日本政策金融公庫の融資制度の一つとして注目の「女性、若者/シニア起業家支援資金」をご存知でしょうか?
“起業家=若手男性”という考えがある方、そんな事はありません。女性、主婦、若者、シニアなど性別や年齢関係なく、誰にでも起業家になれるチャンスがあります。
今回は、女性、主婦、若者、シニアの方が起業する際にぜひ利用してほしい「女性、若者/シニア起業家支援資金」についてお話していきます。
1.日本政策金融公庫の融資の特徴とは?
起業を予定している方が、融資を希望する際に思い浮かべる多くが、日本政策金融公庫の融資かと思います。
日本政策金融公庫は国から100%の出資を受けて運営される金融機関です。そして、融資対象者の多くが、これから起業を予定している“一般の方”“中小企業者”なのです。
日本政策金融公庫を利用する理由の一つとして「低金利」「長期返済」という融資希望者にとっては好都合な条件があります。このことから、多くの方が日本政策金融公庫での融資を希望するのです。
2.どんな融資制度がある?
用意されている融資制度は、細かく見ても100を超えます。その中でも大きく分けて「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3つに分けられます。
参照元:日本政策金融公庫HP
一般的に広く利用されている融資制度は「国民生活事業」の中の「普通貸付」かと思いますが、今回注目するのは、同じ「国民生活事業」の中の「女性、若者/シニア起業家支援資金」という融資制度です。
誰しもが、性別・年齢関係なく“起業家”になることができる権利を持っています。そんな中で、女性、主婦、若者、シニアの方々の起業を応援している融資制度が「女性、若者/シニア起業家支援資金」なのです。
次に、この制度がどういうものなのかをご紹介していきます。
3.「女性、若者/シニア起業家支援資金」の内容と特徴
参照元:日本政策金融公庫HP
(1)年齢制限がある
この融資の特徴の一つとして、年齢制限があることです。
利用することができる年齢は、事業を始めることができる高校生くらいから34歳までの方と55歳以上の方です。その為、35歳~54歳の方は利用することができない制度となります。
(2)融資額の平均は300~1000万円
制度内容が女性、若者、シニア向けとはいえ、融資限度額は他の融資制度と平等で7,200万円です。ですが実際のところ、一度で7,200万円の融資を受けることは難しく、300~1000万円の融資を目安だと考えておくとよいでしょう。
融資額は「事業規模」「事業の安定性」「返済能力」「実績」等により決まってきます。
(3)利率が低い
参照元:日本政策金融公庫HP
融資を受けたら、返済の際には必ず利子が必要となり、この金利が今後の事業にも大きく関わってくるかもしれません。金利が高ければ返済額も増えてしまいます。その為、誰もが低金利での融資を望んでいます。
この融資制度での金利は、日本政策金融公庫での他の融資制度の中でも低いと言われているためオトクとも言えます。
金利は、担保を必要とするか不要とするかによって変わってくるため、融資担当者との面談により自分に合った形を選びましょう。
(4)無担保・無保証での融資が可能
融資を受けるとなると“保証人を付けなければいけないのではないか”と考える方もいるかもしれませんが、この融資では、「無担保・無保証人」での申し込みが可能です。担保があるかないかで金利は1%近く変わってきます。
担保を用意でき、より低金利を希望される場合は、無担保での利用を考えてみても良いかもしれません。
4.「女性、若者/シニア起業家支援資金」利用時の注意点
①据置期間
参照元:日本政策金融公庫HP
表の中にある据置期間というのは、金利だけを返済すれば良いという期間です。
例えば、700万円の融資を受け、金利が2%だったとすると、700万円×2%=14万円となり、利子は14万円となります。初めの2年間は14万円のみ返済すれば良い、ということになりますが、3年目からは元本の返済をしなければなりません。
また、設定されている据置期間(2年以内)を最長に設定できることはあまりなく、だいたい、半年程度の据置期間になると思っておいた方が良いでしょう。
②自己資金
この融資制度では、実績を詳しく問われませんが、起業に対してどのくらいの想いを持っているのか、ということは見られます。その証拠として提示できるものが自己資金です。
起業を予定していた方なら、毎月少しずつでも預金を作り自己資金を作っておくことが求められます。
準備できる自己資金がどのくらいあるのか、ちゃんと計画的に準備してきているか、ということが融資成功に繋がる大きなポイントでもあります。
③審査基準
審査基準は、どの融資制度でも変わりません。特に申込時に提出することになる「創業計画書」の内容は、より重点的に見られます。
どんな事業を行いたいのか、どんな方法で利益を得ていくか、どんな思いで事業を開始するのか等の起業に関するあらゆることを、「創業計画書」を作成していくうえで伝えなければなりません。
④着金までの期間
仮に融資が確定したとしても融資申込から着金までの期間はおよそ“1ヵ月”です。
申込を行ってから着金までの流れは以下の通りです。
申込を行ったらすぐに融資額が手元に入るということはありませんので頭に入れておきましょう。
5.この融資制度を利用して起業する業種例
女性
女性での起業家の多くは、自身の趣味や特技、経験を活かした業種を行っている方が大半を占めています。また、子育て中の女性がママ起業家として活躍する背景も今や話題です。
▪ネイルサロン ▪フラワーアレンジメント ▪ヨガやピラティス講師 ▪英会話講師
▪子育て支援 ▪IT業務 ▪WEBデザイナー etc… |
若者
いまや若者が活躍する世の中でもあり、この制度の中でも成功率が高いのが若者です。色々な知識をすぐに取り入れ実践できるという点でも、近年需要があるIT系の業種を選択する方が多くを占めます。
▪新アプリの開発 ▪ITサービス業界 ▪今までにない新事業の展開 etc… |
シニア
シニアの方の選択で悩まれる点が、趣味に関連した起業か、経験値に関連した起業か、という所ではないでしょうか。融資成功率で高いのは、当然経験値に関連した事業ですが、人生経験が豊富な分趣味においてもプロレベルの方も沢山いるため、どちらにおいても起業を目指してみるという考えもあるでしょう。
▪趣味に関連した事業(カメラ・鉄道・スポーツ・パソコン)
▪知識を活かしたパソコン教室 etc… |
まとめ
日本政策金融公庫は、起業を目指す方々を応援している金融機関であり、女性、若者、シニアにおいても同様です。
「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用する際には、審査基準をしっかりと頭に入れ、自己資金の準備も忘れないようにしましょう。そして、起業家として第一歩を踏み出すチャンスでもあります。