融資の審査は、社会人となって久々に感じる緊張感ではないでしょうか。融資の審査に落ちたからと言って人生が終わるわけではありませんが、あなたが思い描く事業計画がスムーズにいかないのは悔しいですよね。
今回の記事では、毎月70件の融資面談に関わる当社(ソラボ)が知っている「日本政策金融公庫の審査期間」についてお伝えしていきます。
1.日本政策金融公庫の審査期間の平均
審査期間の平均は、初めて融資を受ける方で土日祝を含めて2週間~3週間です。公庫で2回目以降の追加融資を受ける場合で1~2週間。最近のクレジットカードの審査は最短で5分なんてカードもありますので、その審査に比べるとかなり長く感じますよね。日本政策金融公庫の審査はクレジットカードと違い、人間が資料を見ながら審査をしています。(クレカの場合はコンピュータがスコアリング審査をしています)ですので、その分審査期間が長引きます。
日本政策金融公庫で借りられるお金(融資金額)は一般的なクレジットカードでショッピングする際の限度額よりも高額で、最低で200万円~最高で1,000万円(初回の場合)ぐらいです。この金額を利率2%前後で貸す訳ですから、貸す側(日本政策金融公庫)としても慎重で丁寧な審査を行うのですね。
2.審査が長引く場合はこんな場合
①日本政策金融公庫の融資担当者が単純に忙しい
一般的な企業に繁盛期と閑散期があるように、日本政策金融公庫にも忙しい時期とそうではない時期があるようです。「日本政策金融公庫」は日本政府が100%出資してできた政策金融機関ですが、正式名称は「株式会社日本政策金融公庫」となり、扱いは一応会社です。(※財務省所管の特殊会社です)
以下のグラフは、筆者が日本政策金融公庫の業務統計年報平成30年版(https://www.jfc.go.jp/n/company/national/pdf/g_toukeinenpo_h30.pdf)の2ページの2017年の貸付実績件数をグラフにしたものです。これを見れば、日本政策金融公庫が何月に融資をたくさん実行しているかを知ることができます。
4月と10~12月が何となく多いような気がしませんか?4~12月の合計件数が30万2,646件でしたが、4月はその中で39,349件、全体の13%でした。これに対し12月は46,794件で15%。この期間で最も融資の実行件数が多くなっています。
これとは逆に、7月と9月は件数が少なめになっています。あなたが融資を申し込む時期が12月や4月の場合と7月・9月の場合では若干、融資担当者の忙しさも変わってくるのではないでしょうか。
②事業タイプが珍しく、これまで融資の実績があまりないケースと判断された
融資の担当者は事業に関して経験豊富で、実際にその事業に携わったことがなくても該当の事業にどのぐらいお金がかかるのをよく把握しています。例えば、建築業で開業したい人が50万円の融資を申し込んだ場合は「この金額で足りないでしょ」と突っ込むでしょうし、逆にほぼ資金がかからないアフェリエイト業で2,000万円の融資を希望した場合は「いやいや、こんなに必要ないでしょ」と一蹴するでしょう。
そんな風に経験豊富な融資担当者でも、世の中的に新しいビジネスモデルの事業を把握するには少々時間がかかります。今では当たり前のように取引されているネット通販への融資だって、最初はどのように収益化しているのか把握するため、融資の審査に時間がかかったものです。
あなたがこれまでない全く新しいビジネスを行うのであれば、融資担当者が理解しやすいような資料も付け加えましょう。審査時間も短くなる可能性があります。
③【よくある】書類に不備がある
実際に見聞きしたケースで、借入申込書の文字が汚くて読めない、というトラブルがありました。融資担当者の方も精一杯読もうとするのですが、これは0なのか9なのか?と判別不能のため、結局電話をかけて確認し、審査期間が長引いてしまいました。
書類審査で書類に不備があるのは致命的です。焦る気持ちは分かりますが、丁寧に不備ない書類が最も審査期間を短くします。
3.審査が長いと必ず落ちる?
①審査期間が長くなる原因が思いつくなら、影響はある
この他にも、審査が長引くケースはあります。例えば、融資担当者にワザとではないけれど本当のことを言っていなかった場合や、ウソをついていた場合です。「資料には融資申込者名義の担保があると言っていたけど、調べてみたら奥さん名義だったよ!」なんて事や「電話口では自己資金が300万円あると言っていたけど、通帳コピーをみたら10万円しかなかったよ!」なんて事も。
そんな場合は、適当な事業者だと思われ審査に影響するかもしれません。
②平日の後半に面談を受けると審査は長めになる
審査が長引けば必ず落ちるというわけではありません。日本政策金融公庫は平日9~17時が営業時間ですので、金曜日に面談を受けた場合と月曜日に面談を受けた場合では必然的に審査期間は変わります。
4.審査結果が気になる!自分から公庫へ電話をしてもイイ?
結論から言えば、あなたが日本政策金融公庫へ直接申込みをしたのであれば、審査結果が来るまで待つことです。平均で2~3週間といっても、長ければ審査にひと月かかることもあります。何か理由があっての審査期間中ですので、審査を早くしてくれと言ったところで「焦っている事業者」という烙印を押されて損をしてしまうだけです。
例えば、面談から1か月以上経過するのに連絡が来ない、という場合であれば「あとどれぐらいかかりますか?」と確認電話をすることは問題ないと思います。
5.審査結果は郵送で来る!普通郵便か書留か
審査結果は郵送で【速達】で届きます。審査期間が長いけれど、審査が終わったら即!結果を教えてくれるのですね。審査に落ちた場合も、「この度は意に添えぬ結果となりました」というような内容の書類が到着します。融資に通った場合は、そのままでは融資は実行されません。同封されている書類に記入し、返送後、3営業日後ぐらいにあなたの指定した口座にお金が振りこまれる(着金する)という流れです。
まとめ
日本政策金融公庫の審査の期間は、初めて公庫から融資を受けるなら余裕をみて1か月を見ておけば問題ありません。
審査を早めることはできませんが、書類に不備がないように注意すれば、無駄に審査期間が長くこともなくなります。