運送業の資金繰り改善方法を調べていく中で、ファクタリングという方法が挙げられているのを目にした人もいますよね。その際、なぜファクタリングが運送業の資金繰り改善方法に挙げられているのか、理由を知りたいと思った人もいるでしょう。
ファクタリングが運送業の資金繰り改善方法として挙げられる理由は、運送業が抱える資金繰りの問題に対応できるためです。運送業の「売掛金の支払いサイトが長い」「突発的な支出が発生しやすい」という資金繰りの問題に対応でき、改善を図れる可能性があるためです。
当記事は、ファクタリングが運送業の資金繰り改善方法に挙げられる理由を解説します。ファクタリングを利用する際の注意点も説明しているので、運送業の資金繰り改善方法にファクタリングを検討したいという人は参考にしてみてください。
ファクタリングは運送業が抱える資金繰りの問題に対応できる
ファクタリングは運送業が抱える資金繰りの問題に対応できます。資金繰りに対して以下の問題を抱えている場合に、改善を図れる可能性があります。
【運送業が抱える資金繰りの問題 一例】
- 売掛金の支払いサイトが長い
- 突発的な支出が発生しやすい
運送業が資金繰りに苦しむ背景にはさまざまな要因があります。その中で、運送業が資金不足に陥ってしまう要因に「売掛金の支払いサイトが長い」ことや「突発的な支出が発生しやすい」ことが考えられ、資金不足を改善するためには資金調達が必要となります。
資金調達には、融資や補助金などさまざまな方法がありますが、運送業の資金繰り改善方法として挙げられるのがファクタリングです。ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる特徴があるため、運送業が抱える資金繰りの問題に対応でき、資金繰り改善を図れる可能性があるためです。
なお、運送会社の規模や経営状況によって抱える問題が異なることから、資金繰り改善方法として全てにファクタリングが当てはまるとは限りません。運送業を営む人で「長い支払いサイト」や「突発的な支出」への問題を解決したい人は、ファクタリングでどう改善を図れるのか押さえておきましょう。
ファクタリングは売掛金の支払いサイトを短縮することが可能
ファクタリングは売掛金の支払いサイトを短縮することが可能です。ファクタリングというサービスは、会社が保有する回収前の売掛金をファクタリング会社などに売却して、支払期日前に現金化をする資金調達方法だからです。
国土交通省の「トラック輸送における実態把握調査」によると、トラック運送取引の現状は、元請事業者から複数の下請事業者に請負取引が行われる多重下請構造となっています。下請け運送業者は、売掛金を回収できるまでの期間を指す支払いサイトを、下請法の規定60日近くと長く設定される場合もあり、先行する支払いに対応できず資金繰りが厳しくなります。
「支払いサイトが長い」ことへの解決策として、ファクタリングがあります。ファクタリングで支払いサイトを短縮させることで、調達した資金を取引先や従業員への給与の支払いに充てることができるため、運送業の資金繰り改善を図ることが可能になります。
なお、売掛金の支払いが手形支払の場合でもファクタリングは可能です。手形をファクタリングする場合、金融機関やリース会社など売却先が限られますが、手形支払とされている下請け運送業者の人は、90日とより長い支払いサイト短縮することが可能になるため、参考にしてみてください。
ファクタリングは突発的な支出が発生した場合においても早期に資金調達が可能
ファクタリングは、突発的な支出が発生した場合においても早期に資金調達が可能です。銀行融資などに比べ、資金調達にかかる期間が短く数日で現金化が可能になるためです。
ファクタリングが銀行融資に比べ数日で資金調達が可能となる理由に、利用時の審査対象の違いが挙げられます。ファクタリング会社は売掛金を買い取る際、売掛金が確かに回収できるかを重要視するため、支払い義務のある売掛先企業や売掛金を審査の対象とします。
銀行融資と比べ、利用者の経営状況や利用の目的などが深く問われません。また、担保や保証人が不要で審査項目が減ることから、数日で資金調達が可能になり、事故や車両不具合など突発的な出費が発生しやすい運送業においても、早期に資金繰り改善を図れる可能性があります。
なお、なるべく早期に資金調達が行いたい運送業の人は、ファクタリングの申込方法や契約方法を上手く選択するとよいでしょう。申込をオンラインで行い、利用者とファクタリング会社の2社間で行う契約方法とすることで、より早期に資金調達を行うことが可能となるため参考にしてみてください。
ファクタリングは資金繰りを一時的に改善したい場合に検討するとよい
ファクタリングは資金繰りを一時的に改善したい場合に検討するとよいでしょう。運送業者が以下の注意点に留意せずファクタリングを利用した場合、かえって資金繰りが悪化することになってしまうからです。
【利用する際の注意点】
- 銀行融資などに比べ手数料が高い
- 違法業者が存在する
ファクタリング事業推進協会によると、現在のファクタリング手数料相場は2~15%となっており、銀行融資の貸出平均金利0.5~1.6%に比べ高い傾向にあります。運送業は、売上高よりも車両や燃料費の負担の割合が大きいため、継続的にファクタリングを利用してしまうと高い手数料の負担が加わり赤字となってしまう可能性があるからです。
また、運送業がファクタリングを利用する際には違法業者に注意します。ファクタリング会社の中には、ファクタリングを装い違法な貸付契約を行う違法業者が存在し、不当な利息の請求によって、毎月支出する燃料費や従業員の給与のための資金が減額しさらに資金繰りが悪化してしまうためです。
運送業の資金繰りにおいてファクタリングは、売上はあるが手元の現金が不足している場合に検討します。高い手数料がかえって資金繰りを悪化させることから、突発的な支出などで手元の現金が不足した場合の一時的に留め、継続的な利用は避けましょう。
まとめ
ファクタリングが運送業の資金繰り改善方法に挙げられている理由は、運送業が資金繰りに対して抱える「売掛金の支払いサイトが長い」ことや「突発的な支出が発生しやすい」という問題に対応できるためです。
下請け運送業者の場合、売掛金の支払いサイトが60日や90日と長く設定される傾向にありますが、ファクタリングを利用することで支払いサイトの短縮化が図れます。また、銀行融資などに比べ早期に資金調達が可能なため、事故など突発的な支出が発生した場合においても、資金繰り改善を図ることが可能になります。
なお、ファクタリングを利用する際は「銀行融資などに比べ手数料が高い」「違法業者が存在する」という注意点に留意します。運送業の資金繰りがかえって悪化することのないよう、売上はあるが手元の現金が不足している場合などの一時的な利用に留めるとよいでしょう。