起業して事業が軌道に乗って拡大して行くと、それに合わせて社員を雇用しますが、さまざまな手続きや届け出が必要となります。その時の必要な手続きをご存知でしょうか。おもに社会保険についてですが、そうは言われても何をどこに届出すれば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、社員を雇用した時に必要な手続きについてご紹介していきます。
最初に労働契約書を交わします
社員を採用した場合に最初にすることは、労働条件を明示して労働契約を結ぶことです。念のため書面で労働契約書を交わしておきましょう。労働条件は最低限、以下の項目について書面で明示しなければなりません。これを労働条件通知書といいます。
- 労働契約の期間
- 就業場所
- 従事する業務
- 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交代勤務の場合の就業時転換
- 所定労働時間を超える労働の有無
- 賃金の決定、計算・支払方法、締切・支払時期
- 退職に関する規程
「労働条件通知書」は、下記をご参照下さい。(ページの下方に有ります。)
ご参考URL:厚生労働省 労働基準 主要様式ダウンロードコーナー
採用者からの必要書類の提出
入社後に下記の書類を提出してもらいましょう。
- 健康保険被扶養者(異動)届(扶養に入れる親族がいる場合み)
- 源泉徴収票(その年に前の会社の給与所得がある場合)
- 年金手帳(以前に加入していた場合、被扶養配偶者がいるときは配偶者の分も)
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 雇用保険被保険者証(以前に加入していた場合)
- 口座振込依頼書(給与等の振込先)
- 通勤手当支給申請書
社会保険の加入
雇用した社員が以下のそれぞれに該当する場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者となります。
・労働日数:1か月の所定労働日数が一般社員の概ね4分の3以上である場合
・労働時間:1日又は1週の所定労働時間が一般社員の概ね4分の3以上である場合
個人事業主の場合:労働者が5人以上は適応対象で、5人未満の場合は任意です。但し一部のサービス業(旅館、飲食、理美容業、税理士事務所、弁護士事務所など)は、5人以上でも任意です。
法人の場合:すべての事業者が適応対象です。
社会保険の被保険者となる社員を雇った場合、雇用の日から5日以内に、所轄の年金事務所へ健康保険・厚生年金保険の被保険者の届出が必要です。
ご参考URL:日本年金機構 事業所が健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険の適用を受けようとするとき
ご参考URL:日本年金機構 従業員を採用したときの手続き
労働保険の加入
雇用保険の加入
・事業所規模にかかわらず、「1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込がある人を雇い入れた場合」に適用対象となります。
・最初に雇用保険の適用対象の社員を雇用する時は、保険関係成立に関する手続を済ます必要があります。
ご参考URL:厚生労働省 労働保険の成立手続
・そのあと事業所を管轄するハローワークに「事業所設置届」、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
・その後新たに社員を雇い入れた場合は、その都度、翌月10日までに、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。そしてハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」を事業主から本人に渡します。
ご参考URL:厚生労働省 事業主の行う雇用保険の手続き
ご参考URL:厚生労働省 手続き一覧
労災保険の加入
労災保険は、労働者を使用するすべての事業に適用されます。
ただし、従業員の採用時に特に手続は必要ありません。労働保険料は、保険年度(4月から翌年3月まで)の初めに概算額で申告・納付し、年度終了後に確定額で申告し精算する仕組みをとっています。
最初に社員を雇った時は、労働基準監督署かハローワークへ「保険関係成立届」を提出し、「概算保険料申告書」及び「納付書」を作成の上、申告・納付します。「保険関係成立届」は雇用保険の加入の時と同じです。
ご参考URL:厚生労働省 労働保険の成立手続
ご参考URL:労災保険情報センター 労働保険新規加入の手続
法定帳簿の保存
法定帳簿とは、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)をいいます。
社員を雇用した日からタイムカード、休暇・早退・遅刻届などで「出勤簿」を作成し、「労働者名簿」、「賃金台帳」も作成して社員が退職してから3年間は保存しなければなりません。これらは役所より提出を求められる場合があります。
「労働者名簿」、「賃金台帳」については、下記をご参照下さい。(ページの下方に有ります。)
ご参考URL:厚生労働省 労働基準 主要様式ダウンロードコーナー
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は社員を雇い入れた時の手続きについてご紹介ました。ぜひ社員を雇う時に、手続きの参考にしてみてください。