所得税の仕組み
まず、初めに我が国の所得税の税率について解説します。
皆さんご存じの通り、我が国の所得税は、「超過累進課税」方式が採られています。
すなわち、所得が高ければ高いほど、適用される税率が高くなるのです。
現状では、以下の表のようになっています。
そして、上記の「課税される所得金額」は、個人単位で適用されることになります。
所得を分散することによる節税効果
上記のように、個人単位で税率が適用されるため、同じ金額の所得を1人で受取るよりも、複数で受取る方が、税負担は低くなってきます。
家族従業員がいる場合は、仕事に見合わない過大な金額を受取らなければ、給与として所得を分散することが可能です。
個人事業と法人の場合の家族従業員に対する給与支払の相違点
個人事業の場合には、白色申告の専従者給与や、青色宣告の青色専従者給与の制度がありますが、半年以上事業に専従することが求められ、白色専従者は50万円(配偶者は86万円)が上限で、青色専従者は事前届け出が必要という制約があります。
法人の場合は、上記のような制約はなく、仕事に見合った給与を支払っていれば、金額の制約や、従事期間の制約もありません。
配偶者控除、扶養控除に入るか否か
個人事業の場合、専従者給与等を支払っている場合は、その家族は配偶者控除や扶養控除の対象にはなりません。
これは、金額の大小に関わらず、1円でも支払ってしまえば、もうそれで配偶者控除等は受けることができないのです。
一方で、法人の場合は、家族従業員に対する給与の額が、年間103万円以下(他の所得がない場合)であれば、配偶者控除や扶養控除の対象とすることができます。
モデルケース
それでは、モデルケースで、家族従業員への給与支払による節税効果を検討します。
会社の利益を1,000万円とします。
1.社長1人の場合
2.法人成りし、社長と妻で利益を分散する場合(社長700万円、妻300万円)
上記のケースでは、社長1人で利益をすべて受取るときと比較して、妻に利益を分散した場合、60万円弱の税負担の減少が実現しました。
このように、利益を家族で分配して受取ることができれば、税負担は下がってきます。
但し、もちろん、働きに応じた分を給与として分配しなければ、過大役員報酬、過大給与として、経費から否認されてしまう可能性がありますので、その点だけはご注意ください。
いかがでしたでしょうか。
法人成りをする場合には、家族で利益を分配することが可能か、是非、検討してください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。