公開されていない資本金の調べ方

カテゴリー 会社設立

新規取引先を獲得した際や就職活動を行っているときなど、会社の情報を調べる機会は多いです。

昨今ではその会社のホームページを見れば大体の企業情報が出ていて、ある程度のところまで調べることは容易になっています。

しかし、中には会社の基本情報である資本金などの情報を公開していない会社もあります。今回は会社の資本金を調べる方法について解説します。

1.資本金を調べる時とは

いくら資本金が会社の基本情報だからといっても、わざわざ時間と手間をかけて調べる必要が本当にあるのでしょうか?

結論から言うと、資本金を調べることはとても重要です。なぜなら資本金はその会社の事業規模の目安となるからです。というのも法律上、資本金はどれだけ少なくとも会社の設立をすることが可能だからです。極論を言えば1円からでも会社を設立することが可能になります。ですが、資本金1円の会社と取引をしたり、労働契約を結びたいと思う方は少ないと思います。

資本金は会社にとっての体力のようなもので、体力のある会社はいろいろな事業を展開することが出来て潰れにくいというのが事実です。

つまり資本金を調べることで会社と関わりを持っても問題ないかどうかを判断することが出来るのです。

※資本金以外で信頼できる会社かどうかを調べる方もいらっしゃると思いますが、今回は、資本金の調べ方を解説していきます。

2.商業登記簿を調べる

情報を公開していない会社の資本金のみを調べるのみであれば、全国の地方法務局で「登記事項証明書」を発行してもらうことで調べることが可能です。

商業登記簿には会社の基本事項が記載されていて、その中には資本金も記載されています。

ただし、登記事項証明書を発行するには、法務局の窓口に申請書を持参するか、申請書を郵送する必要があります。これらの場合1通あたり600円分の収入印紙が必要です。あるいはオンラインで閲覧・交付請求を行うこともできます。この場合、手数料は500円です。

3.商業登記簿以外で資本金を調べる方法

資本金を調べるには、まず調べたい会社が上場企業か非上場企業かを確認しましょう。

上場企業である場合は幸いで、資本金を調べることは容易です。しかし非上場企業の場合には少し面倒な作業を行わなくてはならなくなります。

まずは上場企業の資本金の調べ方から見ていきましょう。

(1)調べたい会社が上場企業の場合

上場企業であれば会社の経営情報は基本的に公開されています。なぜなら上場企業は投資家の人々に投資の判断材料となる情報を提供しなければならないというルールが定められているからです。そのため会社概要(企業名や代表者名、事業規模、事業内容、事業形態)や基本データ(経営状況、資本状況)が企業のホームページやパンフレットに公開されていることが多いです。また、Yahoo\!ファイナンスの会社情報、EDINETという有価証券報告書の閲覧サイトや個々の企業のホームページに記載しているIR情報を見ることでも情報を得ることが出来ます。

①Yahoo\!ファイナンス

投資家向けの投資やマネーの総合情報サイトであり、東洋経済新報社の会社四季報データを元にした「会社概要」や「決算情報」など、投資に役立つ情報が掲載されているものです。上場企業の特色や業績に関する情報に加え、プレスリリースや株主向けニュースなども得ることが出来ます。

②EDINET

「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことで、有価証券報告書、有価証券届出書、大量保有報告書等の開示書類について、その提出から公衆縦覧等に至るまでの一連の手続きを電子化するために開発されたシステムです。

閲覧できる内容としては以下の2つです。

  • 有価証券の発行者の財務内容、事業内容
  • 有価証券を大量に取得・保有する者の状況
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EDINETはこちらから閲覧することが出来ます(参考|金融庁 EDINET)。

③IR情報

IRとはインベスター・リレーションズ(Investor Relations)のことであり、投資家に対する広報活動のことです。上場企業は積極的に投資家にアピールをするため、企業のホームページなどに掲載されていることが多くなっています。IR情報を見ることで財務状況や経営状態などが分かります。

(2)調べたい会社が非上場企業の場合

すでにお話しした通り、非上場企業の資本金などの情報を調べる際には非常に苦戦する場合があります。非上場企業は例え株式会社であっても情報の公表が義務付けられていないため、ホームページやパンフレットに情報が載っていないケースがあるのです。

そこで1つポイントになってくるのが無料で閲覧することが出来る「公告」です。公告とは「特定の事項を、広く一般に告知する」という意味の法律用語で、すべての株式会社は会社法440条1項によって、上場企業も非上場企業も、公開会社も非公開会社も決算公告を行わなくてはならないと定められているのです。この公告を利用することで理論的には「資本金などを公開していない企業の情報」も得ることが出来るのです。公告は官報や日刊紙、ホームページで確認することが出来ます。

公告には「決算公告」と「決定公告」の2種類があり、知りたい情報によって閲覧するべきものが変わります。

①決算公告

決算の内容(賃借対照表の内容や、その要旨)を記載する公告

②決定公告

株主に重要な影響を及ぼす事項があったときに行う公告で、資本金の減少や、合併・吸収分割が行われる際などに実施

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しかしこの公告を使って企業の情報を集めることはあまりおすすめできません。

なぜなら現実問題として圧倒的多数の会社は官報での公告どころか公告そのものを行っていないという実情があるからです。

公告を行うことは法律で決められているので破れば当然罰則があり、その会社の信用力は著しく下がるのですが、それも摘発された場合の話です。そして公告を行っていない会社の摘発を法務局が行うかというと、今のところこの制度は形骸化しているといっていいでしょう。

また、公告を行っているか会社でも多くは後付けで過去の分の公告をしたりしているので、今現在の会社の状況を知るということは難しいのです。

そこで株式未公開企業や中小零細企業といった会社の資本金状況などを正確に知りたい方は、お金はかかりますが帝国データバンクや東京商工リサーチなどの民間の信用調査機関から入手することをおすすめします。

ここでは民間信用調査機関で代表的な2社をご紹介します。

①帝国データバンク

帝国データバンクは業界で最も大きなシェアを持っており、特定の企業の調査から業界・市場の調査など、様々なサービスを提供しています。そのうちの一つに「企業概要データベース COSMOS2」があり、数多くの企業概要データを網羅しています。

提供される情報は主に以下の6つとなります。

企業概要ファイル 個人営業から上場企業まであらゆる規模・業種の国内企業のプロフィール情報や商号、所在地、電話番号、業種、資本金、株主、仕入先・得意先、評点などを収録
事業所ファイル 大手企業、金融機関、一部官公庁の国内の事務所をターゲットに商号、事業所名、所在地、従業員数、事業所分類、主力商品などを収録
倒産ファイル 倒産した企業の概要、倒産形態、負債額などを収録
学校ファイル 全国の大学、短大、高専、高校の学校情報を収録
病院ファイル 全国のベッド数20床以上の病院情報を収録
英文企業概要ファイル 企業概要ファイルを英文で提供
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帝国データバンクではCOSMOS2ですべての取引先の基本情報を取得して概要を把握するだけでなく、注意が必要そうな会社にはスタッフが実際に現地に赴いて信用調査するという二段構えの対応を取っているので、データ上以上の情報も得ることが出来ます。

参考|帝国データバンク

②東京商工リサーチ

東京商工リサーチではWEB上での企業情報収集「tsr-van2」、与信管理ツール「TSR REPORT」や各種データベースの構築を行っていて、各種リスク情報を提供を行っています。

tsr-van2とTSR REPORTには以下のような特徴があります。

主な収録情報

tsr-van2 提供される情報は企業の基本情報(設立年月日、経営者・役員・株主)に加え、業績・売上など。

また、概況として業績推移や取引状況とその背景、今後の見通しなども記載してくれる

TSR REPORT 「tsr-van2」よりもさらに詳細な資金繰りの状況、営業の現況、財務諸表、財務分析まで行われる
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東京商工リサーチは国内だけでなく、各国の調査会社とのパートナーシップによって海外の企業情報も利用することが可能になっており、提供できる情報量は、国内で約800万件、海外では240ヵ国超、3億件を超えます。

また、気になった会社は調査依頼をすることも出来ます。

参考|東京商工リサーチ

(3)帝国データバンクと東京商工リサーチはどちらがいい?

民間の信用調査機関を利用すると決めた時、国内の2大巨頭である帝国データバンクと東京商工リサーチではどちらを利用した方がいいのかという疑問が生じるかもしれません。

両社の料金の違いは以下になっております。

名前をクリックすればより詳しい料金表が表示されます。

取得する情報によって料金が異なります。

帝国データバンク

東京商工リサーチ

それぞれ展開しているサービスには細かな違いがあるので、どちらが自分に合っているのかはご自身の置かれた状況に合わせて判断するようにしましょう。

まとめ

資本金を調べる方法としては無料の方法と、費用が発生する有料の方法があります。

しかし無料の方法である公告は、実際に現状の経営状況を反映した資本金額などになっているかは不明ですし、公告を行っていない会社も多数存在するのであまりおすすめできません。

ですから多少お金がかかっても正確な、商業登記簿を調べる方法や、詳しい会社の実態が分かる帝国データバンクや東京商工リサーチなど民間の信用調査機関を利用することをおすすめします。

この記事を書いたライター

ソラボ編集部

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