小企業ではそうはいきません。短い時間で抽象と具体を行き来し、より深い相互理解を得る必要があるのです。
ビジネスコミュニケーションの目的:それは「共通の認識」と「相乗効果」
ビジネスにおけるコミュニケーション、具体的に伝えることの目的は「共通の認識」を作ることにあります。なぜなら、共通認識が無ければ相乗効果は決して生まれないからです。共通認識とは、あなたの言葉を聞いて、相手の頭の中に生まれる認識が、あなたと共通しているかどうかです。例えば、共通認識が出来ていないと会社のメンバー全員が同じ方向に進まないのです。思ったような結果が出ない時、メンバーがそれぞれ違う認識でいたという経験をしたことはないでしょうか。そのため、ビジネスでは「共通の認識」を作ることが非常に大切なのです。認識の違いを無くすには「具体をより多くすること」を心がけることで大きく進歩します。そして、もう一つは「言葉の定義」です。
1、具体を多くすること
ビジネスにおいて、目標や目的を議論する時には、ある程度「具体」についても議論するようにしましょう。「具体」が多ければ多い程、情報量が増え、しっかりとした「共通認識」を作れる可能性が高まるのです。
2、言葉の定義をすること
具体を多くすればある程度の共通認識を作る事が可能です。しかし、時間も無限にある訳ではありません。多くすると言っても限度があります。そこで、ある程度言葉を定義することが重要になってきます。会社の中で「目標」と言ったらどのような内容を指し示すのかを定義しておけば、目標に関しては具体を話し合う必要がなくなります。
共通認識を素早く作るためのコツ:それは、社内で使う言葉を定義しておく
組織の中である程度、使う言葉の定義を明確にしておくことで「共通認識」を作り出す時間を短縮することが可能です。弊社では、約100個の言葉を定義して社員の手帳に入れています。言葉の定義が出来ると、その言葉に関する「共通認識」は出来ている状態で話が出来ることになるため、時間の短縮になるのです。さらに、ビジネスでは伝えるべき具体をある程度絞り込む事が可能です。次はそれを見ていきましょう。
ビジネスコミュニケーションにおける伝えるべき7つの「具体」
具体的に伝えることの重要性が理解できたら、次はビジネスの場面においてどのような具体を伝えればよいかを把握しましょう。ビジネスにおいて伝えなければならない具体は、例えば以下のようなことがあります。
ビジネスにおいて伝えたい7つの具体(先ほどの見積書の事例)
1、根拠
なぜ、そうしなければならないのかの根拠を伝えましょう。見積書を今日中に出す根拠を明確に伝えるようにしましょう。
2、例
具体的な事例を伝えましょう。「トラブルが無いように」という抽象ではなく、見積書で過去あったトラブルの事例を伝えることでより明確に認識できるようになります。
3、目的
目的をしっかりと伝えましょう。見積書の目的は決済を早くもらうこと、そして金額と項目を明確にすることです。
4、全体像
全体像を伝えるようにしましょう。全体像はより抽象的なレイヤーに感じるかもしれませんが、ここでは具体です。見積書を送ることは、お客様から受注をもらうという営業プロセスのどの場面なのか。
5、納期
納期を明確に伝えましょう。見積書は今日の17時までに作成しておいてというように、具体的な時間まで伝えることが重要です。
6、クオリティのレベル
クオリティはどの程度必要かを伝えましょう。見積書はミスが一つも無いレベルにして欲しいというように、どの水準までやればいいのかを伝えます。
7、メジャーメント(成果の指標)
ビジネスにおける結果や成果の指標を伝えましょう。受注が出来ることなのか、後々トラブルにならないということなのか、どのような結果を成果の指標とするのかを明確にしましょう。
具体的に伝えればより「明確さ」を確保できるため、コミュニケーションの目的である共通認識を得られる可能性は高まります。では次に、よりコミュニケーションを確実なものにするためには、それ以外にはどのような要素が考えられるのでしょうか。
コミュニケーションの責任を双方が持つ事の重要性
コミュニケーションをより確実なものにするためには、伝える側と受け取る側の双方がより高いレベルで「責任」を持つことで結果が向上します。伝える側には、「あなたの言葉を相手がどのように受け取るか」に対して責任を持つ必要があります。一方で、受け取る側は「相手の言葉が何を意図しているのか」を確認する責任があります。双方の責任意識が高まれば、より誤解は少なくなるのです。大切なことは、お互いがコミュニケーションの結果に対して責任を持つ事です。誤解が生じた場合は自分の問題として、双方が捉えられる関係でいることが重要です。
そもそも信頼関係が壊れているとコミュニケーションが機能しない
コミュニケーションの前提は信頼関係です。そもそも信頼関係が無いと、相手の受け取り方が変わるのです。好意的に受け取るのか、懐疑心を抱きながら受け取るのかで結果が変わるのは理解できるでしょう。いくら具体的に伝えても、それを受け取る土壌が無ければあなたが努力したコミュニケーション自体が無駄になってしまいます。コミュニケーションが壊れれば当然、それによってビジネスの結果が悪化します。しっかりと相手に愛情を持って接することがコミュニケーションの基礎であり、それによって信頼関係が構築できるのです。さらに言えば、コミュニケーションの本質は関係性を築くことにあるのです。コミュニケーションの土壌は信頼関係だということを明確にしておきましょう。
まとめ:具体の多いコミュニケーションで共通認識を作り相乗効果を発揮する
いかがでしたでしょうか。ビジネスは1人ではできません。だからこそ、他人と相乗効果を発揮しながら進めていかなければならないのです。その上で、一つの手法として具体の多いコミュニケーションを心がけることで「明確さ」を確保することが第一歩になるはずです。ぜひ、参考にしてみてください。