梅雨が近づいてくると、だんだん暑くなって、湿度も高くなり
「ここらで冷房の効いた涼しい飲食店にでも行って、
景気づけに一杯やりたいなぁ…。」
なんて、ついつい考えてしまいますよね。
事業を営んでいると、得意先を接待したり、
また、饗応とまではいかなくても
ちょっとした食事などを御馳走したりする機会も少なからずめぐってきます。
さて、「飲食費の5,000円基準」という言葉をお聞きになったことはございますか?
飲食費の5,000円基準について
これは、平成18年度の税制改正で導入された、
「1人当たりの飲食代が5000円以下の経費については所定の書類を保存することを条件に、
いわゆる「交際費」から除外してもよい」という内容を指しています。
別の言い方として、「少額交際費」という言葉で表現されたりしています。
ある一定規模以下の会社にとっては、1事業年度のうち600万円までの交際費のうち、
10%は経費としては認められず無駄になってしまいますので、
可能であれば交際費以外の経費で処理したいところでしょう。
今回は、この「少額交際費」についてお話してみたいと思います。
いわゆる少額交際費として経費で落とせる条件として、
「一人当たり5,000円以下の一定の飲食費」が条件となっています。
これは、1人当たりの飲食費のうち5,000円相当額を控除するといった制度ではないので、
もし仮に1人当たりの金額が5,000円を超えてしまった場合、
5,000円を超える部分が交際費に割り振られるのではなく、その費用の全てが「交際費」となってしまいます。
ところで「飲食」というと、どういった状況や形態での飲食が考えられるのでしょうか?
5,000円以下であれば、ビアガーデンや焼き鳥屋での一杯でも、”少額交際費”として処理できるのでしょうか?
通常「飲食」というと、従業員等が得意先等に対して行う接待などの際に、
従業員自らも一緒に飲食するシチュエーションが考えられます。
ただし飲食行為だけに限っているわけではなく、「飲食その他これに類する行為」と国税庁HPでは規定されています。
但し、1人当たり5,000円以下の飲食費であれば全て〝少額交際費〟に相当するわけではありません。
例えば、景気づけに社内で飲み会を開いた場合。
これは会議費や福利厚生費に該当するものを除き、少額交際費にはあたりません。
少額交際費には、「社外の者に対する飲食費等」のみが対象となるからです。
また、得意先へ手土産を購入し渡した場合、手土産の合計を5000円以内に収めても、
この分の経費は小額交際費としては認められません。
少額交際費として認められるのは、あくまで〝1人当たり5,000円以下の飲食費〟になるからです。
(なお、消費税の経理処理を「税込経理方式」にされている法人にとっては、税込で1人あたり5,000円、
「税抜き経理方式」にされている法人では、税抜きで5,000円が基準となりますので、この点ご注意ください。)
少額交際費として認められるのに必要な4つの内容
また、少額交際費は、以下の内容が全て書かれた書類を保存している場合に限り、認められることになっています。
実際のところは、飲食店などからいただく「領収書」の裏面や空白面などに、
上記2.と3.を記入し保管する形が多いかと思います。
領収書には必ず、領収を受けた「年月日」や、「金額」「飲食店等の名称」「住所」が
記載されてあることになっているからです。
このように、少額交際費として認められるためには様々な規定があるのですが、この規定を逆手にとり、
「じゃあ規定通りであれば少額交際費として認められるんだよね?」と、
ついつい悪知恵を働かせてしまいがちではありますが、これは税務調査では結構チェックされるところです。
例えば、飲食等に参加した「人数」を水増ししたような場合や、1回の飲食代の領収書を分割してもらった場合など。
税務当局側では、「飲食等を行った店の”平均的な飲食代金”や、接待などを行った相手先との”関係性”などから
これらは容易に把握できるようです。
こうなると税務調査では、当然ながら重加算税の対象になる可能性が高くなります。
仮に従業員個人の判断で「参加人数の水増し」などを行ったとしても、接待という行為の性質上、
会社ぐるみで不正行為が行われたとみられてしまう可能性が高くなるのです。
しかし会社の経理担当者が実際に領収書や明細書などを見て、接待を行った参加人数が正確であるか否か…
などを確認するのは難しいところではありますよね。
例えば接待などを行った社内の参加者の氏名を記載する欄を明細書に設けるなど、
常に正しい報告が行われるような社内でのルール作りも必要になるかと思います。