会社設立時の初期費用や運転資金の負担を軽減したい人は、自治体や国の補助金や助成金を活用できます。補助金や助成金には、創業して間もない個人や創業5年以内の事業者など、それぞれ申請できる対象が定められています。
補助金や助成金によって使える経費や補助額も異なるため、会社設立時に補助金や助成金の活用を考えている人は、申請の対象者や活用の条件を確認しましょう。
当記事では、会社設立時に使える補助金や助成金を使える経費ごとに解説します。
会社設立時の資金調達に、自治体の補助金や助成金を活用できます。自治体の補助金や助成金には、初期費用や事業実施に必要な経費に使えるものがあります。
会社設立時の資金調達に、自治体の補助金や助成金を活用できます。自治体の補助金や助成金には、初期費用や事業実施に必要な経費に使えるものがあります。
たとえば、会社設立時の登録免許税や定款認証手数料が補助される補助金や助成金があります。自治体によって補助額は異なりますが、申請の条件を満たすことで、初期費用の負担を軽減できます。
また、事業に必要な経費が補助される補助金や助成金もあります。自治体によって補助対象となる事業内容や経費項目が異なるため、申請の際は、必ず募集要項を確認しましょう。
自治体の補助金や助成金を活用することで、会社設立の経費の負担を軽減できます。補助金や助成金の活用を考えている人は、各自治体の公式サイトでの公募の情報を確認してみてください。
登録免許税や定款認証手数料を補助する補助金や助成金
自治体の管轄している補助金や助成金には、登録免許税や定款認証手数料を補助するものがあります。特定創業支援等事業という自治体の支援を受けた人が対象となる補助金で、自治体ごとに対象者の条件は異なります。
【初期費用を一部補助する制度の例】
項目 |
|||
---|---|---|---|
対象者(※) |
|
|
|
補助額 |
株式会社:一律 175,000円 |
登録免許税:上限75,000 |
株式会社:一律75,000円 |
経費内訳 |
【株式会社】 |
【株式会社】 |
登録免許税額のみ |
※その他申請の条件を満たす必要あり(詳しくは各公式サイトの交付要綱を確認)登録免許税額のみ |
たとえば、松戸市新規会社設立登録免許税補助金は、松戸市内で会社を設立することが対象者の条件のひとつです。登録免許税と定款認証手数料をあわせて最大125,000円の補助を受けられます。
また、令和6年度福岡市新規創業促進補助金の場合、補助される経費は登録免許税のみです。自治体によって補助される経費や申請の条件が異なるため、申請予定の人は、必ず補助金や助成金の交付要綱の確認をしましょう。
会社の設立にかかる初期費用を抑えたい人は、自治体が管轄する補助金や助成金を活用できます。申請を考えている人は、設立を検討している自治体の公式サイトで、会社設立時に使える補助金や助成金がないか確認してみてください。
特定創業支援等事業を受けないと登録免許税や定款認証手数料が補助されない
自治体の登録免許税や定款認証手数料が補助される補助金の対象者となるには、特定創業支援事業を受ける必要があります。特定創業支援等事業は、市区町村と商工会や金融機関などの支援機関が連携して、会社設立を目指す事業者を継続的に支援する取り組みです。
【特定創業支援等事業のしくみ】
参考:「会社設立時の登録免許税の軽減について」|中小企業庁公式サイト
特定創業支援等事業の支援を受ける際は、まず、実施機関へ特定創業支援等事業の申し込みをする必要があります。その後、市区町村や支援機関が主催する創業にかかわるセミナーや事業計画の作成のサポートなどの支援を受けることで、事業修了となります。
事業終了後は、特定創業支援等事業の修了証明書を発行します。登記申請の際に修了証明書を提示することで、登録免許税が軽減されるためです。
また、特定創業支援等事業の修了証明書を受けてはじめて、登録免許税や定款認証手数料が補助される補助金への申請が可能となります。さらに、自治体によっては、特定創業支援等事業を受けることで、補助金や助成金以外に融資も優遇される場合があります。
特定創業支援等事業を受けることで、登録免許税の軽減措置を受けられます。自治体の補助金や助成金などの融通措置が受けられるため、会社設立時に経費の負担を軽減したい人は、各自治体の特定創業支援等事業を活用してみてください。
導入する設備や事業実施に必要な経費が補助される補助金や助成金
会社設立時の設備導入費や事業の経費負担を軽減したい人は、各自治体の創業にかかわる補助金や助成金が使えます。申請の条件は、補助金や助成金の目的によって異なるため、申請予定の人は、必ず募集要項を確認しましょう。
【設備や事業実施に必要な経費に使える自治体の補助金や助成金の例】
【対象者】
【補助額】 【経費】
参考:募集要項 |
|||
【対象者】
【助成額】 【経費】
参考:交付要綱第3条_別表 |
|||
【対象者】
【助成額】 【経費】
参考:募集要項 | |||
【対象者】
【助成額】
1年目:15 万円/月 【経費】
参考:募集要項 |
|||
【対象者】 【補助額】 【経費】
参考:募集案内 |
|||
※申請するには上記以外の条件も満たす必要あり(各募集要項参考) |
補助金や助成金はすべて後払いです。それぞれの補助金や助成金で決められた事業を実施し、実績を報告した後に支払われます。
そのため、事業にかかる費用は一旦すべて自己負担する必要があります。申請してすぐに受け取れるものではないことに留意して、申請を検討してください。
なお、補助金や助成金には審査があります。補助金や助成金の要件を満たす事業計画を作成し、審査後に交付決定通知を受け取ることで、補助金や助成金を受け取る資格を得られます。申請をすれば、誰でも資金を受け取れる制度ではないことに留意しましょう。
女性や地方で創業する人に特化した補助金や助成金
会社設立に使える補助金や助成金には、女性や地方で創業する人に特化したものもあります。創業時の経費負担を軽減できる可能性があるため、女性で創業を考えている人や地方へ移住して創業する予定の人は、申請を検討してみてください。
【女性の創業やUIターンの創業に使える補助金や助成金の例】
【対象者】
【助成額】
1年目:15 万円/月 【経費】
参考:募集要項 |
|
【対象者】 【支援額】 【経費】 参考:交付要綱 |
|
【対象者】 【助成額】 【経費】 |
たとえば、若手・女性リーダー応援プログラム助成事業の場合、開業する店舗の改装費や設備の購入費が助成されます。店舗の賃料も3年目まで3/4助成されるため、運転資金の負担軽減にもなります。
また、移住支援金は、関東圏から地方へ移住する際に支援金を受け取れる制度です。起業によって移住支援金を受け取るには、移住前に執行団体から「起業支援金」の交付決定を受け、移住後1年以内に市へ移住支援金の申請をすることで支援金を受け取れます。
募集内容や対象地域は、各自治体によって異なります。申請を考えている人は、募集要項や関連資料で申請対象となる条件を確認してから、申請を検討してください。
会社設立時に使える国が管轄する補助金や助成金
会社設立を検討している人は、経済産業省や中小企業庁が管轄する補助金も活用できます。小規模事業者持続化補助金は販路開拓や業務の効率化、IT導入補助金は設備の導入に活用できる制度です。
【経済産業省や中小企業庁が管轄する補助金の例】
【対象者】 【申請ごとの補助上限額(補助率)】
【経費】
参考:第15回公募要領 |
【対象者】 【申請ごとの補助上限額(補助率)】
【経費】
※申請する枠によって異なる 参考:資料ダウンロードにある各枠の公募要領 |
小規模事業者持続化補助金には創業枠があり、特定創業支援等事業を受けた人が対象の申請枠です。創業に必要な広報費や機械装置費が200万円補助され、創業時の経費負担を軽減できます。
IT導入補助金は、事業を営む法人または個人が対象で、創業後1年以上経過している事業者が対象です。おもに顧客管理や会計ソフト、インボイスに対応した受発注ソフトなど、業務効率の向上やインボイスへの対応によるITツールの導入が可能です。
IT導入補助金は、申請する枠ごとに公募回数が異なりますが、令和6年5月7日現在も公募が実施されています。小規模事業持続化補助金は、第15回の申請受付は終了していますが、令和6年能登半島地震に対応した災害支援枠のみ申請を受け付けています。
詳しい公募のスケジュールが知りたい人は、それぞれの公式サイトを確認してみてください。
まとめ
会社設立を考えている人は、自治体や国が管轄している補助金や助成金が活用できます。申請に必要な条件を満たすことで、初期費用や運転資金の一部が補助され、会社設立にかかる経費を軽減できます。
ただし、補助金や助成金は後払いの制度であるため、事業にかかる経費は一旦自己負担する必要があります。事業にかかる経費を自身で負担することが難しい人は、融資の活用も検討してみてください。