経営改善は、業績等の悪化を改善するための取り組みをさします。当記事では、経営改善が必要な場面や経営改善の手段について解説します。
売上や収益の減少など業績の回復について悩んでいる人は参考にしてみてください。
経営改善とは悪化した業績を改善するための取り組み
経営改善とは、売上や収益の減少等によって悪化した業績を改善するための取り組みです。
主な取り組み内容は、現状課題の洗い出し、コスト削減やターゲットとなる顧客の変更、営業および生産体制の変更など、自社が抱える課題に対して計画を策定して取り組みを行います。
経営者自身が経営改善に対する計画を策定することで、新たに経営改善が必要になった場合に迅速に対応ができるようになります。また、早期に経営課題に気づくことができるようになるため、業績悪化の予防にも繋がります。
経営改善のための取り組みは早めに取り組むことが大切です。売上や収益の減少に不安を感じている場合は、早めに経営改善に取り組みましょう。
経営改善を検討すべき場面
経営改善が必要な場面は、売上や収益の減少が見込まれる可能性のある場面となります。
たとえば、競合他社の台頭によって売上に変化がでてきたり、市場の動向等に大きな変化が生まれているタイミングなどが該当します。
【経営改善を検討すべき場面】
- 近隣に競合他社が台頭し、売上減少
- 過去に順調だった事業が近年赤字傾向
- 近年の消費嗜好の変化やコロナ禍による需要減少で資金繰り圧迫
- 大手との安売り競争による赤字が継続し、債務超過の状態
経営改善は、早めに取り組むことがもっとも重要であるため、ざまざまな情報から自社のおかれている状況を明確にしておくことが大切です。
競合他社が台頭したことで売上が減少した場合、周辺地域の顧客層の調査や、競合他社の製品や顧客層の分析、市場の縮小等の外部要因がないかを確認します。資金繰りが悪化した場合は、販売価格や作業工程の見直しなどを実施しましょう。
自社の顧客層を分析する際は、顧客管理システムの販売履歴や住所などで地域や年齢層などの顧客情報を得られます。競合他社の分析をする際は、会社のアンケート調査やレビューなどで情報収集できます。
市場の分析や消費者の動向調査は、政府の統計サイト「e-Stat 政府統計の総合窓口」を活用できます。 e-Statでは統計データが閲覧でき、主要指標である消費者物価指数や産業別の規模などのデータを取得可能です。
情報収集する際は、自社のシステムや政府の統計データなどを活用して、現状の課題を正確に洗い出しましょう。
経営改善の手段
経営改善の手段には、国や自治体による支援制度を活用する方法や、自身で経営改善計画をたてる方法があります。
経営改善をどの手段で行うかは事業状況によって異なるため、経営改善を検討している人は、自社に合った手段を選ぶようにしましょう。
【経営改善の手段】
・国や自治体の制度を活用する
・自身で経営改善計画をたてる
国や自治体の制度を活用する
経営改善には、国や自治体の制度が活用できます。おもに、中小企業庁が管轄の早期経営改善計画策定支援や経営改善計画策定支援などがあります。
【国や自治体の経営改善にかかわる制度】
・早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業)
・経営改善計画策定支援(405事業)通常枠・中小版GL枠
・収益力改善支援
・自治体の補助金や助成金 など
早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業)は、収益力の低下や資金繰りの悪化で経営に支障が出ることを予防するための支援制度です。早期経営改善計画を策定するためにかかる費用が最大2/3補助されます。
早期経営改善計画については、「早期経営改善計画とは?早期経営改善計画とは?流れやメリットとデメリットを解説」にて詳しく解説しています。
また、当サイトを運営するソラボでは、認定支援機関として、早期経営改善計画に関するサポートを行っています。
早期経営改善計画をご検討の方はご相談ください。
株式会社SoLabo公式サイト「お問い合わせ」フォーム
※経営改善サポートを選択して必要事項をご入力ください
対して、経営改善計画策定支援(405事業)は、借入金の返済負担や財務上の問題を抱えている中小企業および小規模事業者に対して、経営改善計画策定にかかる費用を最大2/3補助する制度です。
収支力改善支援は、収益力低下や借入増加のおそれのある中小企業を対象とした支援制度です。収益力改善計画策定にかかる費用は原則無料で、資金の補助制度はありません。
他にも、各自治体が管轄している補助金や助成金などが活用できます。たとえば、東京都の「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」の場合、既存事業の品質向上や新事業展開にかかる費用を最大800万円の助成がなされます。
どの支援制度も、申請のための条件が定められているため、活用を検討している人は、各制度の手引きや募集要項を確認してください。
自身で経営改善計画をたてる
制度や専門家に頼らず自身で経営改善計画をたてる場合は、経営改善の手順を確認しておきましょう。
【経営改善の手順例】
①経営ビジョンの確認 |
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②現状分析・課題の洗い出し |
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③課題解決策の検討 |
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④具体的なアクションプランの策定 |
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⑤数値計画の策定 |
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⑥資金繰りの検討 |
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参考:早期経営改善計画策定支援「収益力改善支援に関する実務指針」|中小企業庁公式サイト
たとえば、現状の分析で財務状況を確認する際は、営業利益率や営業運転資本回転期間を計算し、事業の収支や売上債権の回収状況などを確認します。営業利益率は「営業利益÷売上高」、営業運転資本回転期間は「売掛債権(※1)+棚卸資産-買入債務(※2)÷平均月商」で算出できます。
外部および内部環境の分析では、SWOT分析等を活用し、外部や内部の強みと弱み、脅威と機会を可視化します。自社の弱みや強みを把握することで、新たにターゲットとする市場や顧客を検討できます。
たとえば、内部環境の強みであれば、商品やサービスの価格帯など、顧客のアンケートや競合他社と比較して勝っている点を書き出します。外部環境の脅威であれば、物価の高騰や少子高齢化などの社会変化が原因で自社の不利になっている事柄を記載します。
SWOT分析をした後は、クロスSWOT分析でより詳しく問題点を分析して解決策を講じましょう。自身で経営改善計画をたてる場合は、現状の課題を明確化し、SWOT分析やクロスSWOT分析などのフレームワークを活用して有効な解決策を検討してみてください。
※1:売掛債権=売掛金+受取手形
※2:買入債務=買掛金+支払手形
専門家に相談することも検討する
経営改善を考えている事業者は、金融機関やコンサルタントなどの専門家に相談することもできます。金融機関やコンサルタント、税理士などの専門家は、独自で経営改善のためのアドバイスや、計画策定のサポートなどを行っている場合があります。
経営改善の取り組みの際は、財務やマーケティングなど専門の知識も必要です。経営改善の取り組みを検討している人は、自身が懇意にしている金融機関や顧問税理士など、身近な専門家に相談してみましょう。
当記事を運営する株式会社SoLaboは認定支援機関です。早期経営改善計画の策定に関するサポートも受け付けております。経営改善に関するお悩みをお持ちの方は、一度、お問い合わせください。
株式会社SoLabo公式サイト「お問い合わせ」フォーム
※経営改善サポートを選択して必要事項をご入力ください
まとめ
経営改善とは、悪化した企業の業績を改善する取り組みをさします。経営改善の手段には、国や自治体、専門家などによる支援制度を活用する方法や、自身で経営改善計画をたてる方法があります。
売上や収益の減少や資金繰りに困っている事業者は、早い段階で経営課題を明確にし、経営改善に取り組みましょう。国や自治体の支援制度を活用する際は、必ず募集要項で申請の条件を確認してください。