ファクタリングの利用が初めての事業経営者のなかには、契約においてどのような書類が必要になるのか事前に把握したい人もいますよね。また、用意できる書類が限られてしまった場合は、ファクタリングの利用ができないのではと不安に思っている人もいるでしょう。
ファクタリング契約時の必要書類はファクタリング会社によって異なるため、用意できる書類が限られている場合でも契約ができる可能性があります。ただし、利用をする際に「比較できる会社が限られてしまう」など、3つの点に注意する必要があります。
当記事では、「ファクタリング契約に必要な書類」について解説します。必要書類が少ないファクタリング会社を利用する際の注意点も含めて解説するので、初めてファクタリングの利用を検討している人は、参考にしてみてください。
ファクタリング契約時の必要書類はファクタリング業者によって異なる
ファクタリング契約時の必要書類は、ファクタリング会社によって異なります。そのため、手元に用意できる書類が限られている場合でも、ファクタリング契約ができる可能性があります。
たとえば、ファクタリング契約において「売掛金の発生を証明できる書類」を「請求書」と限定していないファクタリング会社もあります。請求書の代わりとして「発注書」などを用意できれば、売掛金の発生が認められ契約できる場合があります。
また、契約時に提出が求められやすい書類として「決算書」が挙げられますが、提出の有無はファクタリング会社によって異なります。開業して間もなく作成に至っていない場合や提出することに抵抗を感じる場合には、決算書の提出を必須としていないファクタリング会社を選ぶことで契約できる場合があります。
なお、必要書類が用意できないからと請求書などの書類を偽造する行為は違法にあたります。偽造した請求書は架空債権であり、架空債権の売却は「詐欺罪」に問われる可能性があるため、手元に用意ができる書類で契約が行えるファクタリング会社を選ぶようにしましょう。
準備をすることでファクタリング契約がスムーズに進む8つの書類
準備をすることでファクタリング契約がスムーズに進む8つの書類があります。ファクタリング契約に必要な書類はファクタリング会社によって異なりますが、審査や契約に関する手続きをスムーズに行うために、以下のような書類の提出が求められます。
【提出が求められる8つの書類】
書類 | 概要 |
---|---|
利用者の身分証明書 | 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔が確認できるもの。顔つき証明書がない場合は、保険証などに加え公共料金領収書など提出書類が増える傾向にある。 |
商業登記簿謄本または開業届 | 法人は「商業登記簿謄本」、個人事業主は「開業届」の提出が求められる。法人の「商業登記簿謄本」について、特に指定がない場合には「全部事項証明書」を取得する。 |
印鑑証明書 | 契約時に使用する印鑑の「印鑑証明書」 |
売掛金の発生を証明する書類 | 請求書、発注書、納品書などが該当する。 |
売掛先との取引を確認できる書類 | 取引の内容事項、売掛金の金額や支払期日などに関する事項、取引においての制約事項が確認できる書類。基本契約書、個別契約書などが該当する。 |
取引時に利用している通帳のコピー | 売掛先企業からの入金履歴が確認できる通帳のコピー。表紙と指定された範囲のコピーが求められる。 |
決算書 | 損益計算書、貸借対照表、勘定科目明細書が該当する。指定された数期分の用意が求められる。 |
税金や社会保険料の納付証明書 | 税金や社会保険料を納めた際の「納税証明書」や「納付済証」。未納や滞納がないことを証明できるもの。 |
たとえば、「身分証明書」や「商業登記簿謄本」「印鑑証明書」は、違法な契約を未然に防ぐために提出が求められます。「第三者のなりすまし」による詐欺契約によって売掛金が回収不可能とならないかが明確化されれば、安全であると判断されスムーズに手続きが行えます。
また、ファクタリング契約では「売掛金の回収が確実に行えるか」の審査が行われ「売掛先企業」や「売掛金」に対する信用力が重視されます。架空債権でないことを証明する「売掛金の発生書類」や、入金の滞りがないことを証明する「通帳のコピー」などを提出することでスムーズな審査が行えるようになります。
なお、売掛先企業や売掛金に対する信頼度は、ファクタリング契約時に徴収される「買取り手数料」に影響します。売掛先企業や売掛金の信頼度を高められる書類の準備をすることで、買取り手数料を低く抑えられる可能性もあるため参考にしてみてください。
ファクタリングを初めて利用するときは請求書のみで契約することはできない
ファクタリングを初めて利用する際、請求書のみで契約することは出来ません。なぜなら、請求書のみでは、利用者や売掛先企業、売掛金の存在を証明できず、売掛金の回収が確実に行えるかの確証は得られないからです。
たとえば、請求書のみでは「利用者や売掛金の存在」は証明できません。請求書には、請求元や請求先の情報、取引の内容が明記されていますが、請求元である利用者が「実際に存在する企業か」や、売掛金が「実際に行われた取引で発生したか」を判断することは困難です。
また、請求書のみでは「売掛金の回収が確実に行える」という根拠にはなりません。請求書には売掛金の支払期日についても明記されますが、売掛先が「支払期日に滞りなく入金を行えるか」など、支払能力や信用力を明確に示せる情報にはならないからです。
なお、同じファクタリング会社を継続的に利用しており、利用者や取引先の更新などがない場合には請求書のみで契約できる可能性もあります。今後の利用も視野に入れスムーズな契約を行っていきたい人は、初回契約時に指定された書類を不足なく提出するよう心がけましょう。
必要書類が少ないファクタリング会社を利用する場合の注意点
必要書類が少ないファクタリング会社を利用する場合には、いくつかの注意が必要です。なぜなら、ファクタリングの利用や契約をする際に以下のような懸念が考えられるからです。
【必要書類が少ないファクタリング会社を利用する際の注意点 一例】
- 契約方法などが限られる恐れがある
- 手数料が高くなる恐れがある
- 審査期間が長引く恐れがある
たとえば、必要書類が少ないファクタリング会社の数は限られるため契約方法などが限られるおそれがあります。「オンライン契約のみ」や「売掛先の関与が無い契約」など、契約方法に一定の制限を設けている場合があるため、利用者の希望する契約が行えなくなる可能性もあります。
また、必要書類が少ないことは審査の際の情報が限られることになるため、手数料が高くなるおそれもあります。必要書類が少ないファクタリング会社は、過去の実績や独自の審査により契約を可能としていますが、リスクを考慮した高めの手数料を設定している可能性があるからです。
手元に用意できる書類が限られてしまう場合においても、代用して書類を提出することで契約できる場合があります。あえて必要書類が少ないファクタリング会社を利用するかについては、考えられる注意点を考慮して検討するようにしましょう。
まとめ
ファクタリング契約に必要な書類はファクタリング会社によって異なるため、手元に用意できる書類が限られている場合にも契約できる可能性があります。加えて、8つの書類を事前に把握し準備をすることで、スムーズに契約を進めることが出来ます。
また、ファクタリングを初めて利用する際は、請求書のみで契約することは出来ません。請求書には、請求元や請求先の情報、取引の内容が明記されていますが、利用者や売掛先企業、売掛金の存在を証明することや、売掛金の回収が確実に行える根拠にはならないからです。
なお、必要書類が少ないファクタリング会社を利用する際は、3つの注意点を考慮した上で利用を検討しましょう。必要書類が少ないことにより、契約時の手間を抑えることは可能になりますが「比較検討できる会社が限られてしまう」などの懸念が考えられるからです。