資金調達
美容室を開業する人が資金調達を行う際のポイントを解説
資金調達

美容室を開業する計画を立てている人の中には、資金調達を検討している人もいますよね。また、資金調達が初めてであり、どのようなことに気をつけたらよいのか知りたいと思っている人もいるでしょう。
当記事では、美容室を開業する人が資金調達を行う際のポイントを解説します。美容室の開業時に活用できる資金調達先も紹介しているので、美容室の開業に向けて資金調達を検討している人は参考にしてみてください。
ポイントは美容室の開業計画を具体化させること
美容室を開業する人が資金調達を行う際のポイントは、美容室の開業計画を具体化させることです。金融機関の融資や地方自治体の助成制度など美容室の資金調達方法は多岐にわたりますが、いずれにおいても開業計画の実現性が審査で問われる傾向にあるためです。
<美容室の開業計画を具体化させるためのポイント>
- 美容室の事業内容を明確にする
- 美容室の開業に必要な費用を明確にする
- 美容室開業後の見通しを明確にする
美容室の開業計画は「事業内容」「開業に必要な費用」「開業後の見通し」を明確にすることで具体化させることが可能になります。美容室の開業に向けて資金調達を検討している人は、美容室の開業計画を具体化させるためのポイントを押さえておきましょう。
美容室の事業内容を明確にする
美容室の開業計画を具体化させるためのポイントとして、美容室の事業内容を明確にすることが挙げられます。顧客ターゲットや提供するサービスなどを具体的にすることで、開業する美容室の強みや他店との違い、収入源が明確となるため、開業計画の実現性を高めることが可能になります。
<美容室の事業内容において明確にしておく項目>
項目 |
明確にする主な内容 |
顧客ターゲット |
美容室のコンセプトから考えられる顧客の年齢層、性別、ライフスタイル、趣味嗜好など |
提供するサービス |
カット、カラー、パーマ、トリートメントの他、ヘアセットや着付けなどのオプションメニューの提供の有無など |
提供方法 |
使用する美容機器や薬剤、接客の姿勢や提供後のフォローの有無など |
立地 |
駅の近くもしくは住宅街、競合となる店舗の有無など |
支払い条件 |
現金やカード、電子マネーへの対応可否 |
営業時間 |
営業する時間帯や定休日 |
美容室の事業内容は、開業する美容室のコンセプトに基づいて構築していきます。美容室のコンセプトに基づいていない場合、美容室を開業する目的が曖昧となり美容室の目指す方向性を示すことが難しくなるためです。
また、美容室の事業内容は、一貫性を意識して明確にしていきます。たとえば、顧客ターゲットが安らぎを求めて来店する若い女性であるのに対し、提供サービスにキッズメニューを取り揃えては、事業内容に一貫性がなく美容室の目指す方向性を示すことが難しくなります。
なお、事業内容の明確化は、集客のマーケティング戦略を立てるためや美容室に必要な設備や機器を決めるためにも重要な工程です。開業計画におけるさまざまな要素を具体化させるためにも、美容室の事業内容を明確にすることを心がけましょう。
美容室の開業に必要な費用を明確にする
美容室の開業計画を具体化させるためのポイントとして、美容室の開業に必要な費用を明確にすることが挙げられます。美容室の開業に必要な費用を明確にすることで、資金調達がなぜ必要であるかや妥当であるかを示すことができるため、開業計画の実現性を高めることが可能になります。
<美容室の開業資金において明確にしておきたい費用の具体例>
区分 |
費用項目 |
具体的な費用 |
設備資金 |
店舗取得費 |
物件の敷金や礼金、保証金や仲介手数料など |
内外装費 |
店舗の内外装や看板設置などの工事費用 |
|
美容機器・設備費 |
シャンプー台、スタイリングチェア、鏡、パーマ機器など |
|
運転資金 |
材料費 |
シャンプー剤、トリートメント剤、カラー剤、タオル、ヘアクリップなど |
家賃 |
賃貸物件の毎月の賃料 |
|
人件費 |
スタッフの給与 |
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水道光熱費 |
水道代、電気代、ガス代 |
|
広告宣伝費 |
チラシ、SNS広告、地域情報誌などへの掲載料 |
|
その他の経費 |
消耗品、通信費など |
美容室の開業には、店舗の取得費や工事費などの設備に関わる費用と、家賃や光熱費などの運営に関わる費用が掛かります。開業にあたって何にいくら掛かるのかを具体的な費用まで明確にすることで、どのくらいの設備資金や運転資金が必要であるかを示すことが可能です。
また、店舗の内外装工事費や美容機器の導入費などに見積書がある場合には、提示できるようにしておきましょう。見積書を提示することで費用の金額を正確に示すことができ、希望調達金額の妥当性を裏付けることが可能になります。
なお、美容室の開業に必要な設備や美容の機器などは、調達できる資金の金額を考慮して選択するよう心がけましょう。借入による資金調達を検討した際に、無理のない返済計画を立てることが可能になるためです。
美容室開業後の見通しを明確にする
美容室の開業計画を具体化させるためのポイントとして、美容室開業後の見通しを明確にすることが挙げられます。美容室開業後の見通しを明確にすることで返済能力や事業の継続力を示すことができるため、開業計画の実現性を高めることが可能になります。
<美容室開業後の見通しを予測する方法>
項目 |
予測方法 |
売上 |
|
売上原価 |
|
経費 |
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利益 |
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たとえば、開業後の見通しを立てる際の売上予測は、売上の根拠に基づいて予測をすることで明確化できます。「前勤務先の固定客が来店する見込み」や「開業予定地の市場調査」などから現実的な回転数を予測をすると説得力が増し、実現性の高い開業計画を示すことが可能になります。
美容室開業後の見通しは、創業当初の月平均と事業が軌道に乗った後の月平均のそれぞれの収益予測を立てることを検討してみてください。創業当初と事業が軌道に乗った後の収益予測を立てることで、事業の継続力を示すことが可能になります。
なお、事業の利益からは税金や給与の支払いが必要であるほか、借入による資金調達を行った場合は資金の返済義務も発生します。思うように売り上げが伸びない場合でも支払いや返済を行うことができるよう、美容室開業後の見通しは堅実的に策定しましょう。
ポイントを押さえた人は美容室の開業に利用できる資金調達方法を把握しておく
資金調達を行う際のポイントを押さえた人は、美容室の開業に利用できる資金調達方法を把握しておきましょう。美容室の開業資金は自己資金を貯める以外にも、以下の方法によって準備することが可能です。
<美容室の開業に利用できる資金調達方法>
資金調達方法 |
概要 |
融資 |
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助成金や補助金 |
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クラウドファンディング |
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リース |
|
美容室の開業に利用できる資金調達方法に「融資」「助成金や補助金」「クラウドファンディング」「リース」が挙げられます。美容室の開業資金の調達を検討している人は、各資金調達方法の仕組みを押さえた上で利用する方法を選択しましょう。
融資
美容室の開業に利用できる資金調達方法として融資があります。融資は、金融機関から事業に必要な資金を借り入れる資金調達方法です。
融資を利用して調達できる金額は、融資制度ごとに定められた限度額の範囲内です。実際の調達可能金額は審査によって決定するものの、数百円や数千万円など多額の資金を調達できる可能性があるため、美容室開業時に高額投資となる店舗工事費や美容機器導入費を確保することが可能となります。
また、融資は開業前に資金を調達できるため、確保した資金で開業準備を進められます。自己資金の貯蓄を待つことなく、美容室の開業に必要な美容機器や備品、消耗品などの一括購入が可能となります。
ただし、融資で借り入れた資金は、利息とともに返済をする必要があります。また、利用する融資制度や利用者の返済能力によっては、担保や保証人の提供を求められる場合があるため留意しておきましょう。
助成金や補助金
美容室の開業に利用できる資金調達方法として助成金や補助金があります。助成金や補助金は、国や地方自治体から返済が不要な資金の交付を受ける資金調達方法です。
助成金や補助金を利用して調達できる金額は、助成金や補助金制度ごとに支給対象として定められた費用の金額のみです。助成や補助の支給対象の費用は制度の目的ごとに異なるものの、美容室店舗の工事費や開業後の店舗賃料、宣伝広告費などの支給を受けられる可能性があります。
ただし、助成金や補助金は原則として後払い制となっています。国や地方自治体に対し、事前に申請した内容で取り組みを実施したことを認められた後に支給されることから、美容室の開業前に資金を得ることはできないことに留意しましょう。
なお、助成金や補助金には募集期間が定められている制度があります。利用したいときに募集が締め切られている可能性もあるため、気になる助成金や補助金制度がある場合には募集期間を事前に確認しておきましょう。
クラウドファンディング
美容室の開業に利用できる資金調達方法としてクラウドファンディングがあります。クラウドファンディングは、実現したいプロジェクトをインターネットを通じて不特定多数の人に公開し、プロジェクトの実現に賛同してくれる人から出資を受ける資金調達方法です。
クラウドファンディングでは、目標とする資金調達額を利用者自身で設定することができます。目標金額を達成できるかどうかは、プロジェクトの魅力度や出資を呼び掛ける広報活動の量、出資に対するリターンの内容などさまざまな要因が影響します。
たとえば、美容室のプロジェクトにおけるリターンとして、美容室で使用するオリジナルヘアケア商品やサービスの施術体験などが挙げられます。出資を呼び掛ける際には、出資者からの注目を多く集める工夫をすることにより、目標金額の達成につながります。
なお、クラウドファンディングは運営サイトごとに得意とするクラウドファンディングの種類やプロジェクトのジャンルなどが異なります。適切なサイトを選ぶためにも、複数のサイトの特徴を把握した上で利用するサイトを選択してみてください。
リース
美容室の開業に利用できる資金調達方法としてリースがあります。リースは事業に必要な設備や機器のリース料を支払うことで、一定期間リース会社から借りて使用する方法です。
リースの利用によって資金を調達することはできませんが、美容室に必要な設備や美容機器を導入することが可能になります。設備や美容機器を一括購入ではなくリースとすることで、導入資金が足りない場合であっても開業準備を進められます。
たとえば、1台40万円のシャンプー台を3台設置したい場合、120万円の初期費用が必要です。リースを活用して1台を月額2万円で導入できるとしたら、シャンプー台の初期費用を6万円に抑えることが可能になります。
ただし、リースを利用する際はリース会社に毎月リース料を支払う必要があります。リース料には手数料や損害保険料なども含まれていることから、長期間のリース利用は購入をするよりも総支払額が大きくなる場合があることに留意しましょう。
資金調達の疑問や不安がある場合は相談窓口を利用してみる
美容室を開業する際の資金調達において疑問や不安がある場合は、相談窓口の利用を検討してみてください。以下の相談窓口では創業を予定している人に対するさまざまな支援を行っているため、美容室開業時の資金調達に関する疑問や不安を解決できる可能性があります。
<美容室開業時の資金調達について相談できる窓口>
相談窓口 |
概要 |
よろず支援拠点 |
|
商工会議所 |
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日本政策金融公庫 |
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資金調達の相談窓口として挙げられる「よろず支援拠点」は、国が全国に設置している無料経営相談所です。経営課題が解決するまで何度でも相談することができ、開業準備の進め方から開業時の資金計画、営業戦略の立て方など幅広い支援を受けることが可能です。
また、資金調達の相談窓口として挙げられる「商工会議所」は、地域の商工業の振興と発展を目的とする経済団体です。商工会議所の非会員であっても経営相談を行うことができ、公的融資や補助金・助成金、許認可の申請手続きに関するアドバイスなどを受けることが可能です。
そして、資金調達の相談窓口として挙げられる「日本政策金融公庫」は、さまざまな融資を扱っている政府系金融機関です。開業計画に関する相談を行うことができ、開業計画をブラッシュアップさせるためのアドバイスや創業融資に関する情報提供を受けることが可能です。
紹介した相談窓口の中には、創業者向けのイベントやセミナーを開催しているところもあります。開業計画の立て方を実践的に身に着けることや開業を志す他の参加者から新たなアイディアを得られる可能性があるため、必要に応じて活用を検討してみてください。
まとめ
美容室を開業する人が資金調達を行う際のポイントは、美容室の開業計画を具体化させておくことです。美容室の開業計画を具体化させておくことで、資金調達を受ける際の審査において実現性の高い開業計画であることを示すことが可能になります。
美容室の開業計画を具体化させるためには「事業内容」「開業に必要な費用」「開業後の見通し」を明確にすることが重要です。顧客ターゲットや提供するサービスの内容、美容室の開業に掛かる工事費用や設備費用などをできる限り具体的にするよう心がけましょう。
美容室の開業に利用できる資金調達方法として「融資」「助成金や補助金」「クラウドファンディング」「リース」などがあります。それぞれ資金調達の仕組みが異なることから、仕組みを踏まえた上で自社に適した資金調達方法を選択してみてください。
この記事を書いたライター

ソラボ編集部
資金調達の可能性を無料で診断
8,000件の資金調達実績を持つSolaboの専門家が、融資や補助金など、事業課題に合わせた資金調達方法を提案します。
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