商品などの販売価格を見てみると、それぞれ金額が消費税込と消費税別で表記されているものがあることにお気づきかと思います。
売上の表記を税込で処理するのと、税抜で処理するのとでは、どう違いがあるのでしょうか、またどちらがお得なのでしょうか?今回はその違いについてご紹介します。
法人税の計算では税抜処理のほうが若干お得
消費税の課税については、税込、税抜のどちらの処理でも変わりません。
しかし、法人税の計算では税抜処理のほうが若干お得になります。
消費税は仕入れのほか、資産の取得や経費等にもかかってきます。
これらの消費税を会計処理する方法には、税込処理と税抜処理の2種類あり、どちらを選択するかは会社の自由です。
会社の経理においては、税込処理でも税抜処理でも消費税の申告税額は同じになります。
一方、法人税の計算においては、若干の差異が出てきます。
法人税法では、課税売上について税込処理を採用した場合には、資産の取得や経費等についても税込処理が強制されます。
つまり、すべてについて税込処理となります。
一方、税抜処理を採用した場合には、資産の取得、経費についてそれぞれ税込処理と税抜処理を選ぶことができます。
少しでも節税したいのであれば、税抜処理を選択したほうがいいでしょう。
交際費の限度額が変わる
税込処理か税抜処理のいずれかを選ぶことで有利不利が生じる項目として、交際費が挙げられます。
交際費を損金に算入するには限度額があります。
税込処理にするか税抜処理にするかで、この限度額に違いが生じるのです。
経費について税込処理をしている場合には、交際費の金額に消費税を含むことになります。
一方、税抜処理を採用している場合には、交際費の金額に消費税を含まなくてよいことになります。
つまり、税込処理では消費税の分だけ交際費の金額が多くなってしまいます。
税抜処理ならば固定資産取得の消費税が費用に計上できる
また、固定資産の取得に関しても税込か税抜かで変わってきます。
固定資産の取得について税抜処理を採用している場合には、その固定資産の取得にかかる消費税は、その取得の事業年度の費用に計上できます。
対して、税込処理を採用している場合には、その固定資産の取得にかかる消費税は固定資産の取得価格に含まれてしまいます。
その事業年度の費用にはならず、減価償却費として何年かかけて償却することになります。
以上から見ても、法人税の計算上では、税抜処理のほうが若干お得になります。