これから事業を始められる方、または既に事業を始めた方が事業融資を検討する際、多くの方は以下の二つの融資のどちらにするかを迷われます。
- 1.日本政策金融公庫の創業融資
- 2.信用保証協会を通した制度融資
初めての資金調達をしくじると、その履歴が金融機関にも残ります。できる限り最適な選択をしたいものです。
1.日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫とは100%日本政府が資本金を出した公的金融機関です。基本的には「困った人を助ける」というスタンスで、事業用の融資だけでなく一般個人向けの教育ローンや災害貸付なども行っています。
※上記URLをクリックすると日本政策金融公庫の公式ページにリンクします
銀行からお金を借りづらい中小企業にも「困った人を助ける」というスタンスで、毎日~毎月、何件も融資を実行しています。困った人への融資ですので、基本的に金利は超低金利です。
但し、日本国民の税金を使って運営していますので、お金を返してくれなそうな人には貸さないよう書類審査だけでなく自己資金、経験などいくつかの要件があります。
2.信用保証協会を通した制度融資とは?
①利子補給とは
制度融資とは各地域の自治体が行っている融資のことです。東京都であれば東京都の制度融資、北海道であれば北海道の制度融資になりますし、もっと小さな単位(区や市)でも制度融資は行っています。自治体独自の予算を使うため、金利も日本政策金融公庫と同等または少し低めで、利子補給をしてくれるというメリットもあります。
利子補給とは、融資を受ける事業者の負担を軽くするために自治体が利子分を代わりに負担してくれる制度を言います。制度融資を希望される事業者の中には、この利子補給を魅力に感じて選ぶ方もいらっしゃいます。
②代位返済と信用保証協会に支払う保証料とは
制度融資は日本政策金融公庫から融資を受ける時より少し手続きの面では複雑になります。下記図の「企業」の部分があなただと考えてください。
あなたが制度融資を申し込みに自治体に行くとします。申し込み書類などに不備がなければ、次のステップとして「では、信用保証協会へ行き手続きをしてください」と言われます。
信用保証協会は、あなたがきちんと返済できる人物かを審査します。万が一、あなたが融資に通り借り入れたお金を返済できない場合は、信用保証協会が代わりにあなたの借金を80%金融機関に払わなくてはいけませんこのことを代位弁済と言います。
この代位弁済をしてもらう代わりに、あなたは制度融資の審査に通った際には、金融機関に支払う利子だけでなく信用保証料というものを支払わなければいけません。では、信用保証料はいくらなのでしょうか。信用保証料は個別で決定される信用保証率や貸付金額を元に決定されます。
例えば、借入額が1,200万円で信用保証率1.15%。保証期間が2年間、満期一括返済の場合の信用保証料は27万6,000円となります。信用保証率は改定され、今までは原則1.35%前後でしたが現在では0.5~2.2%の9段階制に変わっています。
3.両者にはどんな違いがあるのか
融資の違いを比較するには表にするのが一番です。融資可能額については、ネット上で公表されているものではなく、融資サポート実績から当社が判断する実際の実現可能な数値となります。
日本政策金融公庫の創業融資 | 信用保証協会を通した制度融資 | |
融資可能額 | 最高2,000万円
※創業前後で初めての融資の場合 |
最高1,000万円
※創業前後で初めての融資の場合 |
申込から着金までのスピード | 3週間~1か月 | 1か月半~2か月以上 |
金利の目安 | 2%前後 | 1%台後半 |
返済期間 | 設備資金:10年以内
運転資金:7年以内 |
設備資金:10年以内
運転資金:7年以内 |
無担保・無保証 | 〇 | ・担保はなし
・保証人の代わりに信用保証が必要 ・信用保証協会が代位弁財した場合は、信用保証協会へお金を返済する |
利子補給 | なし | あり※自治体による |
必要な手数料 | なし | 信用保証料 |
審査に必要な書類
※標準のみ※ |
借入申込書
創業計画書 損益計算書 業績推移表 印鑑証明書 確定申告書 納税証明書 物件の見積書または契約書 通帳のコピー2年分 借金の明細表 商業登記簿謄本など |
信用保証委託申込書
信用保証委託契約書 個人情報の取り扱いに対する同意書 印鑑証明書 確定申告書 納税証明書 物件の見積書または契約書 創業計画書 確定申告書 商業登記簿謄本 この他融資メニューにより多数の書類 |
4.手続き・融資可能額・スピードの面で日本政策金融公庫が◎
日本政策金融公庫の創業融資と制度融資を単純に比較すると、日本政策金融公庫の方が手続きは少なめで(とは言え書類は多いですが)金利も同等です。(信用保証料を考慮すると安い?)
また、申込みから審査、着金までの時間は日本政策金融講公庫の方が短めになります。
以上のことから、冷静に考えて判断するならはじめての事業融資であれば日本政策金融公庫の方が事業主にとってメリットの多い融資と言えるのではないでしょうか。
まとめ
制度融資を使って補助金を得たい、制度融資を使いたい理由がある、という事業者以外は、初めての事業融資は日本政策金融公庫の「新創業融資」制度がオススメです。
また、創業2期を超えた方で追加融資を受けたい場合は日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」制度が利用できます。