資金調達
銀行融資の審査期間はどれくらいかかる?長引く原因も解説
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これから銀行融資の申請を検討する人や審査後の連絡を待つ人の中には「審査にどれくらい時間がかかるのか」「なぜ長引いているのか」といった悩みや不安を抱く人もいるのではないでしょうか。実際、審査期間は金融機関や融資の種類、提出資料の状況によって変動する傾向にあります。
当記事では、銀行融資の審査期間の目安とあわせて、審査が長引く主な原因を解説します。なかでも、提出書類の不備や不足といった申請者側で防げる要因については具体的な対策も紹介するので、審査に備えて準備を進めたい人は参考にしてみてください。
銀行融資の審査期間は金融機関や融資の種類によって異なる
銀行融資の審査期間は「どこ」の金融機関で「どの」融資サービスを申し込むのかによって大きく異なります。申請前に金融機関や融資の種類によって異なる審査期間の目安を知っておくことで、おおまかな審査期間を想定できるようになります。
<審査期間に影響を与える項目>
項目 | 選択肢 |
どこで融資を受けるのか | メガバンク、地方銀行、信用金庫 |
どの融資サービスを利用するのか | プロパー融資、保証付き融資、事業用フリーローン |
銀行融資の審査期間は融資を申し込む金融機関によって異なる傾向にあります。たとえば、メガバンクでは慎重な審査が行われ、約2週間〜1ヶ月を要する場合があります。一方、地方銀行や信用金庫では柔軟な審査が行われ、2週間弱で結果の連絡が来ることもあります。
また、審査期間は利用する融資の種類によっても異なります。たとえば、プロパー融資を申し込む場合は1ヶ月以上を要することもある一方で、フリーローンを申し込む場合は1週間以内に結果が出ることもあります。
銀行融資の審査期間を知るためには、金融機関や融資の種類ごとに異なる期間の目安を把握しておく必要があります。金融機関や融資の種類によって審査基準やプロセスが異なるため、自分の利用する金融機関と融資サービスにおける審査期間の傾向を確認しましょう。
金融機関別の審査期間
銀行融資の審査期間は、申込先となる金融機関の種類によって違いがあります。メガバンク、地方銀行、信用金庫ごとに審査の進め方や手続きのスピードに特徴があるため、それぞれの目安を確認してみましょう。
<金融機関ごとの審査機関の目安>
金融機関の種類 | 審査期間の目安 | 特徴 |
メガバンク | 約2週間~1か月 | 審査項目が多く、事業規模や財務内容を詳細に確認する |
地方銀行 | 約1~2週間 | メガバンクより審査基準が緩やかなため、対応も早め |
信用金庫 | 約1週間~10日 | 中小企業向けの融資が多く、書類が整っていれば迅速な対応も可能 |
メガバンクでは、審査項目が多く、1件当たりの確認作業に時間がかかる傾向にあります。事業規模が大きく提出書類が多い法人の場合は、審査完了までに1か月近くかかることもあります。
地方銀行は、メガバンクよりも地域密着型の運営を行っており、審査基準もやや柔軟です。地域での取引実績がある企業で書類の準備が整っていれば、1週間〜2週間で結果が出る傾向にあります。
信用金庫は、個人事業主や中小企業の支援を重視しており、比較的速やかに審査が行われます。既存の取引があり、提出書類に不備がない場合は、1週間以内に審査結果が通知される傾向にあります。
銀行融資の審査期間は、申し込む金融機関によって異なります。急ぎの融資が必要な場合は、比較的審査の早い地域の信用金庫や、既に取引のある銀行を選ぶとで審査が速やかに進む可能性が高まります。
融資の種類別の審査期間
銀行融資の審査期間は、利用する融資の種類によっても大きく異なります。プロパー融資や信用保証付き融資、事業者向けフリーローンなどでは、審査にかかる工程や関与する機関が異なるため、審査結果が出る期間に差が出てきます。
<融資の種類別審査期間の目安>
融資の種類 | 審査期間の目安 | 特徴 |
プロパー融資 | 数日~1か月 | 担保なしの場合は2~3週間、担保ありの場合は1ヶ月程度が目安 |
信用保証付き融資 | 約1週間~1か月半 | 銀行と信用保証協会の審査が加わるため時間を要する |
事業者向けフリーローン | 数日∼10日程度 | 少額融資と自由な使途で審査項目が限られているため、審査が迅速 |
プロパー融資は、銀行が独自に審査を行うため、担保なしの場合は数日〜3週間程度で融資が実行されます。また、担保を差し入れる場合は、担保の評価に時間を要するため、1ヶ月程度の期間を要する傾向にあります。
保証付き融資は、銀行と信用保証協会の両方の審査に通過する必要があるため、1週間から最大1か月半程度かかります。特に初回利用者の場合は、信用保証協会との面接が実施されるため、2回目以降の申請よりも審査結果が出るまでに時間がかかる可能性があります。
銀行の事業者向けフリーローンは、仮審査に数日、本審査に約1週間程度かかる傾向にあります。事業計画書や決算書などの提出が不要な分、審査は比較的早いものの、着金までには最大10日ほど要するため、資金繰りに間に合うかどうかを確認しておく必要があります。
銀行融資の審査期間は、融資の種類によって異なります。紹介した期間はあくまで目安であり、申請内容や金融機関の状況によって前後する可能性がありますが、目安が過ぎても連絡がこない場合は金融機関に問い合わせてみましょう。
銀行融資の審査が長引く原因
銀行融資の審査が予定より長引くことは珍しくありません。審査が長引いてしまう原因はいくつかあるため、原因を把握しつつ、対策も確認しておきましょう。
<融資審査が長引く原因>
審査が長引く理由 | 内容 |
必要書類の不備不足 | 書類に不備や不足がある場合、確認作業や再提出に時間がかかる |
事業計画の内容が不十分 | 事業計画が不十分だと追加情報の提供を求められ、審査が長引く可能性がある |
信用保証協会や地方自治体の関与 | 信用保証協会や自治体が関与する融資の場合、複数機関の審査を経るため時間がかかる |
銀行の繁忙期や人員配置などの内部事情 | 銀行の繁忙期や人手不足などの事情によって、審査に時間がかかることがある |
銀行融資に申請するには、複数の提出書類を準備する必要があります。たとえば、提出書類にひとつでも記載内容の誤りや不足があった場合、銀行から修正や再提出を求められるため、審査が長引くことがあります。
また、申請者側に落ち度がない場合でも、信用保証協会や自治体が関わる融資を受ける際には、プロパー融資よりも審査期間が長くなることがあります。たとえば、保証付き融資の場合、銀行と信用保証協会の2機関の審査に通過する必要がある分、時間を要します。
銀行融資の審査期間は、申請者側の提出書類の抜け漏れや金融機関側の事情によって長引く場合があります。自分のミスによる修正や再提出が原因で審査が長引いてしまうことのないよう、提出書類の内容や有効期限なども注意深く確認しておきましょう。
必要書類の不備不足
銀行融資の審査が長引く原因のひとつとして、提出書類の不備や不足が挙げられます。特に初めて融資に申し込む場合には、書類の記載ミスや添付漏れなどに気づきにくく、修正や再提出により審査が後ろ倒しになることがあります。
<銀行融資の必要書類>
書類の項目 | 内容 | 対象者 |
事業計画書 | 資金の使い道や返済計画、事業の将来性などを説明する書類 | 共通 |
資金繰り表 | 今後の収支見込みを示し、資金の過不足や返済可能性を示す資料 | 共通 |
納税証明書 | 所得税や法人税などが適切に納税されていることを証明する書類 | 共通 |
決算書 | 過去の売上や利益、財務状況を把握するための財務資料 | 法人 |
履歴事項全部証明書 | 法人の所在地、代表者、資本金などの登記情報を証明する法的書類 | 法人 |
確定申告書 | 個人事業主の所得を証明するための税務申告書 | 個人事業主 |
本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードなど、申請者の本人性を証明する書類 | 個人事業主 |
たとえば「納税証明書」は、税務署に申請して取り寄せる必要があり、取得までには数日から数週間程度かかる傾向にあります。そのため、余裕を持って準備しておかなければ、申請そのものが遅れる原因になります。
また「決算書」は、金融機関が重視する資料であり、内容に不備があると追加の書類提出を求められることがあります。会社の利益や財務状況を示す資料であるため、記載漏れや数字に間違いがある場合には再提出を求められます。
書類の不備不足による遅延は、申請者側で防げる要因です。申し込み前には各銀行の必要書類一覧を確認し、記載内容や資料の整合性、取り寄せた書類の有効期限も含めて不備がないかどうかを再チェックしておきましょう。
なお、銀行融資の必要書類は「銀行融資を受けるための必要書類とは?事業者向けに解説」の記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
事業計画の内容が不十分
銀行融資の審査が長引く原因のひとつとして、事業計画の内容が不十分であることが挙げられます。銀行は、申請者の事業計画をもとに売上計画や返済計画などを確認して融資の可否を判断するため、不備がある場合は追加資料の提出や説明を求められることがあります。
<事業計画書が不十分とみなされる要因>
要因 | 内容 |
売上と利益計画の妥当性が示せていない | 過去の実績や客数、客単価などの根拠が不十分 |
資金使途が明確に示されていない | 借入金の使い道が曖昧で具体性に欠ける |
市場調査と競合分析が不足している | 自社の強みや競合との差別化が説明されていない |
返済計画の現実性に欠けている | キャッシュフローに無理があり、返済可能性に疑問が残る |
たとえば、収支計画に根拠がない場合や売上予測に具体的な裏付けがなければ、審査担当者はリスクを見極められず、融資に踏み切れない可能性があります。売上と利益計画の妥当性は、過去の売上データや市場調査の結果など、客観的な根拠を添えることで説得力が高まります。
また、自社の強みや競合との差別化が不明確な場合も、事業の将来性に疑問を持たれ、審査が滞ることがあります。特に新規事業では「地域のニーズに合っている」「既存サービスにはない利便性がある」といった勝算の根拠を端的に伝えることがポイントです。
事業計画の精度を高めるには、数字やデータに基づき、第三者が読んでも納得できる内容に仕上げる必要があります。事業計画書の作成に不安がある場合は、あらかじめ銀行担当者にヒアリング項目を確認することや、税理士、認定支援機関などの専門家に相談することも有効です。
信用保証協会や地方自治体の関与
銀行融資の審査が長引く原因のひとつとして、信用保証協会や地方自治体が関与する融資であることが挙げられます。銀行だけでなく、信用保証協会や自治体の審査にもそれぞれ通過する必要があるため、時間を要する傾向にあります。
たとえば、信用保証協会が関与する融資の場合、銀行の審査に加えて保証協会による審査も実施されます。融資内容によっては保証協会との面談や追加説明が求められることもあるため、余裕のあるスケジュールを立てる必要があります。
また、地方自治体の融資支援制度の場合、自治体独自の審査や追加書類の提出が求められ、時間がかかることがあります。制度によっては審査日や通知時期が定められていることもあるため、申請のタイミング次第で結果が届くまでの時間に差が出る場合があります。
信用保証協会や地方自治体が関与する融資を受ける場合は、あらかじめ審査にかかる時間を見積もり、余裕を持って申請しましょう。審査結果の出る目安は担当者へ事前に確認しておき、目安の期間を過ぎても連絡がない場合は銀行に状況を確認してみてください。
銀行の繁忙期や人員配置などの内部事情
銀行融資の審査が長引く原因のひとつとして、銀行の繁忙期や人手不足などの内部事情が挙げられます。決算期や月末などには融資相談が集中し、審査に割ける人手や時間が限られるため、審査全体が遅れることがあります。
たとえば、3月の年度末や9月の中間決算期は、法人顧客からの資金需要が高まり、融資の申し込みや問い合わせが増加する傾向にあります。そのため、審査担当者の負担が増し、処理が後回しになることや確認作業に時間がかかってしまうことがあります。
また、6月や12月の四半期決算期や月末、月初も銀行全体の業務量が増える傾向にあります。そのため、審査担当者が窓口や電話対応などに追われ、融資審査が通常より遅れてしまうこともあります。
銀行側の内部事情は申請者側には避けられない事由のため、余裕を持ったスケジュールでの申請を心掛けることが大切です。急ぎの資金ニーズがある場合は、あらかじめ銀行担当者へ希望時期を伝えておくと、柔軟に対応してもらえる可能性があります。
まとめ
銀行融資の審査期間は、金融機関や融資の種類によって異なります。メガバンクでは2週間〜1か月程度、地方銀行では1週間〜2週間程度、信用金庫では1週間から10日程度を目安として考えておきましょう。
融資の種類には、銀行単独の判断で行うプロパー融資と、信用保証協会が関与する信用保証付き融資、自治体と連携して行う制度融資などがあります。銀行に加えて外部機関の審査も必要となるため、結果的に審査期間が長くなる傾向にあります。
審査が長引く原因には、提出書類の不備や事業計画の不十分さ、外部機関での審査の遅延、銀行の繁忙期による対応の遅れなどが挙げられます。必要書類を抜け漏れなく揃え、具体性のある事業計画を作成したうえで、スケジュールに余裕を持って申請を行いましょう。
この記事を書いたライター

ソラボ編集部
資金調達の可能性を無料で診断
8,000件の資金調達実績を持つSolaboの専門家が、融資や補助金など、事業課題に合わせた資金調達方法を提案します。
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