会社設立して事業を行う法人や個人事業主として事業を始める方が資金調達する際、頼りになるのが「日本政策金融公庫」です。
日本政策金融公庫(新創業融資制度)の基準金利(2020年9月現在)は2.46%と、カードローンなどに比べると低金利です。準備内容次第で融資を受けられるチャンスがあります。
しかし、計画性のみえない金額で融資を申し込んでしまえば、失敗に終わります。
そこで今回は、日本政策金融公庫で融資を受ける際、借入金額はいくらにすれば良いのか、借入希望額を通すためのポイントを解説します。
1.<創業融資の場合>融資金額は1,000万円以内で考えよう
「これから事業を始めたいのですが、いくら融資を受けることができますか?」という質問をよくいただきますが、個人ローン(カードローンや住宅ローン)と事業融資(創業融資)では考え方が異なります。
カードローンは総量規制により年収の3分の1以内で借入することができます。住宅ローンであれば年収の7~8倍以内と言われています。
一方、事業融資(創業融資)は事業にいくら必要なのかという点とその金額が申込者の状況に見合っているのかを総合的に審査し、最終的に金額が決まります。
そのため、いくら融資を受けられるのかについては一概に言えませんが、1,000万円以内に収まることが多いです。
例えば、政府系金融機関である日本政策金融公庫では、「新創業融資制度」というこれから創業する方(または事業開始後税務申告を2期終えていない方)向けの融資制度を準備しています。法人だけでなく、個人事業主でも利用できます。
通常、創業後間もない事業者は、実績が少なく、信用力もないため、民間金融機関から直接融資を受けることは難しいです。そこで、民間金融機関の支援の手が届かない、中小企業や創業者を支援するために、日本政策金融公庫では、創業者でも利用しやすい融資制度を設けているのです。
新創業融資制度の融資限度額は、3,000万円(うち運転資金1,500万円)と定められており、申込み要件は、以下の通りです。
- 新たに事業を始める、または事業を始めて税務申告して2期以内である(税務申告なしはNG)
- 融資希望額の1/10以上の自己資金を持っている(1,000万円の融資を申し込むのであれば、最低100万円を準備する必要があります)
上記の申込み要件が設定されているため、「自己資金はないが、3,000万円の資金を借りたい」という場合は利用することができません。利用できるかどうかは、自己資金の有無にかかっているのです。
また、日本政策金融公庫の融資は主に次の5つの要素で審査の可否が決定されます。
- ①自己資金の額(銀行通帳で確認できる定期的に貯められた預貯金がどれぐらいあるのか)
- ②現状の借入額(どれくらい借入があるのか、返済は期日にできているか、日本政策金融公庫から借りたお金をしっかり返済できるか)
- ③事業計画(きちんと収益を上げられそうな事業であるか、収益の根拠はあるか)
- ④あなたの事業経験(創業する事業に対して過去に勤務経験があるか(未経験ではないか)、事業に役立つ資格や受賞歴などはあるのか)
- ⑤信用情報(公共料金の支払いや、クレジットカードの返済の遅延がないか、過去に債務整理や自己破産をしているかどうか)
上記の要素を加味して、当サイトではいくらの資金が調達できるか無料診断ができます。
2.<運転資金の場合>融資金額は月商の3か月程度が目安
すでに事業を行っている方で融資を考えている方もいらっしゃるでしょう。
資金繰りの改善や従業員の雇用などを考えている場合、運転資金として融資を受けることになります。
事業を行っている方は前期の確定申告(または決算書)で主に審査され、どのくらい融資が受けられるかが決まります。今期事業が大幅に拡大しており、売上が伸びているという場合もあるでしょう。もちろん考慮してもらえますが、まだ期中のことなので今期の売上で判断することは難しいといえます。
そのため、基本的には前期の確定申告の数字がベースとなります。
そこで、借りられる可能性がある金額の目安としては月商(1か月の売上)の3か月分程度です。例えば、月商が100万円であれば、300万円となります。しかし、業種や資産・借入状況などにより一概には言えませんので、ご注意ください。また、もう1店舗を出店したい、従業員が増えたことで事務所を移転したい、車両を購入したいという設備資金で融資を受けたいという方もいらっしゃるかと思います。基本的には運転資金と同様確定申告を中心に審査され、設備を導入したことによる今後の売上予測(事業計画)も重要なポイントとなります。合わせて設備の見積もりも必要です。
運転資金と同様に業種や資産・借入状況などにもよりますので、「この設備を購入したいと考えているが、融資を受けることができるのか」と専門家に一度相談してみましょう。
3.<追加融資の場合>既存融資の返済状況が重要
最初に融資を受けた金額の3割程度を期日通りに返済することで、返済した金額の融資を再度受けることはできるでしょう。
例えば1,000万円の融資を受け、300万円を返済した段階で、追加融資として300万円の融資を受けられるでしょう。+αの融資を受けたいと考えている場合には確定申告で業績の改善・向上が求められます。
追加融資については、当サイトの以下の記事も是非あわせてご覧ください。
4.借入希望額を通すための3つのポイント
(1)創業であれば、自己資金をより多く準備する
自己資金の準備が不足していたために、希望する金額を借りることができなかった方が多くいらっしゃいます。そのため、なるべく多くの自己資金を準備しましょう。貯金がほとんどないという場合、まずは100万円を目指して貯蓄の習慣をつけるのがおすすめです
(2)事業が順調なときに申し込む
事業が順調であれば、金融機関としても返済可能性が高いと判断するので、事業が下火なときよりも融資を受けやすく、金額もより多く借りることができます。
(3)(追加融資を希望する場合)前回の融資から半年以上の期間を空けて、残債を減らしてから申し込む
前回融資を受けて、すぐに追加で融資を受けることは基本的に難しいです。前回事業計画をもとに融資を受けているはずです。そのため、思ったよりも順調に事業が拡大しているなどポジティブな要因がない限り、金融機関から計画性がないと判断されかねません。そのため、残債をなるべく減らしてからのほうがより多くの金額を借りられる可能性があります。
まとめ
日本政策金融公庫の融資金額は、創業融資の場合は最大で1,000万円以内、すでに事業を行っている方であれば月商の3ヵ月分程度という目安があります。準備できている自己資金や経験などの状況によって、借りられる可能性がある金額は異なります。
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