起業して事業が拡大していくと、営業範囲も増えて遠方への出張の回数が増えて来ると思います。そして、「交通費」、「宿泊費」や「出張先での経費」が掛かって来ます。こういうものは、放っておくとだんだんと増大していくものです。また基準が明確でないと不公平感も生まれます。これを防ぐ為にも、書面で規程を作成しておいた方が良いです。税務調査が有った際にも、規程に基づいて経費処理していることがわかれば、経理の信頼度もアップしますね。でも、規程を作るのが難しいのでは、と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はそういった方の為に、出張旅費規程を簡単に作成する為の6つのポイントをお知らせします。
出張旅費規程とは
「出張旅費規程」とは、会社での出張旅費の取り扱いに関し定めた規程です。
旅費規程作成上の注意点
- 対象者は全社員にする。
旅費規定は社長含め全社員が対象でなければなりません。また、社長や役員にだけ日当を出すのは駄目です。また、規程がないのに日当を支給すると、給与手当とみなされます。
- 出張旅費精算書を提出しそれを保管する。
出張した場合は「出張旅費精算書」を記入、提出して保管します。 出張の証明になります。特に書式の決まりは有りません。「日時」「場所」「訪問先と担当者」「用件」等を記載します。ホテル、タクシーの領収書などは、出張旅費精算書と一緒に保管しましょう。
出張旅費規程を作っておくことで節税になる
出張旅費規程を作成していると、出張時に支払う「旅費日当」は経費となり、会社にとっては節税になります。また、社員も所得税が非課税になります。
それでは、「出張旅費規程」の作成ポイントについて、説明していきます。
1.目的を決めます
まずは、この出張旅費規程の目的を定義しましょう。大体は就業規則が有る場合が多く、その細則になりますので下記の様な文章になります。
目的.
就業規則第○○条の規定に基づき、社員が業務のために出張する場合の手続及び旅費に関して定める。
2.規程の適応範囲を決めます。
上記の注意事項にも書きましたが、対象者は社長、役員含め社員全員にします。または役員以上は別に規程して「役員以上は、別紙の役員出張旅費規程に定める」とします。
3.出張の定義を決めます。
出張と言っても、近距離の隣の駅へ行く場合も有りますし、遠距離で新幹線や飛行機で行く場合も有ります。また、会計上、旅費交通費という勘定科目があり、旅費と交通費からなります。交通費は近距離、旅費は遠隔地の場合です。
大部分の会社が距離によって出張を判断しています。しかしその距離についても特に基準がなく、おおむね100km以内を「近出張」、それを超えるものを「遠出張」に規程しています。
4.旅費の種類
旅費の種類は、おもに下記の3つになります。この項目について、それぞれ決めていきます。
- 交通費
- 日 当
- 宿泊料
その他に、「食事代」を支給する場合も有ります。例として
- 朝食代(1000から1500円位)朝6時前に自宅を出発した場合、ホテルに宿泊した次の朝等
- 昼食代(1000から1500円位)出張が12時を挟む場合等
- 夕食代(1000から2000円位)夜22時以降に自宅に帰宅した場合、又はホテルに宿泊した夜等
4.1交通費について
次の区分に分けられます。この項目は実費精算です。
- 鉄道
- 航空機
- 船舶
- タクシーその他の交通
1.鉄道
「近出張」では通常ローカル線の電車利用しますが、「遠出張」では、特別急行、寝台車、新幹線の指定席を利用出来る等を定義しておきます。グリーン席の利用が役職に応じて可能な場合は、その旨規程します。
2.航空機
飛行機の利用は、距離等で規程しておくとよいです。その距離についても特に基準がないため、例えば、東京ー大阪は500km以上有りますので「飛行機の利用は500kmを越える」等規程すると良いでしょう。又、緊急の場合もありますので「上長の承認を受けた場合」も規程しておいた方が良いでしょう。
3. 船舶
ここでも、役職によって、1等室、2等室の利用区分が必要な場合は、その旨規程します。
4.タクシーその他の交通機関
タクシーは「他に交通機関が無く、やむを得ない場合に限って利用する、又は上長の承認を受けた場合に乗車出来る」を規程しておいた方が良いでしょう。
4.2日当について
日当についても特に基準が有りません。そのため、「近出張」と「「遠出張」に分けて、日当ですので1日に対し一律に規程した方が良いです。また、役職に応じて変更する場合はその旨規程します。
例として
近出張・・・従業員:2000円、役員:4000円、社長:8000円
遠出張・・・従業員:3000円、役員:6000円、社長:12000円
注意事項:出張が長期に渡った場合、日当が高額になりますので、制限を設けた方が良いです。
例として、「7日を越える場合は、8日目からは50%に減額する。」等の制限が必要です。
4.3宿泊料
この項目も実費精算です。
宿泊費は1日の上限を決めて、掛かった費用を実費清算にすると良いでしょう。
例として
宿泊費1泊・・・従業員:9000円以下、役員:11000円以下、社長:13000円以下
5. 出 張 手 続について
5.1出張の承認
例えば、「出張のときは、あらかじめ所定の「出張申請書」に必要事項記入し、所属上長に承認を得る必要が有る。」等を規程しておいた方が良いでしょう。
5.2旅費の仮払
出張が長期に及ぶ場合が有りますので、「出張者が、所属上長の承認を得たときは、出張費用の全額の仮払いを受けることができる。」等を規程しておいた方が良いでしょう。
5.3旅費の精算
「出張者が、帰社した時は、すみやかに所定の「出張旅費精算書」を作成し、所属上長の承認を受け、5日以内に領収書を添付し旅費の精算をしなければならない。」 等を規程しておいた方が良いでしょう。
6.出張時の残業、休日出勤の取扱いについて
6.1残業
出張先で残業が発生した場合は、自分の会社で把握出来ない為、「所定の用紙に訪問先の役職者に承認を得る。」等を規程しておいた方が良いでしょう。
6.2休日出勤
出張先で休日出勤が発生するが有りますので、これも「所定の用紙に訪問先の役職者に承認を貰う。」等を規程しておいた方が良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。出張旅費の規程の項目について、今回はご説明して来ました。このすべてが必要なのでは無く、自分のところに該当する項目を取り入れてください。
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