資金調達
銀行系ファクタリングの特徴とは?利用する際の注意点も解説
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ファクタリングサービスを提供する会社は、事業分野ごとに「銀行系」「ノンバンク系」「独立系」に分類されます。この中の銀行系ファクタリングとは、銀行や銀行のグループ会社などが提供しているファクタリングサービスのことをいいます。
当記事では、銀行系ファクタリングの特徴を解説します。独立系やノンバンク系ファクタリングと比較した場合の特徴を紹介しているため、ファクタリングの利用を検討している人は利用するファクタリング会社を選ぶときの参考にしてみてください。
銀行系ファクタリングの特徴
銀行系ファクタリングの特徴は、ノンバンク系ファクタリングと独立系ファクタリングのサービス概要との違いから把握することができます。まずは、それぞれの系統におけるファクタリングサービスの概要を確認してみましょう。
<ファクタリングサービスの概要 系統別一覧>
項目 |
銀行系ファクタリング会社 |
ノンバンク系ファクタリング会社 |
独立系ファクタリング会社 |
サービスの運営元 |
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取り扱いのあるサービス |
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買取の対象範囲 |
おもに高額債権 |
少額債権から高額債権まで |
少額債権から高額債権まで |
手数料 |
比較的低い |
高額になる可能性がある |
高額になる可能性がある |
手続きにかかる期間 |
1~3週間など長引く傾向にある |
即日~数日など短期間で完了する傾向にある |
即日~数日など短期間で完了する傾向にある |
たとえば、銀行系ファクタリングは、独立系やノンバンク系とは「取り扱いのあるサービス」が違います。独立系やノンバンク系ファクタリングと比べて、多様なサービスを提供しています。
また、銀行系ファクタリングは、独立系やノンバンク系とは「買取の対象範囲」が違います。独立系やノンバンク系ファクタリングと比べて、高額債権への対応をおもに行っています。
独立系やノンバンク系とのいくつかの違いから、銀行系ファクタリングの特徴として以下が挙げられます。銀行系ファクタリングが自社に適しているかを確認するためにも、ファクタリングの利用を検討している人は銀行系ファクタリングの特徴を押さえておきましょう。
運営元の信頼性が高い
銀行系ファクタリングの特徴として、運営元の信頼性が高いことが挙げられます。運営元である銀行や銀行のグループ会社は、金融庁の厳しい監督や規制のもとで金融サービスを提供していることから、違法契約が行われる可能性は極めて低いです。
ファクタリング事業の運営に関して特別な法令等の規制はなく、事業の開業にも法的な免許や届出は必要ありません。そのため、ファクタリング業者の中にはファクタリングと偽って貸付や融資に近い違法契約を行う悪徳業者が存在しています。
悪徳業者は手口が巧妙であるため、利用者は知らないうちに違法契約を行ってしまう可能性があります。銀行においては、銀行法や金融商品取引法などの法令遵守を義務付けられていることから、違法契約となる心配はなく安心してファクタリングを利用できます。
このことから、ファクタリングを利用する際に取引の安全性を重視したい人は、銀行系ファクタリングの利用が適しています。銀行系ファクタリングを利用することで、悪徳業者を警戒しなければならないという不安をなくすことが可能です。
取り扱うサービスの種類が多い
銀行系ファクタリングの特徴として、取り扱うサービスの種類が多いことが挙げられます。ファクタリングといえば資金調達を目的とした買取ファクタリングが代表的ですが、銀行系ファクタリングは幅広く金融業務を行ってきたノウハウを活かして多様なサービスを展開しています。
<銀行系ファクタリングで取り扱いのあるサービス>
サービス名称 |
概要 |
買取ファクタリング |
資金調達を目的としたサービス。 売掛債権を支払期日より前に現金化することができる |
保証ファクタリング |
貸倒損失の軽減を目的としたサービス。 売掛債権が貸倒れたときに保証金を受け取ることができる |
国際ファクタリング |
輸出債権の未回収リスク軽減を目的としたサービス。 輸出債権の回収を依頼でき、貸倒れたときには保証金を受け取ることができる |
一括ファクタリング |
手形決済の合理化を目的としたサービス。 手形取引における事務負担やコスト負担を軽減することができる |
でんさいファクタリング |
手形決済の合理化を目的としたサービス。 でんさい(電子記録債権)を活用し、一括ファクタリングと同様に手形取引における事務負担やコスト負担を軽減することができる |
たとえば、銀行系ファクタリングで取り扱うサービスのひとつに、保証ファクタリングがあります。ファクタリング会社と売掛債権の保証契約を結ぶことで売掛債権が貸倒れた際に保証金を受け取ることができるため、貸倒損失の軽減が可能になるサービスです。
また、銀行系ファクタリングで取り扱うサービスのひとつに、一括ファクタリングがあります。利用者と取引先、ファクタリング会社の3社で一括ファクタリング契約を結ぶことで、手形取引における手形振出の廃止と手形管理の事務負担やコスト負担などを軽減できるサービスです。
銀行系ファクタリングには買取ファクタリング以外のサービスがあるため、貸倒れリスクの軽減や手形決済の合理化を図りたい人は銀行系ファクタリングの利用を検討してみてください。リスクの軽減や決済合理化によって、安定した収益の確保や業務効率の向上が可能になります。
手数料を抑えられる
銀行系ファクタリングの特徴として、手数料を抑えられることが挙げられます。銀行は、資金調達コストや運営コストを抑えたファクタリングサービスの提供が可能であるためです。
銀行は、顧客からの預金や銀行間取引を活用して資金調達を行うことができます。預金や銀行間取引での資金調達は低コストで資金を集められることから、サービスを提供する際の手数料が低く設定されています。
また、銀行は幅広く金融業務を行ってきたノウハウやネットワークをファクタリングサービスの提供に活かすことができます。新たなシステムの導入や人員などに対するコストを抑えられるため、サービスを提供する際の手数料が低く設定されています。
このことから、ファクタリングを利用する際の手数料を抑えたい人は、銀行系ファクタリングの利用が適しています。銀行系ファクタリングを利用することで、手数料の支出による会社の利益圧迫を軽減することができます。
銀行系ファクタリングを利用する際の注意点
銀行系ファクタリングを利用することで、さまざまなニーズを満たすことや利用時の手数料を抑えることができますがいくつかの注意点があります。銀行系ファクタリングを利用する際の注意点として、以下が挙げられます。
<銀行系ファクタリングを利用する際の注意点>
- 少額債権では利用できない場合がある
- 銀行によって取り扱うサービスの種類に違いがある
- 利用者の信用力が低いと審査に落ちる可能性がある
- 今後の融資に影響が出る場合がある
銀行系ファクタリングを利用するかどうかは、注意点を踏まえた上で判断する必要があります。ファクタリングの利用を検討している人は、銀行系ファクタリングを利用する際の注意点を押さえておきましょう。
少額債権では利用できない場合がある
銀行系ファクタリングを利用する際は、少額債権では利用できない場合があることに注意しましょう。利用条件は銀行ごとやサービスの種類によって異なるものの、一定額以上の売掛債権を取引の対象に定めている銀行があるためです。
たとえば、保証ファクタリングの利用において、200万円以上の売掛債権が申し込みの対象であると定めている銀行があります。保証を依頼したい売掛債権が利用条件額に満たない場合、申し込みの対象外となり保証ファクタリングを利用することはできません。
銀行系ファクタリングは取引の収益性を重視する傾向にあるため、取引に応じる債権の下限金額を高めに設定しています。銀行やサービスの種類によって設定されている下限金額は異なるものの、100万円以下の債権の買取や保証には対応していない傾向にあります。
したがって、銀行が定める金額を下回る少額債権である場合は、銀行系ファクタリングを利用できません。独立系やノンバンク系ファクタリングであれば100万円以下の債権から対応しているところがあるため、少額債権の買取や保証は独立系やノンバンク系ファクタリングの利用を検討してみてください。
銀行によって取り扱うサービスの種類に違いがある
銀行系ファクタリングを利用する際は、銀行によって取り扱うサービスの種類に違いがあることに注意しましょう。独立系やノンバンク系ファクタリングに比べて取り扱いが可能なサービスの種類は多いものの、すべての銀行が全種類のサービスを提供しているわけではないためです。
たとえば、大手の銀行がおもに取り扱っているサービスの種類は、保証ファクタリングや国際ファクタリング、でんさいファクタリングです。一括ファクタリングや買取ファクタリングの取り扱いは少なく、買取ファクタリングは債権の種類が限定されている場合があります。
また、地方銀行がおもに取り扱っているサービスの種類は、一括ファクタリングです。保証ファクタリングや国際ファクタリングの取り扱いは少なく、買取ファクタリングに関しては銀行独自のサービスではなく業務提携先のサービスを紹介される場合があります。
このように、銀行系ファクタリングは、銀行によって取り扱うサービスの種類に違いがあります。取り扱いのあるファクタリングサービスに関しては銀行の公式サイトから把握することができるので、自身が希望するサービスの取り扱いがあるかを事前に確認しましょう。
利用者の信用力が低いと審査に落ちる可能性がある
銀行系ファクタリングを利用する際は、利用者の信用力が低いと審査に落ちる可能性があるため注意をしましょう。銀行系ファクタリングは、独立系やノンバンク系ファクタリングとは審査対象が異なるためです。
独立系やノンバンク系ファクタリングの審査対象は、おもに取引先や売掛債権の信用力です。取引先や売掛債権の信用力が高く回収が見込めると判断されれば、利用者の信用力が低い場合であってもファクタリングを利用できる可能性があります。
一方で、銀行系ファクタリングの審査対象は、取引先や売掛債権の信用力に加えて利用者の信用力も含まれます。利用者が債務超過に陥っている場合や税金の滞納がある場合には、ファクタリングの利用を断られる可能性があります。
審査基準はファクタリング会社によって異なるものの、銀行系ファクタリングは利用者の信用力も問われます。自社の経営状態に不安がある場合には、独立系やノンバンク系ファクタリングの利用を検討してみてください。
今後の融資に影響が出る場合がある
銀行系ファクタリングを利用する際は、今後の融資に影響が出る場合があるため注意をしましょう。ファクタリングの利用が、会社の信用力に影響を与える可能性があるためです。
信用力に影響を与える可能性が高まるのは、銀行系ファクタリングを継続的に利用して資金調達を行った場合です。銀行系ファクタリングは運営元が銀行であるため、ファクタリングを利用して頻繁に資金調達を行っていることが銀行内で共有されてしまうためです。
ファクタリングの継続的な利用が「資金繰りが厳しく経営状態の悪い会社」というマイナスの印象を与えることがあります。マイナスな印象が銀行内の信用格付けに影響を及ぼす可能性もあるため、銀行系ファクタリングの利用は銀行との今後の取引を考慮して検討する必要があります。
融資の可否は、財務状況や事業計画、担保や保証人の有無などから総合的に判断され決定します。銀行系ファクタリングの利用が必ずしも会社の信用力を低下させるわけではありませんが、会社の信用力に影響を与える要因となり得るということに留意しておきましょう。
まとめ
銀行系ファクタリングには「運営元の信頼性が高い」「取り扱うサービスの種類が多い」「手数料を抑えられる」などの特徴があります。銀行は金融庁の厳しい監督や規制のもと、幅広く金融業務を行ってきたノウハウを活かしコストを抑えたファクタリングサービスを提供することができるためです。
そのため、ファクタリングを利用する際に「取引の安全性を重視したい人」「資金調達以外の利用目的がある人」「手数料を抑えたい人」などは、銀行系ファクタリングの利用を検討してみてください。
ただし、銀行系ファクタリングを利用する際には「銀行によって取り扱うサービスの種類に違いがある」ことや「今後の融資に影響が出る場合がある」ことなどに注意する必要があります。銀行系ファクタリングを利用するかどうかは、注意点を踏まえた上で判断するようにしましょう。
この記事を書いたライター

ソラボ編集部
資金調達の可能性を無料で診断
8,000件の資金調達実績を持つSolaboの専門家が、融資や補助金など、事業課題に合わせた資金調達方法を提案します。
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