資金調達計画とは?計画の立て方とポイントを解説

カテゴリー 資金調達

会社を設立するときや新規事業をはじめるときには資金が必要であり、自己資金のみで賄うことが難しい場合は外部から調達しなければなりません。資金調達をする際には、滞りなく資金を調達するために資金調達計画を立てる必要があります。

当記事では、資金調達計画について解説します。資金調達計画の立て方やポイントも解説しているため、スムーズに資金調達を行いたいと考えている人は参考にしてみてください。

資金調達計画とは事業に必要な資金を得るための計画

資金調達計画とは、事業に必要な資金を得るための計画のことです。資金を受け取るまでの流れを円滑に進めるためにも、資金調達計画を立てたうえで資金調達を実施しましょう。

資金調達計画では、事業を行う際に必要な資金額と資金用途、資金調達方法などを定めます。企業の財務状況を把握した上で、どのくらいの資金を準備する必要があり、どのように資金調達を行うかなどを事前に決めるため、スムーズに資金調達を行いやすくなります。

また、資金調達計画書として融資の審査や新株発行などの際に提出する場合があります。資金調達計画を立てることにより資金用途や資金調達の目的などが明確になり、調達の必要性、内容の妥当性を具体的に説明できます。

資金調達計画を策定することで、必要な資金調達額などを正確に把握でき、資金調達を行いやすくなります。資金調達を行う準備ができるため、事前に計画を立てておきましょう。

資金調達計画と事業計画の違い

資金調達計画と事業計画は混同されやすいですが、目的や記載内容などに違いがあります。事業計画を立てる際に資金調達計画を立てることでお金の流れをより明確に把握できるため、事業計画の具体化につながり、資金調達を円滑に進めやすくなります。

<資金調達計画と事業計画の目的と記載内容の違い>

計画

目的

記載内容

資金調達計画

資金の流れを把握する

  • 資金用途
  • 必要資金額
  • 自己資金
  • 資金調達方法
  • 返済方法 等

事業計画

事業の内容を明確にし事業戦略を整理する

  • 企業・事業の概要
  • 従業員数
  • 企業製品・サービスの詳細
  • 事業実施の目的・コンセプトなどの詳細
  • 競合・市場規模などの状況
  • 自社の強み・弱み
  • 経営戦略
  • 将来の展望
  • 事業体制
  • 売上・利益、資金調達といった財務計画 等

資金調達計画は資金調達に特化した計画です。資金用途や資金調達方法、必要に応じて返済方法などを決め、使う資金と調達する資金が一致していることや自己資金額に対して希望する調達額が多くないかどうかなどを確認できます。

一方で、事業計画は資金調達のほかに事業に関するさまざまな内容の計画を立てます。事業計画では、市場規模などを把握し、事業の目的などを決めて事業に関する幅広い計画を立てる点が資金調達計画との違いです。

資金繰りの問題を未然に防ぎ安定した運営を行うために、必要な資金調達額を把握しなければなりません。必要な資金調達額を把握して資金繰りを適切に管理するには、事業計画に加えて資金調達計画を立てる必要があります。

資金調達計画の立て方

資金調達を行う際には、まず計画の立て方を把握したうえで、手順に沿って計画を策定する必要があります。適切な計画を立てることで、滞りなく資金調達を行うことにつながります。

<資金調達計画の立て方>

  1. 用途を明確にして資金ごとに分類する
  2. 希望する資金調達額を算出する
  3. 資金調達方法を決める
  4. 資金調達計画書を作成する

まずは、用途を明確にして資金ごとに分類します。資金用途には「運転資金」「設備資金」「その他資金」があり、事業にかかる費用を該当する資金にそれぞれ分けます。

つぎに、希望する資金調達額を算出します。資金ごとに計算を行い、事業に使う自己資金額を確認して集める金額を決めながら企業に合った資金調達方法を選定します。

そして、決定した内容をもとにExcelなどで資金調達計画書を作成します。事業計画のほかに資金用途や資金調達額、調達方法などを決めてから行うことでスムーズに資金調達を実施できる可能性があります。

資金の用途を明確にし項目ごとに分類する

資金調達計画を立てるためには、まず資金調達の目的や資金の用途を明確にし、項目ごとに分類しましょう。事業で活用する資金の使い道などを明確にすることにより、資金調達先となる金融機関の担当者や投資家に具体的な説明をすることができます。

<資金用途と概要>

資金用途

概要

運転資金

日々の事業運営にかかる資金。仕入費用や人件費等

設備資金

設備や建物などにかかる資金。機械装置購入費や備品購入費等

その他資金

運転資金や設備資金以外の資金。賞与資金や販促品費等

資金調達計画を立てる前に、まずは必要な資金を洗い出します。事業に必要となる経費を考え、購入する設備や備品などとともに日々の事業運営にかかっている費用を書き出します。

必要な資金を洗い出したら、「運転資金」「設備資金」「その他資金」に分類します。人件費といった事業で継続的に発生する費用であれば運転資金、事業に必要な設備を購入するために一時的に発生する費用であれば設備資金、その他資金は運転資金や設備資金に該当しない費用として分けることができます。

計画を立てる際には、資金用途を明確にし「運転資金」「設備資金」「その他資金」に分ける必要があります。資金用途や調達する目的が不明確の場合、金融機関の担当者や投資家などに事業内容を具体的に説明できないため、資金調達を円滑に行えない可能性があることを留意しておきましょう。

なお、資金の用途や企業の方針によっては、同じ経費であっても運転資金に含む場合とその他資金に含む場合があります。資金調達計画を立てる際に資金用途の分類に不安がある人は、金融機関や税理士など専門家に相談することも検討してみましょう。

希望の資金調達額を算出する

必要な資金を確認したあとは、希望する資金調達額を算出します。必要な金額を正確に把握することにより、資金不足になるリスクや余分に資金調達を行ってしまうリスクを防げるからです。

運転資金の場合、複数の計算方法がありますが、簡易的なものとして「売上債権+棚卸資産-仕入債務」の計算式で求める方法があります。未回収となっている売上である「売上債権」と在庫や原料などの「棚卸資産」の合計額から、仕入れ先へ未払いとなっている「仕入債務」の金額を引くことにより大まかな運転資金を算出できます。

設備資金の場合、事業に要する設備の合計金額を算出します。事業の実施に必要な機械装置や備品などの見積書の中から設備資金に該当する費用を書き出し、それぞれの費用を合計した金額が設備資金となります。

その他資金の場合、事業に必要な資金の中で運転資金や設備資金に該当しない経費の合計金額を算出します。運転資金や設備資金に含まれない費用を書き出して、それぞれの費用を合計した金額がその他資金となります。

資金計画を立てる際に希望の資金調達額を算出するには「運転資金」「設備資金」「その他資金」をそれぞれ算出する必要があります。希望する資金調達額に応じて適切な資金調達方法も異なるため、必要な資金を正確に算出しましょう。

資金調達方法を決める

資金調達計画において、どのような方法で資金を調達するのか決めましょう。資金調達方法にはさまざまな方法があるため、自己資金の必要性や返済義務の有無、資金調達にかかる期間などを確認し、自社の状況や資金調達の目的に合った方法を選ぶ必要があります。

<資金調達方法の具体例>

資金調達方法

概要

融資

  • 金融機関からお金を借りる方法
  • 自己資金の割合が審査の判断基準となる場合がある
  • 返済義務あり

社債

  • 投資家からお金を借りるために社債(証明書)を発行する方法
  • 返済義務あり

ファクタリング

  • 売掛債権(売上代金の未回収分を請求できる権利)をファクタリング会社に一定の手数料を支払い売却する方法
  • 返済義務なし

資産売却

  • 会社が保有している土地や建物などの資産を専門業者に売却する方法
  • 資産価格から手数料を差し引いた金額を受け取れる
  • 返済義務なし

新株発行

  • 新たに株式(会社のオーナーの権利)を発行して出資者から資金提供を受ける方法
  • 返済義務なし

クラウドファンディング

  • インターネットで不特定多数の人から出資を募る方法
  • 支援者に返礼品などを返すことが基本
  • クラウドファンディングの種類によっては返済義務あり

補助金・助成金

  • 制度の目的に沿った取り組みにかかる費用の一部の補助を受け取る方法
  • 後払い制の場合は経費の購入時に自己資金が必要
  • 返済義務なし

資金調達の方法を検討する時には、自己資金額を確認します。資金調達方法によっては自己資金が必要となる場合があるため、自己資金が少ない人は事前に自己資金を用意する必要がない資産売却やクラウドファンディングなどの方法を検討する余地があります。

また、いつまでに資金が必要であるかを確認をします。資金調達方法によっては審査に数か月を要する場合や、事業実施後の後払いとなる場合があるため、迅速にお金を受け取りたい人は必要書類が少なく審査期間が比較的短いファクタリングの利用を検討する余地があります。

利用できる資金調達方法は、企業の規模や事業状況などによって異なります。資金調達計画を立てる際には、それぞれの性質を確認した上でどの資金調達方法が自社に適しているかを判断しましょう。

資金調達計画書を作成する

資金調達方法を決めた後は、資金調達計画書を作成しましょう。資金調達計画書は、資金調達の際に金融機関や投資家などに説明するために必要となる書類です。

<資金調達計画書の具体例>

資金用途 金額 資金調達方法 金額
設備資金 機械装置 50万円 自己資金 100万円
内装工事 150万円

金融機関からの借入

(内訳・返済方法)

○○銀行○○支店

200万円
運転資金 仕入れ 70万円
開業費 30万円
合計 300万円 合計 300万円

資金調達計画書には資金用途の記載が必要です。運転資金と設備資金の内容を分け、資金を事業の何に使うのか具体的に記載し、必要な金額を記入します。

また、資金調達計画書には資金調達方法の記載が必要です。事業者自身が用意する自己資金額とともに不足している資金をどのように集めるのか具体的に記載し、返済義務がある資金調達方法を利用する場合は返済方法や返済期日などを記入します。

必要な資金額と資金調達方法の金額が一致していない場合は融資の審査に通過できない可能性があります。ほかにも、事業と関連がない経費が記載されているといった問題が発生していないかどうか、資金調達計画書を作成しながら確認してみましょう。

なお、資金調達計画書に指定のフォーマットはありません。Excelを用いて作成することも可能ですが、金融機関や自治体のホームページにてダウンロードできる場合があるため必要に応じて活用してみましょう。

資金調達計画を立てるときのポイント

資金調達計画を立てるときには、意識すべきポイントがあります。ポイントを把握したうえで資金調達計画を策定することにより、今後の事業の予測を含めた内容を決められるため計画を立てやすくなります。

<資金調達計画を立てるときのポイント>

  • 無理のない実現可能な計画にする
  • 調達から返済までのスケジュールを考える
  • さまざまなリスクを考え対応策を準備する 等

資金調達計画を立てるときのポイントとして「無理のない実現可能な計画にすること」が挙げられます。計画を実現できる可能性が低いと金融機関や投資家などから理解を得ることができないため、市場や経済状況の調査を行い企業の財務状況を正確に把握し、調達コストを考慮しながら計画を立てましょう。

また、資金調達計画を立てるときのポイントとして「調達から返済までのスケジュールを考えること」が挙げられます。資金調達のスケジュールが明確になることで、返済計画や事業計画がスムーズに立てられるため、調達した資金をいつ、どのように使うか用途ごとに必要な資金調達額と使用時期を決めます。

そして、資金調達計画を立てるときのポイントとして「さまざまなリスクを考え対応策を準備すること」が挙げられます。市場の変動や売上の変動、予定外の支出などのリスクに備え対応策を含めた資金調達計画を立てることで、問題が発生した時でも余裕を持って資金調達が行えます。

資金調達方法によっては、策定した資金調達計画を「資金調達計画書」として提出することになる場合があります。ポイントを把握することで説得力のある実現可能な計画を立てられ、金融機関や投資家などから理解を得やすくなるため、資金調達計画を立てる際はこれらのポイントを意識してみましょう。

まとめ

資金調達計画は事業に必要な資金を得るための計画のことです。事業計画とは違い資金調達に特化した計画であり、事業を行う際に必要な資金額と資金用途、資金調達方法などを策定します。

資金調達計画の策定は、必要な資金の分類や金額の算出など、手順に沿って行いましょう。手順に沿って計画を策定することにより内容の整理がしやすく綿密に計画を立てられるため、滞りなく資金調達を行うことにつながります。

資金調達計画を立てる場合、「実現可能な計画にする」「調達から返済までのスケジュールを考える」「リスクを考え対応策を準備する」の3つのポイントを意識しましょう。ポイントを把握したうえで資金調達計画を策定することにより、説得力のある実現可能な計画を立てられ、金融機関や投資家などから理解を得やすくなるでしょう。

この記事を書いたライター

ソラボ編集部

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8,000件の資金調達実績を持つSolaboの専門家が、融資や補助金など、事業課題に合わせた資金調達方法を提案します。

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