まだあなたが起業したばかりの方なら「価格交渉」で困った経験は無いでしょうか?
「もう少し安くしてもらえない?」
スタートしたばかりの会社だから一生懸命やってもらえるとお客様は感じていることでしょう。
しかし、あなたが目の前の売上が喉から手が出るほど欲しいということを知っているお客様には、値下げを提示され足下を見られてしまうかもしれません。
さて、お客様から値引きを要求された時に上手く対処するためにはどのようにすればよいのでしょうか?今回は、上手に価格交渉を行うための必要知識をお伝えします。ぜひ、参考にしてください。
1、値引きのメリット・デメリットを理解する
お客様は、他で買うよりもあなたから買いたいと思っているから値引きを要求します。買いたくなければ値引きは要求しないのです。では、その要求には答えるべきなのでしょうか?それとも値引きはしないという方針を明確に伝えるべきなのでしょうか?まずは、値引きのメリットとデメリットを見ていきましょう。
値引きのメリット
1、値引きをしなければ獲得できないであろう契約を獲得できる
値引きをしなければ獲得できない顧客がいることは事実でしょう。なぜなら、予算が不足している顧客が必ずいるからです。例え商品の価値を充分理解していたとしても、支払うキャッシュが少し足りないというケースはあるものです。そうした顧客を獲得できるというのは値引きのメリットと言えるでしょう。
2、クライアントとの強力な関係構築ができる
クライアントの中には非常に重要な顧客がいます。支払いが良く、商品価値もよく理解している顧客です。会社への好意もしっかりと形成されており、いわゆるファンなのです。そうした顧客へ特別な価格を用意することでより関係構築を強固にできるケースがあります。上手く値引きを活用することで、より強力な関係を築くことができます。
3、少しの割引はボトムラインを損なうことは無い
企業はある意味、損益分岐点へいかに早く到達するかということを重視します。その際、粗利率がしっかりと確保出来ている商品であれば、多少の値引きをしても損益分岐点売上高まで持っていった方が利益が確保出来るというケースがあるはずです。値引きという手段を持った方が大崩れしないというメリットがあります。但し、粗利率の少ない商品であれば、少しの値引きでも販売数の確保が難しくなるというケースもあります。
4、 有効期限を伴うことによって、緊急性を顧客に与える可能性がある
もし、顧客に緊急性を与えることができれば購買の可能性は高まります。値引きのメリットの一つとしては、有効期限を伴うことによって、緊急性を顧客に与える可能性があることです。
【値引きのデメリット】
1、利益率を低下させる
値引きは単純に利益率を大きく低下させます。なぜなら、企業の利益は良くて20%程度だからです。営業利益率が20%の会社で、販売価格10%値引きを行えば単純計算で利益は半分になってしまいます。少しでも多く利益を出そうとしている会社組織において、値引きは安易に行なってはいけないものだということを示しています。
2、有害な先例を作ってしまう
あなたが1回限りの値引きだと思っていたとしても、お客様は次回も必ず値引きを求めるでしょう。それは、一度値引きを受けたという甘い経験を顧客に与えることになるのです。それだけではありません。社内においても、他の営業マンが値引きで成績を上げていたとしたらどうでしょうか?他の営業マンも、自分が成績を上げるために値引きをしても良いという先例になってしまいます。これらは、有害な先例を言えるでしょう。
3、正当な価格を支払った顧客の信頼を失う可能性がある
顧客同士、コミュニティで繋がっていたり、関係を持っているケースは多いものです。そのため、あなたがした値引きが他の顧客に伝わってしまうという可能性は少なからずあるものです。もしあなたの優良顧客がそれを知ってしまったら、どのように感じるでしょうか。場合によっては信頼を失う可能性すらあります。これは、値引きの非常に大きなデメリットと言えます。
2、値引きの顧客心理「3つのパターン」を理解する
次に顧客の心理を考えてみましょう。顧客はなぜ値引きを要求するのでしょうか。分析をしてみるとその理由は、予算と価値の二つの軸で分類できます。
1、ちょっと言ってみた
商品に対する価値も充分感じており、予算もあるが、出来ればより安く買いたいと思っているというお客様がいます。この層には、ちょっと言ってみただけというお客様もふくまれています。これらの顧客に対しては、値引きをする必要はあまり無いでしょう。
2、予算不足
商品に対する価値は充分感じているが、予算が不足している場合です。この層は、予算を確保出来る可能性を探り、難しいなら値引きをしない限り契約が出来ない層です。値引きをするかどうか、検討する価値があります。
3、価値不足
予算はあるが、商品に対する価値が到達していない場合です。この層は、説明が充分で無いか、もしくは、あなたにとって理想的な顧客ではない可能性があります。再度、価値を理解してもらう機会をもうけるというのが主な選択肢となります。その上で、価値が充分に感じてもらえない場合は、原則値引くという選択史ではなく、機能やサービスを分解し、一部提供が可能かどうかを考える必要があるでしょう。しかし、無理をして獲得する顧客層ではないという認識も必要でしょう。
3、顧客からの値引き要求は「買いたい」というサイン
繰り返しになりますが、お客様はあなたから買いたいと感じているから値引きを要求します。契約の最終段階、あと一歩の所まで来ているということです。このことは明確に理解しておかなければなりません。その上で、どのように対処したらよいかを冷静に検討するようにしましょう。
4、商品の価値を充分に理解してもらえば値引き交渉になる可能性を減らせる
出来る事なら、値引き交渉には一切付き合わないという姿勢を貫きたいものです。しかしながら、それはなかなか難しい側面もあるかと思います。まず、しなければならないのは、しっかりとした価値がある商品を作り、その価値を伝えるコミュニケーション能力や文章力が必要です。充分に価値を理解してもらうためには、何が必要かという思考を持つようにしましょう。そうすることで、価値をしっかり理解してもらうことが最も重要です。価値をしっかりと理解してもらえれば、自然と値引き交渉は少なくなっていきます。
5、価格交渉をされた際に注意する3つのポイント
いざ、値引きを決断しなければならない時は、主に以下のポイントを整理しておくと、冷静に対処出来るでしょう。
ポイント1 値引きをしても良いのは、主に以下の2種類のお客様である
・2の「予算不足だが、価値を充分に感じている」お客様
・値引きによって強力な関係構築ができるお客様
ポイント2 値引きをした場合のメリット・デメリットを充分検討し、それを打ち消す対策を立てる
・充分な利益を確保出来るか
・値引きの根拠をしっかりと説明できるか
ポイント3 その顧客は、あなたの理想的な顧客と大きくずれていないか
・長期的に付き合える顧客か
・商品にしっかりと満足してもらえる顧客か
まとめ
いかがでしたでしょうか?
値引きをする時のメリット・デメリット、そして顧客心理を理解して整理しておくことが重要です。安易な値引きをしないために、参考にして頂ければ幸いです。