会社設立で資本金払込み!方法・タイミング・払込証明書の作り方

カテゴリー 会社設立

会社設立する際に必須の手続きのひとつが「資本金の払込」です。資本金の払込み自体はそれほど難しい手続きではありませんが、実際に始めると「いつ払い込めばいいの?」「払込証明書はどう作るの?」「ネットバンキングだから、通帳がない!」などとさまざまなお悩みごとが発生するハズです。

今回の記事では、会社設立をまさにされている方または会社設立をご検討中の方に向け、資本金払込手続きの方法や注意点をわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。

1.会社設立における「資本金払込」の位置づけ

会社設立のおおまかな流れは次のとおりです。

会社設立の流れ

まずは、会社名(商号)や事業目的、資本金の額など会社の基本事項を決めます。次にここで決定した基本事項をもとに定款の作成です。

定款認証後、資本金の払込をし、登記に必要な書類の準備ができたら登記申請を行います。

登記完了後に自治体や税務署、年金事務所などで手続きが終われば、会社設立に関する手続きはすべて完了です。

今回解説する「資本金の払込」については、この図でいうと3つ目のフローになります。

 

こちらの記事では、会社設立をするための流れや必要な手続きなど、会社設立に関する基礎知識を紹介していますので、あわせてご参照ください。

会社設立の流れとは?どんな手続きがあるのか?

2.会社設立時の資本金の払い込みの手順

資本金の払込をするには大きく分けると以下の4つの手続きが必要です。

  1. 発起人名義の通帳を用意する
  2. 資本金を該当の口座に振り込む
  3. 通帳をコピーする
  4. 払込証明書を作成して通帳のコピーと一緒に閉じる

会社設立には資本金を出して会社設立するケース(=発起設立)と一部の株式の買い取りを募集するケース(募集設立)とがありますが、ほとんどの方は発起設立といって資本金を払い込む形で会社設立をされています。

では、資本金の払い込みの方法をみていきましょう。

(1)発起人名義の銀行口座と通帳を用意する

発起人とは、会社の資本金を支払う人のことを言います。ひとり社長で会社設立する場合は、必然的に代表取締役が発起人も兼ねることとなります。あなたがひとりで会社設立をするのであれば、発起人はあなたです。

株式会社の場合 発起人名義の銀行口座と通帳を用意

最近では、株式会社ではなく合同会社を設立する方も増えているようです。設立する会社が合同会社なら、発起人とは呼ばずに「社員」と呼びます。

合同会社の場合 社員の銀行口座と通帳を用意

まず、発起人または社員の銀行口座と通帳を用意しましょう。発起人があなたなら、あなたが普段使っている銀行口座と通帳で構いません。個人名義で通帳がある銀行口座の通帳を用意してください。

【会社設立で使える銀行口座の例】

銀行の種類 銀行名(一部)
都市銀行 みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行
地方銀行/第二地方銀行 群馬銀行、足利銀行、常陽銀行、筑波銀行、武蔵野銀行、千葉銀行、静岡銀行、北越銀行
信託銀行 三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行

最近では新生銀行やイオン銀行のように通帳がないネット銀行「ネットバンキング」を使っている方も非常に多くなっています。ネット上の古い記事では「ネット銀行は不可だから通帳のある銀行の口座を作りましょう」という内容が多く見受けられますが、法務省のホームページを見ると、平成18年会社法施行に関する通達などの部分で以下の記載が見受けられます。

発起設立の場合には、次に掲げる書面をもって、払込みがあったことを証する書面として取り扱って差し支えない。

(イ) 設立時代表取締役又は設立時代表執行役の作成に係る払込取扱機関に払い込まれた金額を証明する書面に次の書面のいずれかを合てつしたもの

a 払込取扱機関における口座の預金通帳の写し

b 取引明細表その他の払込取扱機関が作成した書面

【引用:法務省ホームページ/会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて

上記の文面では、発起設立の場合は資本金の払込みがあったことを証明する預金口座の通帳コピー(a)か、ネット銀行のマイページから見られる取引明細書のコピー(b)でよいですよ、という説明をしています。

取引明細書をパソコン上で見るには、ネット銀行にID/パスワードでログインした後に「入出金明細」などのタブをクリックすると、以下のように表示されます。

新生銀行の場合 口座情報 操作ガイド

【引用:新生銀行の場合|口座情報 操作ガイド】

但し、何も考えずに取引明細書をコピーするのではなく、必ず以下の内容が含まれているかチェックしてからコピーしてください。

  1. 金融機関名
  2. 口座名義人
  3. 口座番号
  4. 振込人の氏名・金額・日付

(2)資本金を該当の口座に振り込む

発起人の銀行口座と通帳が用意できたら、次はいよいよ資本金を発起人名義の銀行口座へ振り込みます。発起人が複数人いる場合、発起人ごとに別口座に払込みをすることも可能ですが、すべての預金通帳のコピーが必要です。手間がかかり、管理もしづらいので、口座はひとつにまとめることをおすすめします。

さらに注意すべきは、振り込みのタイミングです。資本金の払込は会社定款を作成・認証した後に行います。

会社定款は会社にとっての憲法です。会社設立の際に作成して交渉役場へ持参し認証を受ける必要があると新会社法で定められています。定款には必須事項として資本金を記載しますが、もし、資本金の振り込みを定款認証より先になってしまうと、資本金としての振り込みかどうか判断できなくなってしまうため、振込をやり直さなければなりません。

定款についてはこちらの記事もご参照ください。

株式会社の定款作成:19の空欄を埋めるだけの雛形と8つの注意事項

合同会社の定款作成法:穴埋めするだけで作れる雛形と項目の解説

これは、もともとお金が入っていた通帳を使用する際も同様です。

例えば、資本金300万円の会社を設立するとして、すでに300万円入っている自分の通帳を使用する場合でも、一度引き出して再度口座に入れなおす作業が必要になります。

(3)通帳をコピーする

通帳コピーは、該当の銀行口座へ「資本金を確かに払込みしました」という証明をするために提出します。この際、資本金を振り込んだ日付のページだけをコピーするのではなく、通帳の表紙・裏表紙もあわせてコピーします。

ネット銀行の場合は、取引明細書の「1.金融機関名2.口座名義人3.口座番号4.振込人の氏名・金額・日付」がわかるようにコピーすれば大丈夫です。

(4)払込証明書を作成して通帳のコピーと一緒に閉じる

①払込証明書とは?

払込証明書とは、発起人が銀行口座へ資本金をきちんと入金しましたよ、ということを証明する公的な書類です。

払込証明書には以下のような項目が網羅されている必要があります。

必要項目 詳細・注意事項
払い込まれた金額の総額 定款に記載されている金額をそのまま書く
払い込まれた株数 定款に記載されている数量をそのまま書く
1株あたりの払い込みの金額 「払込金額の総額÷払込株数」から算出した金額を書く
払い込みがあった年月日 資本金の払込が完了した日付を書く

資本金が振り込まれた最も遅い日以降の日付であれば問題ないので、払込証明書の作成日でもよい

会社本店の所在地 設立事項で定めたものを書く
会社名(商号) 設立事項で定めたものを書く
代表取締役氏名と捺印 会社代表印を押印する

代表取締役の個人の実印ではないので注意

公的な書類ではありますが、払込証明書はパソコンなどで自作したものや手書きでもOKですので、Wordなどで以下のような体裁で自作することをおすすめします。ネット銀行の場合も同様です。

【払込証明書の例】

払込証明書

 

当会社の設立時発行株式については以下の通り、全額の払込があったことを証明します。

 

 

払込みがあった金額の総額:金○○万円

払込みがあった株数:○○株

1株の振込金額:〇〇〇円

 

令和〇年〇月〇日

 

東京都千代田区外神田1丁目18-19 新秋葉原ビル 7階

株式会社SoLabo

代表取締役 インキュ タロウ (株式会社代表印)(捺印)

 

 

払込証明書のひな形はこちらからもダウンロードできます。

払込証明書のひな形

②払込証明書と通帳のコピーをまとめてホチキス止めをする

ここまでくれば、作業はあと少しで終わります。

払込証明書→通帳の表紙コピー→通帳の裏表紙コピー→通帳の資本金払込ページのコピーの四枚を重ねて一つにし、左端を二か所ホチキスで止めます。

ホチキスを止めて冊子状になったら冊子を開き、各ページの真ん中に会社代表印で割り印をしていきます。

割り印が終了したら完成です。

払込証明書の製本

この作業さえ終了してしまえば、資本金を払い込んだ事実が証明できるので、資本金を引き出して会社をスタートするための資金として使用することができます。

ただし、すぐに引き落とせるから大丈夫、といって人から借りたお金を資本金にしてしまうと「見せ金」として刑法157条の「公正証書原本不実記載罪」に当たる可能性がありますのでやめましょう。

3.募集設立時は払込金額保管証明書が必要

会社設立の方法としてはマイナーではありますが、株式の一部を発起人が引き受け、残りの株式を募集した株主に引き受けてもらうことで会社を設立する「募集設立」という方法があります。大規模な事業を行うために多額の資金を集めたい場合などに利用されるケースがあります。

募集設立の場合、先ほど解説した発起人による設立での必要書類に加えて「払込金額保管証明書」が必要です。

「払込金額保管証明書」は銀行が出資金を預かっていますよということを証明するもので、株式申込人保護のために必要な書類です。法務局で定款の認証がされた後、銀行で発行してもらうことになります。

以前は発起設立でも必要だったのですが、現在は募集設立のときのみ必要となっていますので、覚えておくといいでしょう。

まとめ

会社設立時の資本金の払込は、流れや手順をひとつずつ確認しながら行えば何も難しいことはありません。

ただし、資本金の払込は「定款を作成して認証を受けた後」に行うことや、払込証明書に押印する印鑑は「会社代表印」を使用することなど、細かい注意点がありますので間違いのないよう確実に手続きを進めましょう。

資本金の払込が終わったら、次は登記申請書類の作成です。

こちらの記事では、会社登記に必要な書類や作成手順について解説していきますので、あわせてご参照ください。

会社設立登記に必要な書類のリストとそれぞれの書類を作成する手順

合同会社の設立に必要な書類のリストとそれぞれの書類の作成手順

なお、当サイトを運営しているSoLaboでは会社設立のサポートをしてくれる専門家のご紹介が可能です。会社設立の手続きを専門家に依頼することで、時間や手間をかけずに手続きを進めることができますので、会社設立に関して不明点やご不安なことがございましたら、まずはお気軽にご相談ください。相談は無料です。

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ソラボ編集部

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