これから起業しようと考えている方や、すでに事業を行っている方のなかには、日本政策金融公庫や銀行など金融機関からの資金調達を検討しているケースや、店舗や事務所を構えるために物件の契約を検討しているケースもあるのではないでしょうか。
このような場面でよく耳にするのが、「保証人」や「連帯保証人」です。
保証人と連帯保証人、どちらも言葉は似ていますが、全く異なります。
そこで今回は、保証人と連帯保証人の違いや金融機関から融資を受ける際の保証人の有無など、詳しく説明いたします。
1.保証人と連帯保証人の3つの違い
保証人も連帯保証人も、借金をした人が返済できなくなった場合に、借金をした人の代わりに返済義務を負うことになります。
しかし、保証人と連帯保証人とでは、次の3つの点が異なります。
- 借金をした人への請求を主張できる権利の有無・・・催告の抗弁権
- 借金をした人に返済能力がある場合に強制執行を主張できる権利の有無・・・検索の抗弁権
- 保証人が複数人いる場合に負担しなければならない返済金額・・・分別の利益
(1)借金をした人への請求を主張できる権利の有無
お金を借りた人が破産していたり、行方不明になっていたりするケースは除きますが、お金を貸した人が、借金をした本人よりも先に保証人に対して借入金の返済をするよう求めてきた場合、保証人であればまずは借金をした人に対して返済するように主張できる権利があります。
当たり前の権利なのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、連帯保証人はこのような主張をすることができません。
つまり、お金を貸した人からいきなり請求がきたとしても何も言い返せないということです。
(2)借金をした人に返済能力がある場合に強制執行を主張できる権利の有無
借金をした人が借入金を返済できるだけの資産を保有しているにも関わらず、返済を拒否したとします。拒否されてしまったので、お金を貸した人は次に保証人に対して返済を求めますよね。
このような場合に保証人は、先にお金を借りた本人の資産を差し押さえて強制執行するように主張することが可能です。
しかし、連帯保証人はこのような主張ができませんので、お金を借りた人が資産を持っていたとしても返済義務が生じます。
(3)保証人が複数人いる場合に負担しなければならない返済金額
保証人が複数いる場合、返済しなければならない金額は保証人の人数で割った金額のみです。例えば、借入金額が500万円で保証人が5人いる場合、100万円だけ返済すれば良いということです。
一方、連帯保証人は、たとえ複数連帯保証人がいたとしても1人1人に借入金全額の返済義務があります。例えば、借入金額が500万円で連帯保証人が5人いる場合でも、500万円返済しなければなりません。
保証人 | 連帯保証人 | |
借金をした人への請求を 主張できる権利 |
あり | なし |
借金をした人に返済能力がある場合に 強制執行を主張できる権利 |
あり | なし |
保証人が複数人いる場合に 返済しなければならない負担金額 |
保証人の人数で 割った金額のみを 返済すれば良い |
全ての連帯保証人に 全額返済する義務が ある |
保証人と連帯保証人の3つの違いからわかるとおり、保証人に比べ連帯保証人の方が、課せられる責任が重たいです。
2.保証人がいらない融資とは
では、事業のために金融機関などから融資を受けようとした場合、保証人や連帯保証人は必ず設定しなければならないのでしょうか。
例えば、銀行の保証付融資は信用保証協会が保証人となることで融資を受けることができます。ただし、信用保証協会に保証するための手数料を支払わなければなりません。
プロパー融資で信用保証協会を間に挟まず、銀行から直接お金を借りる方法もありますが、そもそも実績のない創業してすぐの会社などの場合には、融資を受けられる可能性が低いです。
銀行のカードローンを利用することで保証人なしでも借入はできますが、最高金利14%程度と金利が高いため、返済の目途が立っていないケースなど安易に借り入れするのはおすすめできません。
銀行のほかに事業資金の調達先として挙げられるのが、日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫の新創業融資制度や中小企業経営力強化資金は、保証人不要で融資を受けられます。
金利も2.0%前後と低金利で、創業時であっても比較的融資を受けやすいのが特徴です。ただし、事業に必要な資金の1/10以上の自己資金が必要という要件があります。
当サイトを運営する株式会社SoLaboは、日本政策金融公庫での融資を受ける経営者の方をサポートしています。「自己資金が少ないけれど、自分でも融資は可能なのか」「どのようにしたら融資の可能性を上げられるのか」など、相談は無料ですのでお気軽にご相談ください。
まとめ
保証人も連帯保証人も、お金を借りた人の代わりに借入金を返済する可能性があるという点は共通していますが、連帯保証人の方がより重い責任が課せられます。
経営者の方が事業資金の調達を検討しているのであれば、無保証人で借入可能な日本政策金融公庫での融資がおすすめです。
融資に関して不安や疑問のある方は、一度資金調達の専門家に相談してみると良いでしょう。